●アフィニス夏の音楽祭
 東京演奏会(1)
 2000年8月26日14:00/JTアートホール アフィニス
(プログラム)
 ドヴォルザーク  :三重奏曲ハ長調Op.74
 ショスタコーヴィチ:弦楽八重奏のための2つの小品
 −休憩−
 R.シュトラウス :13管楽器のための組曲Op.4抜粋
 シュポア     :大九重奏曲へ長調Op.31
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 東京演奏会(2)
 2000年8月26日18:00/JTアートホール アフィニス
(プログラム)
 ヒンデミット   :木管五重奏のための小室内楽Op.24−2
 ブラームス    :弦楽六重奏曲第2番ト長調Op.36
 −休憩−
 R.シュトラウス :メタルモルフォーゼン(変容)
(演奏)
 講師およびセミナー参加者
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「ぶらあぼ」誌の宣伝を見て面白そうなので二つの東京演奏会のチケットを買っ
た。演奏者たちはハンブルク・フィル、NDR、バンベルク響の主席奏者たちと
なっていたが、実際の演奏はセミナー参加者が加わった形で行われる。国内プロ
オーケストラのメンバーがセミナーに加わっており、いわゆる普通の音楽セミナ
ーとは異なり、さらに高い次元での研修プログラムになっているとのこと。

さすがに二つのプログラムの内容は高くて聴き応えがあった。ただし余りにも多
彩なプログラムで、しかも演奏家たちが次ぎから次ぎへと変わるため、コンサー
トとしての一貫性については疑問も感じた。

昼の演奏ではショスタコーヴィチの弦楽八重奏が特に印象に残る。弦の切れこみ
の素晴らしさは目を見張るものがあった。後半のR.シュトラウスの木管楽器の
アンサンブルも厚味があって彼ならではのロマン性を存分に楽しめたし、シュポ
アも良かったと思う。

しかし何と言っても昼よりも夜のほうが俄然素晴らしかった。ヒンデミットから
して演奏の質は高く、室内楽とはいえ奥行きの広さを感じた。そしてブラームス
の弦楽六重奏。フランクフルト大のフォルヒャート、NDRのグメーリンと深井
が各パートのトップを固めてハンブルクの空気が漂ってくるようだ。しっとりと
渋い味わいのブラームスがとても素晴らしい。比較的長い曲をじっくりと聴けて
嬉しかった。フィナーレはゲルハルト・ボッセが指揮を務めるメタルモルフォー
ゼン。つい先日、マゼールのトリスタンを聴いたが、あのマルケ王の旋律が醸し
出され、音楽はトリスタンへと誘う。しだいに変容する情感もひしひしと伝わっ
てくるが、ボッセはメリハリのあるR.シュトラウスを描いていく。さすがに昼
と夜のふたつの室内楽を聴くと、満足感十分だった。