●ベルリン・フィルハーモニー・ブラス・クインテット
 2000年7月7日(金)19:00/東京オペラシティ・コンサートホール
(演奏)
 コンラディン・グロート(トランペット)
 マルティン・クレッツァー(トランペット)
 クラウス・ヴァレンドルフ(ホルン)
 クリストハルト・ゲスリング(トロンボーン)
 パウル・ヒュムペル(テューバ)

(プログラム)
 ストラヴィンスキー :新しい劇場のためのファンファーレ
 ファーナビー    :ファンシーズ/トイズと夢
            古いスパニョレッタ/彼の休息/言っておくれダフネ
            トイ/彼の夢/新しいサ・フー
 シャイト(ハワーズ編):戦いの組曲
             カンツォーナ「イギリス・ベルガマスク風に」
             悲しみのクーラント
             戦いのガリヤルド
 ラートゲーバー   :協奏曲変ホ長調
 −休憩−
 ロッシーニ     :「セビィリャの理髪師」序曲
 ジョプリン     :ラグタイム・ダンス/グラジオラス・ラグ
 ビゼー       :カルメン幻想曲
 ザ・ビートルズ   :マジカル・ミステリー・ツアー
            ペニー・レイン/オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ
(アンコール)    :ホロヴィッツ、ピアソラなど
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今日は特にコンサートに行く予定も無かったが、昨日の東京の夏音楽祭「新バビ
ロン」に行きそびれてしまった欲求不満から、何か聞かなくてはとオペラシティ
にやってきた。今日はカザルスホールでの「七夕コンサート」も捨てがたかった
が、便利な初台の方へ足が向いてしまった。

タケミツメモリアルへはガラス天井の吹きぬけ経路を辿ることが多いが、今日も
建物には入らないでこの道を行く。が、エスカレーターが止まっている。演奏会
の有る日は運転しているはずなのであるが。それにロビーも閑散としているし、
当日券売り場には列は無い。何となく客の入りが悪いようだ。それでも開演時に
は6割程度の入りとなる。

ベルリンフィルのブラス・クインテットということで超絶技巧を期待していたが、
今日の演奏は実にオーソドックスで、むしろ室内アンサンブル的な味わいを楽し
めた。最初のストラヴィンスキーではステージの照明が落とされる。天井の窓か
らは雨ではあるが、紺色の夜空が眺めることができる。こういった状況でステー
ジの両端に2名のトランペット奏者が互いにファンファーレを奏でるという演出
だ。さすがに両端から響くブラスはホールにこだまし、とても華麗だ。

続いて残りのメンバーが登場し、ホルンのヴァレンドルフ氏が流暢な日本語で解
説を加えて行く。彼のナレーションはとても聞きやすく、ユーモアに溢れている。
楽曲ごとに面白い説明が入るので、プログラムの内容を把握するのに役だった。

前半はバッハ以前のバロックがメインとなる。ファーナビー、シャイト、ラート
ゲーバーなど、私にとっては始めて聞く曲ばかりだった。概ね音がとても柔らか
くて、時に金管がまるでオルガンのパイプの如くに鳴るため、オルガンを聞いて
いるような感じがする。シャイトの組曲もブラスとは思えないくらいにソフトに
響く。それにポリフォニックなアンサブルがすこぶる心地よい。

後半は「セヴィリャ」「カルメン」などオペラに因む作品をまじえてビートルズ
に至るまで、多彩な響きを楽しませてくれる。しかしブランス・クインテットと
いう編成はやや地味な感じがする。昨年きいたバロック・ブラス・オブ・ロンド
ンの華麗さが特に印象強かったためかもしれないが、もう少しパンチのあるアン
サンブルも聴かせて欲しかった。アンコールにはホロヴィッツの珍しい音楽も披
露されたが、かなりお遊び的に盛り上がった演奏となり、20分くらい演奏され
た。