魔法の角笛

■#2923 芸術劇場 98/ 3/ 1 4:31 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(1)プロローグ             tujimoto

フィルハーモニー

ベルリン・オペラ・フェスティバルが終わったのですが、ベルリンの素晴らしさに憧れ、旅に出ることにしました。ちょうど今ベルリンのホテルから書き込んでいます。

●『魔法の角笛』とは

タイトルはまさしくマーラーの「子供の魔法の(不思議な)角笛」から取りました。というのはベルリンフィルの「子供の魔法の角笛」と「角笛交響曲3番」の両方が今回のメインになる為です。またマーラーが「魔法の角笛」を完成させたのは1898年で、今年はちょうど100周年。そんなことを考えるとタイトルはこれしか無いと思いました。

●今回のオペラ

「子供の不思議な角笛」では「ラインの黄金伝説」が第7曲で歌われます。そこで今回は角笛のテーマに従い、『ニーベルングの指輪』を一通り見ます!?これはゲッツ・フリードリヒ演出のドイツ・オペラでの公演で、ロリオ編曲による一夜版です。

他はイタリアものが3本。ひとつは1892年に作曲されたヴェルディの『ファルスタッフ』。これはマーラーもハンブルクで指揮したようです。今回はクラウディオ・アバドがベルリン国立へ初登場。

二つ目はウィーンの『シチリア島の夕べ』で、こちらは新鋭パッパーノの指揮とヴェルニケの演出に期待。とにかくヴェルニケの「ボリス・ゴドノフ」が圧倒的だったので、ヴェルディもとても楽しみです。

そして三つ目はウィーンの『トゥーランドット』。姫は今話題のイーグレン、カラフはフィレンツェ来日公演のアイーダを歌ったジャコミーニ、そして美貌のフリトーリによるリューです。指揮は日系ドイツ人のメルクル。

●『不思議な角笛』シリーズの日程

 98年2月28日(土)成田→ルフトハンザ→フランクフルト経由ベルリン
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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会(Sonnderkonzert)
 98年3月1日(日)/フィルハーモニー
指揮クラウディオ・アバド/アルフレート・ブレンデル(P)
 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)/マティアス・ゲルネ(Br)
 ベートーベン:ピアノ協奏曲5番「皇帝」/マーラー『子供の不思議な角笛』
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ヴェルディ歌劇『ファルスタッフ』(新演出)
 98年3月2日(月)/ベルリン国立歌劇場
 指揮クラウディオ・アバド/演出ジョナサン・ミラー
ライモンディ/ガッロ/アルヴァレス/ファチーニ/ミー/コッチェルガ
 イソコフスキ/レシュマン/リポヴシェク/カンマーローア
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ヴェルディ歌劇『シチリア島の夕べの祈り』(新演出)
 98年3月3日(火)/ウィーン国立歌劇場
 指揮パッパーノ/演出ヴェルニケ
 キャロル・ヴァネス/レナート・ブルゾン/ボータ/フルラネット
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プッチーニ歌劇『トゥーランドット』
 98年3月4日(水)/ウィーン国立歌劇場
 指揮メルクル/イーグレン/フリトーリ/ジャコミーニ
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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会(初日)
 98年3月5日(木)/フィルハーモニー
 指揮クラウディオ・アバド/リポヴシェク(Sp)/テルツ少年合唱
 マーラー交響曲3番
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ワーグナー楽劇『ニーベルングの指輪』(ロリオ編曲一夜版)
 98年3月6日(金)/ベルリン・ドイツ・オペラ
 指揮イルジ・コウト/演出ゲッツ・フリードリヒ
 ヘイル/アームストロング/ヨハンソン/ボリス/ペパー/ヒレブラント他
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 98年3月7日(土)ベルリン→ルフトハンザ→成田(3/8朝)

以上が今回のメニュー。また時間的にゆとりがあれば現地からライブ・レポートしたいと思います。ウィーンの王宮

 

(PS)

今は観光シーズンのオフで、静かな旅で疲れを覚えませんでした。ふだん見ない映画も2本も見てしまいました。クリント・イーストウッドの「目撃」がとても面白かったです。それにしてもルフトハンザのサービスにも省エネ化、合理化が計られているのを実感しました。ちなみにベルリンはここ数日10数度の気温で暖かいようです。今日はそれでも5度程度のようでした。
                                tujimoto

■#2928 芸術劇場 98/ 3/ 3 1:42 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(2)アバドBPO『子供の魔法の角笛』  tujimoto


●Berliner Philharmonisches Orchestra
  Dirigent    Claudio Abbado
  Solisten    Alfred Brendel
              Anne Sofie von Otter
              Matthias Goerne
  Sonntag 1.Maerz 1998 20 Uhr Philharmonie
  Sonderkonzert
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  Ludwig van Beethoven: Konzert fuer Klavier und 
                        Orchester Nr.5 Es-Dur op.73
                        Allegro
                        Adagio un poco mosso
                        Rondo: Allegro
                        -----
  Gustav Mahler       : Lieder aus "Des Knaben Wunderhorn"
                        Revelge
                        Rheinlegendchen
                        Trost im Unglueck
                        Verlorne Mueh
                        Der Schildwache Nachtlied
                        Das irdische Leben
                        Lied des Verfolgten im Turm
                        Wer hat dies Liedlein erdacht?
                        Des Antonius von Padua Fischpredigt
                        Lob des hohen Verstandes
                        Wo die schoenen Trompeten blasen
                        Der Tambourg'sell
                        Urlicht
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チケットの画像今日は16時からフィルハーモニーでアシュケナージ/ドイツ響のシベリウス・プロがあり、これも聴いてそのまま20時からのBPOに突入しよかとも考えました。が、フィルハーモニーで連続二つのコンサートはちょっと厳しいので、BPO一本に絞りました。さて今日のBPOは特別演奏会で料金も通常の80マルクから160マルクと2倍。これはやはりブレンデルが登場する為でしょう。それでも日本円で11,200円はかなり安いです。

●ベートーヴェン/ピアノ協奏曲5番

座席はAブロック4列目の中央。段々畑の勾配でちょうどここはステージと同じ高さになり、ピアノが目の前に迫っていました。さてブレンデルを久しぶりに聴きましたが、昔ながらの演奏スタイルは同じで、より老練された貫禄を感じました。

第1楽章の冒頭からピアノが体の一部であるかのように操る様は印象的でした。所々ミスタッチもありましたが、彼の鬼迫みなぎる音作りには目を見張るものがあります。さてオーケストラ、第1楽章はちょっと控えめ演奏。最近のアバドが見せるベートーヴェン路線でしょうか、重厚なドイツ的な響きではなく、透明で軽やかな音作りでした。これはブレンデルのシンプルで飾り気の無いピアニズムとちょうどマッチしていました。

第2楽章のアダージョはむしろ第1楽章よりも緊張の連続。ブレンデルの表情は相変わらず面白いですね。痙攣ぎみの顔の震えとか唸り声は音楽の緊張度に比例していて、音楽への求心力を感じました。特に第3楽章へ以降する時のピアニッシモに込められた緊張は凄かった。

