●トリオの夕べ
2000年7月16日(日)18時/紀尾井ホール
(演奏)
徳江尚子(ヴァイオリン)
菅野博文(チェロ)
野平一郎(ピアノ)
(プログラム)
ショスタコーヴィチ :ピアノ三重奏曲第2番ホ短調Op.67
−休憩−
チャイコフスキー :ピアノ三重奏曲イ短調Op.50
「ある偉大な芸術家の思い出のために」
(アンコール)
アレンスキー :ピアノ三重奏曲第1番第3楽章「エレジー」
------------------------------------------------------------------------
久しぶりに聴くショスタコーヴィチの室内楽。この曲は特に「死の舞踏」で有名
な作品だけあって、とても重い音楽をきいたという感じになる。ヴァイオリンの
徳江は有名なコーガンに師事されたそうで、とても緻密な演奏を聴かせる。微妙
に音が上ずり加減なところもあったが、ピアノとチェロとの調和は素晴らしい。
チェロもピアノも安定感があって30分強のショスタコーヴィチはかなりの手応
えを感じた。
後半のチャイコフスキー。これはとても伸び伸びとした演奏でショスタコーヴィ
チをはるかに凌ぐ出来映え。ただトリオが火花を散らすような切れこみの鋭さは
なく、むしろしみじみとした哀愁に満たされた演奏。当時のチャコフスキーの心
境が滲み出るようであった。特に野平のリードが素晴らしく、菅野の美しいチェ
ロが心に響く。徳江のヴァイオリンも高揚する音楽を奏でて行く。全2楽章を味
わい一杯に楽しむことができた。アンコールはアレンスキーのピアノトリオから
エレジーが演奏されたが、これも抒情豊かな音楽に酔いしれてしまった。