●ウィーン・アルティス弦楽四重奏団&シャロン・カム
 2000年7月8日(土)19:00/武蔵野市民文化会館・小ホール
(演奏)
 ペーター・シュールマイヤー(第1ヴァイオリ)
 ヨハネス・マイスル(第2ヴァイオリン)
 ヘルベルト・ケーファー(ヴィオラ)
 オトマール・ミュラー(チェロ)
 シャロン・カム(クラリネット)
(プログラム)
 ハイドン  :弦楽四重奏曲第74番「騎士」ト短調作品74−3
 モーツァルト:弦楽四重奏曲第21番「プロシア王第1番」ニ長調K.575
 −休憩−
 モーツァルト:クラリネット五重奏曲イ長調K.581
(アンコール)
 モーツァルト:クラリネット五重奏曲イ長調より第2楽章と終楽章から
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アルティスSQはカザルスでのツェムリンスキーが聴きたかったが、ここ武蔵野
市民で聴くことになった。プログラムはいずれも名曲ぞろいで楽しみな作品ばか
り。しかもシャロン・カムが共演するとあっては盛り上がるに違いない。こんな
期待に応えてくれるかのように、充実の演奏となった。

有名なハイドンの作品をを慎ましく味わいのあるカルテット演奏で楽しませてく
れた。プロシア王ではチェロの引き締まった演奏が素晴らしく、第2ヴァイオリ
ンやヴィオラなども美しい和声を添えてくれた。今日の座席はステージから2列
目と至近距離であったが、高い天井の響きも手伝ってか、とても立体的に聞える。
このホールではいつも最後尾で聞くことが多いのであるが、このホールは前の方
が響きが良いと感じた。

後半のクラリネット五重奏曲はカムの美しすぎる音色とアルティスSQの溶け合
いが実に見事。穏やかな作品ながら、クラリネットとSQの緊密なアンサンブル
に片時も耳がはなさせない集中力が素晴らしい。第2楽章の夢のような響き。至
福のモーツァルトとはこのことをいうのだろう。第3楽章から終楽章に掛けても
音楽の輝きは増すばかり。終楽章のクラリネットの力強いパッセージが特に印象
に残った。アンコールは2楽章と終楽章の終結部が演奏された。