殺気漲る静寂から第3楽章への開放はまた素晴らしい。このコントラストに加速されてオーケストラが一気に爆発しました。第1楽章の統制感はここにはなく、自由に伸び上がるフォルティッシモなどはBPOの本領発揮。ブレンデルの豪快な演奏に合わせてBPOのアンサンブルも全開しました。ちなみにピアノの反響板は大きく揺れる激しさでしたが、ピアノタッチに乱れはなく、クリスタルのような硬質な響きは素晴らしい。とても爽やかなベートーヴェンを感じました。カーテンコールの拍手は凄いのひと言。延々と続く喝采に前半を終了しました。

●マーラー《子供の魔法の角笛》

前半は目の前にピアノの立ち塞がっていましたが、後半は広々としたオーケストラが一望。左手奥の木管群の横にオッターが、これに対して右手奥にゲルネが登場します。ちょうど指揮者を中心に三角形が構成されました。その中央部奥にティンパニや大太鼓、小太鼓など打楽器群が配置。歌手が指揮者の横で揃って交互に歌うよりも、空間的なポジショニングを行うことで角笛歌曲がもつ二律性をより克明に対比しようという訳です。

さて角笛歌曲は通常「死せる鼓主(Revelge)」から開始されることが多いようです。アバドもこの慣例にならい、ゲルネが威勢良く歌い始めました。彼は昨年ザルツブルクの魔笛で脚光を浴び、今回がBPOへのデビュー。開始早々、彼の歌の素晴らしさに圧倒。体を大きく揺さぶりながら表情豊かに張りのある歌を聴かせました。中央奥から軍楽隊の太鼓が、左右から悲痛な弦が鳴り響き、マーラーの嘆きを見事に表現。

第2曲は「ライン伝説(Rheinlegendchen)」でオッターの出番。黄金色のパンタロン・ドレスをまとい、とてもチャーミングな歌。1曲目の嘆きを和らげるような穏やかなレントラー。ちょうどオッターの歌は女性的な優しさ、憧れを表現し、ゲルネが歌う悲しさ、現実、とコントラストを見せます。アバドが左右に指揮を振り分けて、この対比を掘り下げていく訳です。

BPOらしさという点では前半のベートーヴェンよりもマーラーの方に適正があるように思われました。十分な余力でマーラーの驚きとか躍動、壮絶さを表現するのは素晴らしい。もっとも歌曲なのでオーケストラはあくまでも伴奏の域を越えませんが。

さて「子供の魔法の角笛」は通常12曲で演奏を終えるのですが、今回は「原光 (Urlicht)」が追加されて演奏。この曲は当初から角笛歌曲に含まれていたのですが、マーラーがここから削り、交響曲2番の4楽章に使った経緯があります。今回アバドがこれを敢えて元に戻して演奏した意図は分かりませんが、確かに最後を締めくくるには最適な感動を与えてくれました。オッターのしみじみとした感動の高まりがそのままストレートに伝わってきます。一瞬このまま交響曲2番「復活」のクライマックスに続くのかとさえ錯覚もしましたが、これは最高に感激しました。歌が終わってもオッターもアバドも静止状態。この静寂が1分以上も続き、次第に盛大な拍手へ。ちょうどアバドと歌手たちが並ぶと、オッターが一番の長身。その次がゲルネで、後はアバドとコンマスの安永徹が小人のように見えたのが印象的でした。通常の定期演奏以上の熱狂的喝采が延々と続くのでした。

(PS)
この日は雪や雨が振ったりの不安定な一日でした。時たま晴れ間も望きましたが概ねくもり。日中は未だ訪れていない近代国立絵画館へ行ってきました。ピカソ、カンディンスキー、ムンクなどがあり面白かったです。アレキサンダー・プラッツもちょっと立ち寄りましたが、とても閑散としていました。もっとも日曜だったからかもしれませんが。それにしても教会の鐘が鳴り響いていのるのには何かしら安らぎを覚えました。
                                tujimoto

■#2932 芸術劇場 98/ 3/ 5 1:42 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛>RE>INVEさん,FUKUZOさん tujimoto

●INVEさん

>旅先での詳細な記述をありがとうございます!

>なかなか気力を奮い立たせないと出来ないことだと思います。

はげましのお言葉ありがとうございます。ちょっと時間の開いたときにモバでカチャカチャと打ち込んでおります。公園でのんびりとやりたいところですが、あいにくの雨が続いていて、天気が悪いです。出来れば忘れない内に作文したいと思います。

●FUKUZOさん

>ベルリンのtsujimotoさん、こんにちは。

こんにちは。今ウィーンに来ています。

>ベルリンは初めて?とおっしゃってましたっけ?
>どの辺りにお泊りですか。旧東ベルリンは工事も進んでさぞ近代的に
>変わってきているのでしょうね。

ベルリンは今回で5回目になります。泊まりはホリディ・インです。昔のペンタ時代から使っていて、ちょうどオイローパー・ツェンターの横です。カー・デー・ヴェーも歩いてすぐで便利です。ウィーンからベルリンへ戻る時は昨年オープンしたアドロンに泊まる予定です。

工事はかなり大規模に展開していますね。フィルハーモニー近辺は工事地獄の様相を示しています。ソニー・ビルも徐徐に円形部分が出来ているようですが、完成までまだまだのようですね。

ではまた書き込みますので、よろしく。             tujimoto

■#2933 芸術劇場 98/ 3/ 5 1:46 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(3)アバドの『ファルスタッフ』    tujimoto

●"FALSTAFF"
   Commedia Lirica in drei Akten von Arrigo Boito
   musik von Giuseppe Verdi
   In italienischer Sprache
   Montag 2. Maerz 1998 19 Uhr / staatsoper Unter den Linden
   ---
   Musikalische Leitung   Claudio Abbado
   Inszenierung           Jonathan Miller
   Buehnenbild            Herbert Kapplmueller
   Licht                  Max Keler
   Kostueme               Clare Mitchell
   Choere                 Ernst Stoy
   Dramaturgie            Manfred Haedler / Walter Roesler

   Falstaff               Ruggero Raimondi
   Ford                   Lucio Gallo
   Fenton                 Marchelo Alvarez
   Dr.Cajus               Enrico Facini
   Bardolfo               Anthony Mee
   Pistola                Andrea Silvestrelli
   Mrs. Alice Ford        Soile Isokoski
   Nannetta               Dorothea Roeschmann
   Mrs. Quickly           Marjana Lipovsek
   Mrs. Meg Page          Katharina Kammerloher
   Der Wirt               Wolfgang Cywinski
   Robin. Falstaffs Page  Julian Clemenz
   Page von Mr. Ford      Paul Himmel
   (Pause nach dem vierten Bild)
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チケットの画像これは凄い公演でした。ベルリン国立歌劇は昨年の日本公演で圧倒的な威力を見せてくれましたが、今日の公演はまた新たな可能性を与えてくれたようです。まずアバドが指揮をすると、あの重厚でドイツ的なアンサンブルに鮮烈さが加わり、ベルリンフィル以上の迫力でオペラが迫ってきたのです。最も「ファルスタッフ」は言葉と音楽の融合が見られるオペラですが、演出・歌・音楽が渾身一体となったのは見事!

