●東京フィルハーモニー交響楽団/午後のコンサート
 2000年6月18日(日)14:00/東京オペラシティコンサートホール
 指揮:ヤーノシュ・コヴァーチュ
 ナビゲーター:岡崎ゆみ
(プログラム)
 エルケル  :歌劇「フニャディ=ラースロー」序曲
 リスト   :ハンガリー狂詩曲第2番
 バルトーク :ルーマニア舞曲
 ブラームス :ハンガリー舞曲より第1・3・6番
 −休憩−
 ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調作品88
(アンコール)
 ドヴォルザーク:スラブ舞曲第7番



金曜日の「わが祖国」で素晴らしい指揮をしたコヴァーチュによるコンサートは
ご覧のプログラムの通り、東欧色たっぷり。前半はやや細切れながらもハンガリ
風、ジプシー風を堪能できた。

オペラシティでの演奏は先日のオーチャードとサウンドがやや趣きを異にする。
もちろんこれはホールの響きの違いによるものであるが、オペラシティのほうが
よりエネルギッシュに聞えた。もっとも曲もマジャールのリズムを強調するよう
な作品ばかりだったのが、そのように聞えたためかも知れない。

それにしてもタイトルの通り、郷愁感一杯で、かつ逞しい生命力も感じられる。
岡崎嬢とコヴァーチュのハンガリー語インタビューもあり、結構楽しい。何でも
コヴァーチュはゲネプロ直前、パート譜への加筆を施すそうだ。オーケストラの
メンバーは直前に面食らってしまうそうだ。これを防ぐ工夫としてメンバーたち
は楽譜を家に持ち帰るとか。それにしてもこの加筆とはコヴァーチュの解釈によ
って、より楽曲を際立たせるためとのこと。後半のドヴォルザークにも加筆があ
るとのことで、楽しみに聴く。

ドヴォルザークの8番。たしかに耳慣れないパートが所々から聞えてくる。主に
リズム感を増強するのが目的のものと考えられ、トランペットなど管楽器に加筆
が見とめられる。しかし、それほど違和感があるものではなく、とても自然に聞
える。むしろアンサンブルが立体的な厚味が増したという感じがする。この曲は
メロディアスでもあり、ある種の推進力に満ちている。そのためか、結構早く終
わってしまった。アンコールでのスラブ舞曲もそうであるが、今日の演奏はオー
ケストラの噴き上がりの良さが素晴らしく、コンサートの醍醐味一杯であった。