●ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
 2000年7月1日(土)14:00/サントリーホール
 指揮:ワルター・ウェラー
(プログラム)
 ベートーヴェン:交響曲第6番へ長調op.68「田園」
 ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調op.67「運命」
(アンコール)
 ブラームス  :ハンガリー舞曲第5番
 J.シュトラウス:ピチカート・ポルカ
 ブラームス  :ハンガリー舞曲第1番
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今日から7月。外に出てみて驚いたが凄い猛暑だ。バッグに手を入れると冷気を
感じる。それほどに外気との差が大きい。こんな暑さではコンサートが億劫にな
ってしまう。とはいえ我慢してホールへ向わねばならない。

来日の度に素晴らしい演奏を行うドレスデン・フィルということで、今回も楽し
みにしていた。ウィーン出身のウェラーによる指揮はとても堅実で、いわゆるド
イツらしい響きをオーケストラから引き出す。ドレスデンという土地柄か、ゼン
パー・オーパーのオーケストラと同様にいぶし銀のような渋さも感じられる。ア
ンサンブルは見事に統一された音色が美しい。

プログラムは田園と運命といういわゆるベートーヴェンの王道を行くものである
が、ふたつのコントラストを強調するような演奏ではなく、むしろ二つの作品に
共通して、しなやかな力強さを感じた。田園の伸びやかさに対して、運命でも伸
びやかな演奏で、深刻さとか緊張をことさら強調するものではない。ふたつの作
品が実に大らかに歌われ、田園では抒情的な喜び、運命では歓喜の爆発といった、
ごく当たり前な感動が素直に伝わってきた。アンコールも三つ演奏された。大阪
公演の情報で曲名は分っていたが、さすがにウェラーもオーケストラも乗りに乗
ったというところだ。会場はほぼ満席で喝采は凄いものがあった。