●第1幕

座席はかぶりつきに限ると思い、Eメールで希望の座席をゲットしていました。最前列右よりでアバドと舞台の両方が一望できるベスト・ポジション。開演前、たまたま上方右側を見上げるとステージ真横の二階桟敷席にバレンボイムが顔を出していました。じっくりとアバドの成功を見守るかのように。

さて幕には大きなキューピッドが描かれています。意味有りげな笑みを浮かべて人指し指を向ける箇所には大きな丸穴が。この幕は妙幕になっていて、第1幕の音楽と同時に舞台奥のファルスタッフが透けて見え始めました。

妙幕が開くと、先ほどの丸穴を拡大したように大きな円が舞台一面の壁に開けられていました。その円の中がガーター亭ファルスタッフの部屋。テラスの床が凹レンズで湾曲したように描かれ、異次元空間のように広がっていました。この丸穴の外側には先程のキューピッドの指も描かれています。どっしりとしたファルスタッフが傾斜した机で恋文をしたためる場面。

ライモンディのファルスタッフはなかなか似合っています。欲を言えばビール腹がもう少し大きければ最高。地声の歌もなかなかの迫力で、音楽に負けないパワーは凄い。アバドも容赦なく金管とか打楽器を炸裂させていました。実のところコメディでここまで音楽を鳴らすものかと驚きました。

場面転換ではキューピッドの妙幕が降りて、次第にアリーチェたちが徐々に見え始めました。そしてフォード家の庭が登場。アリーチェ役のイソコフスキはやはり歌が上手い。メグは昨年の日本公演にも来ていたカンマーローア、近くで見るとかなりの長身ですね。ちなみに彼女はペレアスとメリザンドの新演出にも登場するとか。

●第2幕

第1場は再びあの丸いガーター亭の部屋。ここで何よりも素晴らしい演技だったのはリポヴシェックのミセス・クイックリーです。ファルスタッフを策略に掛けるのを楽しむ姿がとてもリアリティで滑稽でした。策略にはまったファルスタッフが意気揚々と歌う姿は滑稽でした。さて音楽的にはフォード役のガッロが歌うモノローグ「夢か現か」が素晴らしかった・・・これはもはやイタリア・オペラではなくドイツ・オペラそのものかも。「さまよえるオランダ人」のモノローグを聴いているのかと錯覚する程でした。アバドの深く掘り下げるような音響空間とガッロの凄みが合体。いや〜これは素晴らしい!

第2場フォード家のサロンはまたとても美しくて立体的な舞台。これも部屋が妙に傾斜していて、ちょっと異次元空間。扉が沢山あり部屋が迷路のように見えました。この変なサロンもドラマが一筋縄では行かないことを演出しているのかも知れません。ファルスタッフの図々しい場面の後、ドタバタで面白かったのは、フェントンとナンネッタが逃げ惑う場面。どこに隠れようかと思案していると白い手袋をしたプロンプターが屏風に隠れろと指示。フォード達がファルスタッフと勘違いし、全員腹ばいになってじりじりと近づく動きは音楽のクレッシェンドとぴったり。演出も音楽と緻密に一体化するよう練られているのには感心しました。

●第3幕

場面は薄暗いガーター亭の外。口に含んだ水を噴水のように吐きながらファルスタッフが動き始めました。例によってあのリポヴシェックが上手い演技でファルスタッフを公園へおびき寄せました。さて公園の樫の木はステージ左側にあり、真っ白な巨木で妖怪のように不気味。右側の奥に縦に開いたスリットがあり、その奥から光が照らしだされてシルエットになったファルスタッフが登場。この場面は角をつけたファルスタッフは勇ましいバイキングに見えました。しかしながらこの後、実に情けない姿をさらけ出す訳です。

レッシュマンのナンネッタは白の妖精に化けて、実に可憐な歌を楽しませてくれました。回り女性陣はいずれも大柄ですが、彼女は小柄。これがまた初々しさを強調していました。いよいよ大詰めの「世の中は全部冗談」のフーガはアバドの強力な指揮の元、盛り上がりに盛り上がって終了。

カーテンコールは異常な熱狂に包まれました。特に拍手の大きかったのは言うまでもなくアバド。歌手ではライモンディ、もちろんガッロも凄かったです。女性陣ではリポヴシェックがかなりの喝采。最後には幕が開くとオーケストラが整列し真ん中にアバドがいました。これをバレンボイムも体を乗り出して大きな拍手をしている訳ですから、とても珍しい光景。う〜ん将来はバレンボイムとアバドが入れ替わるのかな?と思わせるものがありました。それにしてもアバドの指揮でオーケストラが信じ難いほど緻密なアンサンブルに変わったのは驚きでした。

(PS)
この日もベルリンは雨かくもり。気温がかなり高いです。カー・デー・ヴェーでチェコフィルの「カーチャ・カバノーヴァ」の新譜を仕入れました。このオペラCDは種類が少いので、これは思わぬ収穫でした。
                               tujimoto

■#2936 芸術劇場 98/ 3/ 8 23:33 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(4)ウィーンの『シチリア島の夕べの祈り』tujimoto

●Giuseppe Verdi," I VESPRI SICILIANI "
  Dienstag,3.Maerz 1998 / Wiener Staatsoper

  Musikalische Leitung      : Roberto Abbado
  Inszenierung,Buehnenbild,
  Kostueme und Licht        : Herbert Wernicke
  Choreinstudierung         : Ernst Dunshirn

  Guido di Monforte         : Renato Bruson
  Sire di Bethune           : Alexandru Moisiuc
  Conte Vaudemont           : David Cale Johnson
  Arrigo                    : Johan Botha
  Giovanni da Procid        : Ferruccio Furlanetto
  Herzogin Elena            : Carol Vaness
  Ninetta                   : Mihaela Ungureanu
  Danieli                   : Miro Dvorsky
  Tebaldo                   : Wilfried Gahmlich
  Roberto                   : Istvan Gati
  Manfredo                  : Miro Dvorsky
  (Kleine Pause: nach dem 2.Akt/ Grosse Pause: nach dem 3.Akt/ 
   Beginn: 19 Uhr / Ende: 22.30 Uhr)
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チケットの画像今回の新演出はパッパーノの指揮が予定されていましたが、ロベルト・アバドに変更されていて、ちょっとびっくり。これで偶然にもクラウディオを含めてアバドを4回も聴く羽目となりました。パッパーノをぜひ聴いてみたかったですが、オペラ指揮者ロベルトの指揮はとてもダイナミックで良かったです。

「シチリアの夕べの祈り」は余り見る機会の少ないオペラ。その理由はとても長く、台本が今一つの為でしょうか。音楽のほうは大変素晴らしいので、適当にカットして上演されるようです。今回もバレエ「四季」なんかはカット、それでも大変長く感じました。

●舞台/演出

舞台の基本形は、全面に広がる巨大階段。しかもエスカレータのように下から上まで上昇するカラクリとなっていました。とにかくヴェルニケのアイデアは巨大かつ象徴的なオブジェで度肝を抜くのが特徴。今回の階段は、シチリア地方には丘陵が多くあって、階段が至る所にあることにヒントを得たようです。

重々しい序曲にのって、階段最上部には喪服姿のエレーナ公女が、そして階段中段にはエレーナの兄、シチリア王の棺を従者達が階段下へ降ろしている場面。とても分かりやすい演出ですが、序曲の間にこのような光景を見せられると既にオペラの世界に引っ張られます。棺がオーケストラ・ピットの後ろに置かれると一旦幕になり、序曲はそのまま進行。

再び幕が開くとあの大階段がパレルモ広場に。ここにシチリア群衆とフランス兵が二つに分かれて群がっていました。大階段は合唱のパワーをフルに発揮させる効果があるようです。要するに舞台の画角一杯から合唱が聞こえてくるので、その効果は絶大。それにウィーンの合唱団はさすがの上手さです。

登場人物は大階段でポジションを変えながらドラマを展開して行く訳ですが、実はこの大階段は最初から最後まで同じセットのまま。ある意味では面白くないセットで、見ていて多少辛いものがありました。プローチダが上陸する場面は、ボートが階段をせり上がるように登場し、階段の一部分が海であるかのように見せかけていました。その他、特に印象的だったのは第4幕の牢屋の場面。大階段を背景に舞台の開口面全てを真っ黒な鉄格子で塞いだセットは圧巻でした。捕らわれの身のアルリーゴがオーケストラピットの前で歌うので、観客にも牢屋の中に閉じ込められた錯覚を与えます。重圧感を演出するには上手いアイデアだと思いました。このように大階段上で全てを表現しようとする徹底ぶりがかえって作品に強いポリシーを持たせるのに成功したと言えそうです。

●演奏について

今回のヴェルニケの演出は、彼の「ボリス・ゴドノフ」で見せた「動」に対して「静」と位置付けられ、その分音楽面に神経を集中出来ました。これに応えロベルトはイタリアの熱気溢れる音楽で歌手をサポート。昨日聴いたアバド/リンデン・オーパーも凄いものでしたが、ウィーンのオケはいとも簡単に素晴らしい演奏をしてくれるのに改めて驚きました。オペラ演奏の歌い回しが上手いというか、ロベルトの棒に機敏な反応を見せていました。ちなみに今日のコンサートマスターはキュッヒュルでした。

歌手で最高だったのはやはりブルゾン。最初に登場した時はスーツ姿で、次はフランス軍服。終始、賢者のイメージが支配しており、モンフォール役としてはもう少し恐さみたいなものが欲しかったと思います。しかし歌は凄いものがありました。深くてと渋いバスに酔ってしまいます。4月にホールオペラの「ナブッコ」を歌いますが、これもとても期待できそうです。ちょうどオペラ・ガラ3月号の表紙はブルゾンのモンフォール姿が表紙を飾っていました。

アルリーゴ役のボータ、彼はよく響くテノールでびっくりしました。声量では本日の中でも一番。とても生きが良くてストレートな表現に圧倒されます。隣のご婦人はカーテンコールの度にボータ、ボータと叫んでおられました。彼は今年のザルツブルクのドン・カルロ役も決まっているそうです。

エレーナ公女役のヴァネスも怨念のこもった演技が上手くて、ヴェルディの復讐劇に相応しい凄みがありました。ハスキーな歌声も魅力的でした。終始厳しい表情を崩さないで、歌いまくる姿には恐さがありました。

さて異色な存在としてはフルラネットが扮するプロチーダ、彼はシチリア・マフィアのドンではなくて幹部といった役柄に見受けられました。目がねをかけてエレーナとアルリーゴを上手く操る役柄を上手く表現。彼は第5幕の大詰めでフランス軍を襲い、モンフォールを倒すのですが、ついでにアルリーゴを刺して、さらにエレーナの首まで最後に掻き切ってしまったのです。このことはプログラム解説の台本に書かれていないので、これは明らかにヴェルニケが加えた演出。最後はプロチーダがマフィアのドンに収まろうという訳でしょうか、かなりの飛躍が最後の幕切れで提示されてしまいました。

ちょっと難解な感を抱いた演出でしたが、音楽は総じて素晴らしくてイタリア・オペラしかも声と合唱の饗宴を聞いたという充実感はありました。カーテンコールもブーはなくて盛大な喝采になりました。ロベルト・アバドは手堅い指揮者という印象を受けました。

(PS)
この日はベルリンからウィーンに入ったのですが、気温がぐっと高く感じられました。天気はくもりで雨が今にも振りそう。ホテルは昨年からANAグランドを利用しています。劇場まで歩いて3分というのは超便利です。シュテファンの工事も塔の半分くらいが終わったのかな。それにしても一体何時まで工事するのでしょうか。
                               tujimoto

■#2937 芸術劇場 98/ 3/11 1:56 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(5)ウィーンの『トゥーランドット』  tujimoto

●Giacomo Puccini, "TURANDOT"
  Mittwoch, 4.Maerz 1998 18:30 Uhr/ Winer Staatsoper

  Musikalische Leitung    : Jun Maerkl
  Inszenierung            : Harold Prince
  Buehnenbild und Kostueme: Timothy O'Brien
  und Lichtregie            Tazzena Firth           
                            Ken Billington
  Choreographie           : Francis Patrelle
  Chorleitung             : Johannses Meister

  Turandot                : Jane Eaglen
  Altoum,Kaiser von Chaina: Gottfried Hornik
  Timur                   : Miguel Angel Zapater
  Kalaf                   : Janez Lotric'
  Liu`                    : Eliane Coelho
  Mandarin                : David Cale Johnson
  Ping                    : Marian Pop
  Pang                    : John Dickie
  Pong                    : Franz Kasemann
  Der Prinz von Persien   : Robert Gajdics
  Erste Balkondame        : Erika Hathazi
  Zweite Balkondame       : Wilma Maller
  Gumpoldskirchner Kinderchor
  Buehnenorchester der Oesterreichischen Bundestheater
  (Pause: nach dem ersten und zweiten Akt)
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チケットの画像今日はポピュラーな演目でリラックスして楽しもうと思いましたが、またしても凄い歌手の登場で唯ひたすら驚嘆することになりました。驚異の歌手はまさしくイーグレンその人。圧倒的パワーで舞台を牛耳る偉大なる姫の登場でした・・・

●第1幕

昨日のシチリアはパルケット5列目で見ましたが、今日は最前列のど真ん中でした。コンサートマスターはヒンクで、随分早くからピットに入り練習されていました。ピット内部は珍しく録音マイクが乱立していたのでレコーディングでもするのでしょうか。さて日系ドイツ人のメルクルは既にドイツの歌劇場音楽監督を勤めているとか。4月のN響にも登場するそうです。横顔がミスター・ビーンを真面目にした顔に似ていました。

いよいよ演奏開始直前に幕が上がると、円に四角い渦巻きをあしらった中国模様の巨大レリーフが登場。ラーメン鉢に見かけるロゴの大きなやつで、これが城壁の役目をしています。隙間は妙幕になっていて奥からかすかな光が漏れていました。重圧感ある開始音とともにレリーフが上がると、とても長い階段で組んだ宮殿が出現。そこらじゅうに群衆と役人が群がり、オーケストラと合唱が豪快に鳴り響いています。

メルクルの指揮は端正で折り目正しいもの。押さえ方と盛り上げ方の壺を心得ていて、情感も十分。機敏なタイミングで指示を出して歌・合唱とオーケストラをぴったりとコントロールしていました。今日の座席は指揮者の視点で舞台とオーケストラを一望出来るので、オペラの指揮法というものをじっくりと観察できました。それにしてもメルクルのテンポとリズムはなかなか良いですよ。エキゾチックで豪快な音楽にすっかり魅了されてしまいました。

薄暗い舞台には沢山の生首が天井から吊されていました。いずれも弁髪でトゥーランドットの謎が解けなかった王子達のもの。さてカラフは当初予定されていたジャコミーニではなくてロトリック(Lotric' の読み不明)に変更されていました。ついでにリューもフリトーリからコエッリョに変更。フリトーリが出ないのはちょっと残念。ロトリックのカラフ、これはまた凄い歌手でした。良くもここまで強力に歌ってへこたれないなあと感心しました。声の質は甘くもなく特に美声という訳ではありませんが、張りと伸びの良さは抜群。パヴァロッティもびっくりのパワーを感じました。名前の綴りから見るとチェコかスロヴァキア出身でしょうか。

第1幕ではトゥーランドット姫が姿だけお見せになられます。変則的に配置された階段上部に姫が登場した時、一瞬硬直状態のような緊張が。すっ凄く大きい!一体今のは姫か?とびっくりしました。銀色のマスクを付けられ、ギラギラと輝く衣装に包まれた大きな大きな姫が見えました。実に立派。恨みが巨大な化身となった姿のようです。これに憧れるカラフの心境も何故かとても自然に見えました。音楽はどんどんと高まり、カラフのアリアから銅鑼を叩く場面まで凄い迫力に圧倒。これぞスペクタクル・オペラの醍醐味です。メルクルもなかなの指揮者で手応え十分でした。

●第2幕

宮殿の場面は長い2列の階段を中央で合わせて、左右には扇状の橋が左右外側へ架かっていました。空には雲が立ちこめ、橋の中央上部には丸くて赤い中華マークが掲げられていました。ピン・ポン・パンは人力台に運ばれながら登場。彼らはいずれも仮面をかぶり狂言を行います。ちょうどピン・ポン・パンをそれぞれ中央の階段と左右のふたつの橋の前に配置して数字の3を意識させてたレイアウトになりました。これはトゥーランドットの3つの謎にも対応していそうで面白いです。左の橋が「希望」、右が「血潮」で中央の階段が「トゥーランドット」かなとも連想しました。

さていよいよ横綱トゥーランドットの登場。階段の高いところから、のっしのっしと降りられています。姿だけでなく歌も凄い。しかも美しい超ドラマチック・ソプラノが途切れることなく劇場を揺り動かすのですから。歌のパワーも超ヘビー級ですが、何ともリリックな面をも兼ね備えている歌には大感激です。これに煽られてカラフも盛り上がりに盛り上がりましたから、これは本当に凄かった〜。これにオーケストラの重厚で豪快な演奏が相乗効果を発揮する訳ですから如何にプッチーニが凄い音楽を作ったのかと素直に感謝しました。

●第3幕

この幕の圧巻のひとつはカラフのアリア「誰も寝てはならぬ」でした。ロトリックのアリアは素晴らし過ぎます。観客も堪えられなくなりブラーヴォの大拍手。もちろんメルクルも演奏をここでポーズ状態に。拍手が止まらないのでメルクルが指揮棒を構えます。寸分の狂いもなくポーズがスタートに変わりました。

もうひとつの圧巻はコエッリョのリューでした。この人はここで一度見たことがありましたが、今回の出来栄えでその実力は十分に納得。特にその迫真とも言える演技では本日の一番ではなかったでしょうか。カラフとトゥーランドットは演技というよりも歌一本で勝負に出ているようですから。それからコエッリョの歌も熟練さと相まってとても上手かったです。

最終場面、トゥーランドットはカラフにキスされてからは意外とあっけなくカラフに心を広げてしまいます。もうちょっと抵抗とか恥らいの演技も欲しかったかなとも思いました。それにしてもカラフの名前を「愛」と叫ぶ場面は感動的でした。姫自ら舞台中央に立って、カラフと一緒になる姿は神にも近い威厳に満ちていました。周囲に群衆が整列して歓喜とともに舞台奥から巨大な黄金の横板を何枚も重ねて作った太陽が神々しく上がってきます。素晴らしい演奏にサポートされて輝かしくかつ圧倒的な幕となったのです。

カーテンコールはもう語ることがない程の熱狂。ただ指揮者メルクルには若干のブーも混ざっていました。音楽に狂いが無かったのに何故と思います。それにしても今日は良いオペラを見ることが出来て幸せでした・・・

(PS)
ウィーン二日目もくもり空。気温は15度くらいあります。雨もパラパラしていて、特に行く所もなく、街をぶらぶらしていました。やっぱりベルリンよりも物価がちょっと高いかな。さていよいよ明日はまたベルリンに戻らなくては・・・

                                tujimoto

■#2939 芸術劇場 98/ 3/11 19:29 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
RES:#2938>トゥーランドット>からから!さん     tujimoto

●からから!さん

こんにちは。トゥーランドットは良いオペラですね〜私も大好きです。からからさんも以前にトゥーランドットの書き込みされていますね。とても面白いお話、参考になりました。

>ね。いやはやうらやましいです。我が家のLDはMET/ゼッフィレリのものですが、
>これは、一度生で見てみたい作品だと思っています。

METのLDは凄いですね。豪華絢爛で歌手も素晴らしい。ゼッフィレリのと比べると今回のウィーンの舞台はとても見劣りしてしまいます。あとヴェローナのLD(ヴィデオ)も出ていますね。これもシンプルな舞台だけど、とても良い演奏です。後はBSで放送していたサンフランシスコオペラも面白そうです。

日本でトゥーランドットは余り見かけないので、やっぱり海外に行く機会を狙うのが良いかも知れませんね。一度イタリアの劇場で見てみたいなぁ〜
                                tujimoto

■#2942 芸術劇場 98/ 3/13 0:35 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(6)アバドBPO『角笛交響曲3番』  tujimoto

●Berliner Philharmonisches Orchester
  Gustav Mahler  : Symphonie Nr.3 D-Moll
  Donnerstag, 5.Maerz 1998, 20Uhr
  ---
   Dirigent      : Claudio Abbado
   Solistin      : Marjana Lipovsek
  Damen des Bayerischen Rundfunkchores
   Einstudierung : Michael Glaeser
  Toelzer Knabenchor
   Einstudierung : Gerhard Schmidt-Gaden
---------------------------------------------------------------------

チケットの画像いよいよ角笛の核心となるべきマーラー交響曲3番。アバドはファルスタッフ最終公演の後すぐにリハーサルに入ったとすれば、リハーサルは二日間だけでしょうか。もしくはもっと前から開始していたのかも知れません。結論から言うと、初日の公演は既に完璧で、素晴らしいの一言に尽きます。交響曲3番は、これからザルツブルク・イースター、ヨーロッパコンサートで演奏を繰り返すようですが、ますます期待できそうです。

今日の座席はAブロック3列目右端。オーケストラの右奥は見えませんが勾配が強くてサントリーホールよりもずっと見やすい席です。着席すると程なくバイエルン放送合唱の女性陣が整列。今日のコンサートマスターはこの前と同じ安永氏でした。休憩無しの一本勝負に緊張が高まります・・・

●第1楽章

「牧神が目覚め、夏がやってくる」と表題が付けられた第1楽章は8本のホルンで始まりますが、開始早々素晴らしいサウンドに度肝を抜かれました。続く低弦から上昇する全奏は広いフィルハーモニーを駆け抜けるように響きます。それにしてもホルン、ティンパニ、弦のトゥッティは凄い。フィルハーモニーは音抜けがとても良くて、やはりBPOをフルに鳴らすにはベストなホールですね。音が全くクリップすることが無く、BPOから幾らでも音を引き出せるホールです。この特性を利用してアバドは上限がないほどに音を引き出すのです。

第1楽章はアルプスの情景を彷彿とさせますが、座席がステージまで近い分、弦・木管・金管の音がかなり広範囲から聞こえてきました。これらが寸分のズレもなく響いて来るので、パースペクティブな広がりが実に大自然のパノラマを見ているようでした。アバドは最初から緻密で伸びやかな演奏スタイルを展開。自然を愛する彼は演奏を楽しんでいるように見えました。ちょうど彼の横顔には喜びの微笑みが讃えられ、自身に満ちたタクトぶりはとても印象的でした。

来日公演での交響曲2番の緊張と壮絶さが忘れられませんが、3番は緊張というよりも自由で伸びやかな歓びに溢れた曲。ですから聞いていて実に楽しい。大自然を謳歌するゆったりとしたリズムとテンポに安心して身を任せられます。またその分各パートのアンサンブルの素晴らしさを堪能できる余裕がありました。もちろん室内楽的アンサンブルの緊密さや緊迫感も申し分無し。

アバド/ウィーンフィルでマーラー3番のCDがありますが、やはり録音は情報量が如何に抜け落ちているかを実感させられました。目前で繰り広げられるサウンドはライブならではの息づかいとかホールでしか体験できないスリルに溢れていて、この曲が如何に素晴らしかを教えているようです。CDに録音出来ないもの、それは空間的な音のレイアウトであったり、目に見えない気合いのようなものであったり、とにかくアバドBPOはライブに限ると実感しました。大自然への思い入れたっぷりのアンサンブルはほぼ完璧に進み、壮大な第1楽章を37分で終了しました。

●第2楽章

「牧場で花が語ること」と表題を持つこの楽章はとても牧歌的なオーボエで始まります。壮大で圧倒的な第1楽章とコントラストをなすように第2楽章は実にリラックスした演奏でした。アバドもちょっと手綱を緩めてオーケストラにインスピレーションを抱かせるような感じでした。

フルートとヴィオラのパッセージの所で気づきましたが、ヴィオラがまた何とも厚みと渋みがあって素晴らしい。BPOサウンドはヴィオラなど内声部がとても充実していると思いました。ウィーンフィルなんかに比べると木目がちょっと粗いようですが、それがまた強力なアンサンブルに独特の色合いを与えていて魅力的。ヴァイオリンなど弦のディ・クレッシェンドは特筆もの。ピアニッシモでも音のハーモニーを保ちながら音の消え入り方が素晴らしい。デクレッシェンドからオーボエが音を発し始める箇所は得も言えぬ美しさでした。

●第3楽章

「森の獣たちが語ること」の表題を持つ楽章で、クラリネットとピッコロの何とも魅力溢れる小鳥の鳴き声で始まりました。う〜ん、このメルヘンさこそがマーラーだと実感。いつもいつも爆発するのがマーラーでは無い。この楽しさ、生き生きとしたリズム。アバドもとても楽しそうで、森で遊んでいるように見えました。鶯の鳴き声は「若き日の歌」から取られたそうですが、これはまた「子供の魔法の角笛」に歌詞を取っているそうです。

この楽章の聴き所は14節から始まるアルペンホルンのトリオ。これはシュタインバッハでマーラーが聴いた角笛の響きによると言われています。フィルハーモニーの何処からか微かに聞こえてくるホルンとヴァイオリンの超ピアニッシモがとても印象的でした。この楽章はまさに別天地を思わせるものがありました。

●第4楽章

「夜が語ること」と表題を持つこの楽章はニーチェの詩をリポブシェックが歌います。彼女はアバドの「ファルスタッフ」で素晴らしい演技と歌を楽しませてくれたばかりです。今日は金色の衣装で、この前のオッターが歌ったのと同じ場所で歌います。ちなみに彼女は出番までずっと座っていました。ソリストは途中から登場する場合もありますが、このように演奏を重視した配慮はとても好ましいです。"O Mensch!" で始まる歌は、明確な発声であいまいさを許さないものでした。しっとりとした艶やかさがヴァイオリン・ソロと美しく調和し、この世のものとは思えぬ崇高さ。ホルンのサポートがまた絶妙でした。

●第5楽章

「天使が語ること」の表題を持つこの楽章は、まさしく「魔法の角笛」歌曲が転用されたもの。少年合唱は私の席からは見えませんが、おそらくステージ右側後方、オルガンの前に配置しているようでした。その為、天使の歌声が頭上から本当に天から降り注ぐように聞こえました。短い楽章からは一気に終楽章へ突入しました。

●第6楽章

「愛または神が語ること」の表題に相応しい核心部は実に感動的な演奏でした。冒頭のヴァイオリンの旋律などやや細身とも思えるほど抑制を効かせながら、淡々と音楽を進めていきます。禁欲的といえるほどにロマンや誇張を一切排除したような演奏。その透明な響きは清々しく、それでいて暖かさを感じるものです。これは次第に祈り、感謝の念を沸き立たせながら、大きな大きなうねりに成長。テンポもこれしか無いと思えるほど波長の合ったものでした。

壮大なクライマックスではオーケストラの吹き上がりに上限が無いかと思われるほど高揚し、まさにフィルハーモニーを揺るがしました。「ファルスタッフ」の時も感じましたが、最近のアバドの作る音楽の起伏はとても大きくなったのでは無いかと思います。誇張しない純音楽的な演奏であってもダイナミズムが十分伝わってくる凄さには驚きます。要約するとアンサンブルの凄さとか音楽の美しさという表面的なものを全て超越して、自然・神への感謝がこの演奏に集約されていました。ですから音楽に圧倒されつつも祈りを見いだした思いです。はっきり言って実演で効いた最高の内容でした。演奏終了後、次第にフィルハーモニーを包み込む拍手にも観客の感動が感じとれました。機会があれば是非3番を聴きたいです。

(PS)
ティア・ガルテンはもう緑色に変わりつつありました。ベルリン初日の3月1日から一週間しか経過していませんが、とても早いピッチで春が訪れています。今日も暖かく、曇り。時々雨もパラついています。この時期ベルリンの音楽は盛り上がりますね。
                               tujimoto

■#2943 芸術劇場 98/ 3/14 22:19 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(7)『ニーベルンクの指輪』一夜版   tujimoto

●WAGNERS 》RING《 AN 1 ABEND
  EINE EINFUEHRUNG VON UND MIT LORIOT
  DEUTSCHE OPER BERLIN
  Freitag, 6.Merz 1998 18:30 Uhr
  ---
  Musikalische Leitung  : Jiri Kout
    Wotan        :Robert Hale
    Loge         :Wolfgang Neumann
    Alberich     :Kalevi Olli
    Fricka       :Ute Walther
    Woglinde     :Fionnuala McCarthy
    Wellgunde    :Ulrikde Helzel
    Flosshilde   :Elena Zhidlkova
    Siegmund     :Wolfgang Neumann
    Sieglinde    :Karan Armstrong
    Bruennhilde  :Nadine Secunde
    Helmwige     :Michaela Kaune
    Gerhilde     :Yvonne Wiedstruck
    Ortlinde     :Lucy Peacock
    Waltraute    :Ute Walther
    Siegrune     :Mariana Cioromila
    Rossweisse   :Elena Zhidkova
    Grimgerde    :Anastasia Souporovskaja
    Schwertleite :Kaja Borris
    Siegfried    :Wolfgang Neumann
    Mime         :Oskar Puergstaller
    Der Wanderer :Rogert Hale
    Gunther      :Lenus Carlson
    Hagen        :Friedemann Kunder
    Gutrune      :Yvonne Wiedstruck
---
 Das Programm                       (プログラム)

  I.DAS RHEINGOLD          I.ラインの黄金
    Vorspiel in Es-Dur                前奏
    Alberichs Raub                    アルベリッヒの略奪
    Dialog zwischen Wotan und Fricka  ヴォータンとフリッカのダイアローグ
    Alberichs Fluch                   アルベリッヒの呪い
    Einzug in Walhall                 ワルハラへの入場

  II.DIE WALKUERE                  II.ワルキューレ
    Siegmund un Sieglinde             ジークムントとジークリンデ
    Todverkuendigung                  死の告知
    Die Walkueren                     ワルキューレ達
    Wotans Abschied und Feuerzauber   ヴォータンの告別と魔の火
         -Pause-   
  III.SIEGFRIED                   III.ジークフリート
    Mime und Siegfried                ミーメとジークフリート
    Wanderer und Mime                 さすらい人とミーメ
    Waldweben                         森にて
    Wanderer und Siegfried            さすらい人とジークフリート
    Bruennhilde und Siegfried         ブリュンヒルデとジークフリート

  IV.GOETTERDAEMMERUNG             IV.神々の黄昏
    Morgendaemmerung                  朝の夜明けとラインへの旅
    Die Gibichungen                   ギービヒ家
    Hagens Wacht                      ハーゲンの見張り
    Bruennhilde und Waltraute         ブリュンヒルデとワルトラウテ
    Siegfrieds Tod                    ジークフリートの死
    Finale                            フィナーレ
------------------------------------------------------------------

チケットの画像ここまでプログラムを見て頂くとお分かりのように、「一夜版リング」とは所謂「リング」のハイライト集でした。さらにオペラ形式だと思っていたのが演奏会形式でした。ちょうど今はDOB「リング」第2チクルスが上演されている最中で、歌手達のオフに会わせて上演されたのです。それにしてもオペラの舞台を期待していただけに、これはちょっと期待外れ。オペラハウスでのコンサートはミュンヘンでも見たことがありますが、余り良いものではありません。やはりオペラハウスではオペラを見たいところです・・・

●一夜の指輪とは

さてこの演奏会はちょっと変わっていました。いよいよ指揮者登場という時、ステージ右側から白髪の目がねを掛けたロリオが登場。この時、左からは指揮者コウトが。舞台中央で二人は握手をして、ロリオは解説を始めました。これは各ハイライト・ピース毎に加えられます。どうもワーグナーの楽曲解説ではなくて、物語に登場する人物を可笑しく説明しているようです。ドイツ語のコメディが分からないので、笑えないのが残念ですが、周囲はお腹を抱えて大爆笑。演奏家たちもクスクスと笑いを堪えておられました。どうもロリオはコメディアンのようですね。彼がリング解説を始めたのはマンハイムの劇場だそうで、これが当たってCDも発売されています(DEUTSCHE GRAMMOPHON 439 167-2)。ちょうど会場で 売られていたので買いましたが、リブレットの解説がほとんど無いのが残念。演奏はカラヤンBPOでした。

さてステージは例によってゲッツ・フリードリッヒの指輪で有名なタイムトンネルが舞台に設置。途中で水道管が切れ落ちたように短くなっていて、奥は大きな楕円の開口面が。これが妙幕のスクリーンになっています。その場面場面の雰囲気に応じて、象徴的なオブジェや映像が投影される仕組みです。冒頭「ラインの黄金」の前奏ではカオスを表現するように靄の映像でした。また黄金を表現する時はバックステージに現れたマシンのようなものが黄金色に照らされたりとか、ワルハルの場面では虹色のオブジェだったりします。

オーケストラはトンネルの真ん中当たりまで食い込み金管・打楽器群はすっぽりとトンネルの中。ちょうど今日の座席は左側バルコニーの1列目だったのでステージ近くまで乗り出すようなポジションで、とても良く見えました。

●演奏

ワーグナーの細切れハイライトというものは、断片的過ぎて余り聞きたくないもの。演奏会でもワルキューレ第1幕とかトリスタン第2幕だけを取り扱うことが多いようです。そのような心配がありましたが、各4作品を平均1時間掛けて演奏されると、やはり充実感とそれなりの満足感が得られました。やっぱりドイツという国柄、手抜きの無い徹底主義の良さが反映しているのでしょう。

さて管弦楽の演奏ですが今日はホルンが最悪。とても大事な所でしかも目立つところで平気で音を外しまくっていました。しかも一人が外れると、それにつられて他のホルンまでが。来日公演のティーレマン指揮「ワーグナー・ガラ」のアンサンブルと比べると、今日は一体どうしたのかと思いたくなります。良く見るとクラリネットは日本の若い方が吹かれていました。それでも、時を追うごとにオーケストラの調子も上がってきたようで、「ラインへの旅」は快調。信じられない程のパワフルさでした。反響音もトンネルから放射されて、音量感は凄いものがありました。

指揮者のコウトもロリオのコメディに終始なごやかな笑顔。リラックスして指揮されていました。DOBの指輪はずっとコウトが指揮していて、その職人芸は体に染み付いているようです。見方を変えればインスピレーションに溢れたスリリングな演奏は期待できませんが。オーソドックスで安心できるものでした。ドイツオペラを日常的に楽しむには無難といったところでしょうか。

日常的オペラという点で見ると、ベルリンでつくずく思うことは、老若男女問わず皆が映画でも見るように気軽に楽しんでいること。ミュンヘンなどでは一面正装で庶民的とは言い難いですが、ベルリンは小・中・高の学生達でも、とても行儀よくオペラを楽しんでいますね。今日はコメディ付きのせいか、ひときわ庶民的でありました。しかし音楽は深遠なワーグナーの世界。そしても皆が熱狂する。やはりワーグナーはドイツで最も人気ある出し物のようです。

歌手では、来日公演「ばらの騎士」で登場したマッカーシーなど3人の若手が「ラインの乙女」を歌いました。とてもクリアーで美しいソプラノが印象的でした。ソプラノではまずアームストロングのジークリンデがとても無難に滑り出しました。ジークリンデという役柄、もっと若い歌手が良いかとは思いますが、さすがレパートリーにしているだけあって熟練の歌でした。

ゼクンデのブリュンヒルデはなかなかのものでした。タンホイザーのエリーザベトを歌うのは聴いたことはありますが、ブリュンヒルデを聴くのは始めて。リリックさにドラマチックさを加えた歌はまた新しいブリュンヒルデを聴くようで立派でした。特に目覚めの場面からジークフリートとの二重唱は圧巻。ここはオーケストラも自発性を見せて最高の盛り上がりを見せました。

男声陣ではまずノイマンがいろんな役を歌いました。ローゲに始まり、ジークムント、それにジークフリートです。ちなみにDOBリング・チクルスではのローゲ=シルヴァスティ、ジークムント=エルミング、ジークフリート=コロなので、本日の公演でノイマンは主役を歌うチャンス到来という訳です。そんな彼は立派に歌いそれなりに盛り上げてくれました。歌はとても丁寧で声の伸びも素晴らしい。しかしコロのジークフリートなどと比べると可哀相ですが、もうひとつ何かが足りないという感じがしました。

さてヘイルのヴォータンはタキシード姿でもヴォータンに見えますね。顔の彫りが深くて、目が引っ込んでいる分、眼帯をしていなくても片目に見えてしまうから不思議。貫禄の歌と演技はやっぱり渋い。演奏会形式といっても歌手達は自然と演技も付けてしまいます。ヴォータンの告別はいつ聴いても痺れるような音楽ですね。やっぱりワーグナーは良いと思うのでした。

「リング」断片集もサービスたっぷりに4時間も演奏されると、さすがに満腹状態になります。後半は歌手たちも大いに盛り上がって演奏が終了しました。これもロリオのコメディが要所要所でリラックスさせたから、長い演奏がそれほど長く感じさせなかったのかも知れません。本当に珍しく面白いコンサートでした。

(PS)
いよいよこれでベルリン滞在最終日になりました。今日も曇りなので今回の旅で太陽にお目に掛かれませんでした。さて明日は帰国ですが、もうちょっと休みが取れればシュタイン/クプファーの「サロメ」が見られるのですが、残念。

                                tujimoto

■#2945 芸術劇場 98/ 3/16 0: 3 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
魔法の角笛(8)エピローグ            tujimoto

無事予定していた演目を全て聴くことが出来ました。今回はベルリンが主体になり、ウィーン滞在2日だけという駆け足だったので時間はあっという間に過ぎてしまいました。

実は今回この旅を思い立ったのは昨年4、5月頃。ちょうど年間プログラムが発表される頃で、いろんなプランが組めます。だいたいが日替わりでオペラが楽しめるドイツ・オーストリアに集中してしまうのですが、今回は3月のBPOを集中的に聴くべきか、フェストターゲを中心にするか、あれこれ考えました。フェストターゲとウィーンを組み合わせると、「魔弾の射手」「マイスタージンガー」「パルジファル」「リェンツィ」、シカゴ響、BPOと極めて盛り沢山のプランが組めます。またザルツブルク・イースターを狙うという手もありますね。本当は4月を考えていたのですが、年度始めの休暇は取りにくい為、今回のプランとした訳です。

●演奏会まとめ

最大の収穫はアバドの新しいオペラが聴けたこと。最近の彼はザルツブルクで年に一つのオペラを振るだけなので、彼のオペラは貴重です。しかもリンデン・オーパーでの公演は本当に珍しい。これを機会にもっとオペラを振って欲しいものです。

彼が指揮する二つのBPO演奏会も素晴らしいものでしたが、何よりもマーラー3番のインパクトが強烈でした。噂では来日公演で演奏されるそうですが、果たしてチケットをゲットできるかどうか。電話予約で成功したことがありません。

さてウィーンでは二つのオペラ。ヴェルニケの「シチリア」は期待したほどのインパクトを感じなかったのは残念。「トゥーランドット」は無難な演出で、何よりもイーグレンという素晴らしい歌手を聴けたのは収穫です。ウィーンのオペラはオケが良いので、まず当たり外れがなくて安心できます。

以上、短い1週間の旅で如何に良いコンサートとオペラを聴くか、いつも頭を悩ますところですが、今回は上手い日程を組むことが出来ました。

●ベルリンの近況

ソニーセンターの工事特に変わった点は無くて、工事がますます派手になっていることくらいです。ブランデンブルク門の通過は工事で片側通行、しかも東から西へ抜ける一方通行になっています。西から東へ行くには大きな迂回を強いられて不便です。それと地下鉄ポツダマー・プラッツからフィルハーモニーへの周辺は全て工事現場で歩行注意です。ついでに西側も一部工事していますが、オイローパー・ツェンター横の工事は1年前から進んでいないように見えました。

●ウィーンの近況

ウィーンも特に変わったところはありません。たまには郊外へ足を伸ばそうと思うのですが、今回は実質1日半で、しかもオペラがありますから、周辺を少し歩く程度でした。日本から輸入したCDも並んでいましたが、やはり高いですね。

●滞在したホテルとモデム接続

《ホリディ・イン・クラウン・プラザ》ベルリン
地下鉄にも近くて便利なホテル。電話機に繋がっているケーブルを外して、そのままモバに接続するだけ。後は0発信でコネクトできます。

《ANAグランド》ウィーン
国立オペラへもムジークフェライへも数分の所にあって超便利。電話機が集中コントローラーになっていて、側面のジャックに接続するだけ。カレーラスもインターネットする為に泊まることがあるとか。

《ホテル・アドロン》ベルリン
昨年ブランデンブルク門横にリオープンした最新ホテル。ANAグランドもびっくりの豪華さで、デスクワークも出来るようになっています。各種モデム/FAXポートもずらりと装備。EU/US の中でUSに繋ぐと簡単にコネクトできました。それとこのホテルの従業員は全て美人しか採用していないようですよ。ハウスキーパーも「ばらの騎士」よろしくの美女でした(^^;

以上で「魔法の角笛」シリーズの終わりとなります。今回は帰国後1週間以内にレポート出来てホッとしています・・・
                                tujimoto

■#2948 芸術劇場 98/ 3/17 2:18 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
RES#2946,#2947>INVEさん BMWさん    tujimoto

●INVEさん

>それにしても、ベルリンやウィーンでも簡単にアクセスできる世の中に
>なったのですね。(感慨)

そうですね。pcvanでニュースを読みましたが、関東に雪がまた降ったようですね。何でもスカイライナーが止まったとか。出発が1日遅ければ危ないところでした。

●BMWさん

>ゼクンデは、実演ではまだブリュンヒルデを歌っては(たぶん)いないでしょ
>うが声質から想像するに、情感豊かなブリュンヒルデになることでしょうね。
>“ホヨトホー!”なんかはちと苦しいかなとは思いますが、『神々の黄昏』の
>終幕あたり、いい感じかな。

おっしゃる通り、ホヨトホーはセーブして歌われていました。やはりスリムなタイプなので、ポラスキのようには行かないようです。今年のDOBのブリュンヒルデはベーレンスが出ているようですが、将来ゼクンデもリングに出演出来るようになれば良いですね。

>DOBでは、モーリス・ベジャールが振り付けたバレエ版の『ニーベルングの
>指環(副題−Ring um den Ring−)』をレパートリーとして持っており、バレ
>エ・ファンよりは、オペラ好き・・・ワーグナー好きには実に興味深い、ベジ
>ャールらしい舞台を楽しむことができます。上演時間はたっぷり4時間あり、
>その幕切れではなぜか?『パルジファル』の前奏曲が流れるという不可思議な
>ものです。

あ、あれはDOBだったのですか。確かチラシは見たことがあったのですが、バレエはほとんど見ていないので、見ればよかったかな〜バレエで4時間とは凄い。「指輪」一夜版はやはり疲れますが、バレエの動きが加わると、面白そうですね。

                              tujimoto

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