'97ザルツブルク音楽祭旅行記

「まとめ」の感想


■#2768 芸術劇場  97/10/20  23:43 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
ザルツブルク音楽祭(19)「まとめ」の感想           tujimoto

充実満点のメニューが全て終了しました。長いようで短かったです。最初はボリ
ュームに圧倒されましたが、今は絶好調です。でも明日からは帰国の途。名残惜
しさが残ります。とりあえず「まとめ」の感想を思いつくままに・・・

■滞在型/周遊型どちら?

音楽を楽しむ海外旅行は滞在型と周遊型に分かれますが、私はどちらかと言えば
周遊型の旅行が中心です。まずシーズンプロで聴きたいオペラとコンサートを調
べて都市毎にチェック。次に聴きたい演目を最大限ハシゴできるようにルートを
考えます。同じ日に聴きたい演目が別々の街でよく重なります。こんな時、どち
らの街から回るかといつも悩みます。

でも夏休みを利用してのザルツブルク音楽祭はそんな心配は無用。毎日オペラと
コンサートを楽しめるのです。ザルツ以外でオペラを沢山見れる所と言えば、バ
イロイト、グラインドボーン、ヴェローナくらいですが、これらをハシゴするの
は大変ですね。聖地バイロイトはチケット入手が困難。それからグラインドボー
ンはアプローチが大変で庶民には近付き難い。ヴェローナはまず宿が取れない。
このように考えるとザルツブルクが一番お手軽で、しかもプログラムが豊富。宿
とかチケットが高いのは止むを得ないとして、約一週間オペラとコンサートに明
け暮れることが可能です。ザルツブルクは必然的に滞在型となる訳です。

■生活リズム

ザルツブルクで感じたことは、ゆったりとしている時の流れです。時を告げる教
会の鐘。この響きで目が覚め、昼になると昼食を告げます。まさに時計を意識せ
ず、のんびりと暮らすリズムは中世から永遠普遍なのでしょう。ウィーンものん
びりしていますが、ザルツブルクはそれ以上、本当にタイムマシンで過去へトリ
ップしたようです。いつもの仕事の忙しさから解放されたせいでしょうか、公園
や川辺の散歩が実にのんびりと楽しいものです。
のんびりしたリズムはコンサートやオペラを楽しむのにとても大切であることも
実感しました。仕事帰りのオペラは途中で眠くなったりしますが、ここでの生活
リズムでは全くその心配はありません。じっくりと隅々までオペラに浸れます。
劇場から外に出る時も時間が掛かります。ここは皆に合わせてゆっくり振る舞い
ましょう。自ずと心にゆとりが生まれます。

■音楽祭で聴く音楽は?

プログラムは実に多彩ですね。私はオペラを主体にコンサートを混ぜましたが、
聴きたいリサイタルなんかも多くて目移りする程です。ZEITFLUSS 97という現代
音楽シリーズも開催されていました。演劇も盛況のようです。総合プログラム書
の写真を見ると、オペラさながらの幻想的な舞台で面白そうです。ちなみにシュ
タインは演劇とオペラを演出する大家ですが、ザルツブルクのチケットが高い理
由は彼を筆頭とする演出家達へのギャラが高い為だそうです。

■今回の演目について

 概要については既に#2652の速報で述べた通りです。
◇今回見たオペラ7本のうち3本がモーツァルトです。モルティエの説明による
 と、今年のモーツァルト5本「ミトリダーテ」「ルーチョ」「ティト」「後宮
 」「魔笛」はいずれも共通点として「権力と許し」をテーマにしているとか。
 私の感想ではルーチョがとりわけ寛容という点で強く印象に残りました。
◇「ペレアス」「ヴォツェック」「ボリス」の三作品にも若干の共通点がありま
 す。ドビュッシーはペレアスを作曲する時、ボリスを念頭に置いていたそうで
 すね。逆にベルクはヴォツェックを作曲する時、ペレアスを間近に見ていて刺
 激を受けたそうです。私自信はペレアスとヴォツェックの共通点として「嫉妬
 」という要素が強く印象に残りました。
◇珍しい演目は「グラン・マカブル」でした。モルティエは現代オペラの定着に
 努めていて、今回はリゲティ本人へ手直しを依頼。現代オペラを見るのは初め
 てでしたが、とても良い体験になりました。
◇オペラの影に隠れてしまいそうですが、マチネーも質が高くて充実。朝からこ
 んなに良い演奏を聴くのが本当に勿体無く感じました。日本に持ってくれば名
 演と評価を受けること間違い無しの出来栄えでした。それとモーツァルテウム
 など器の響きがとても素晴らしく感動しました。

■今回の出演者たち

さすがに見た本数が多い分、いろんな指揮者・歌手達を聴くことが出来ました。
出来不出来がばらつくにしても水準の高さは保証されています。歌手達は皆甲乙
付け難い出来栄えです。強いて良かった歌手をあげるとすれば、女性ではスーザ
ン・グラハム、男性ではドーメンとヴァネエフが素晴らしかったです。

指揮ではアバドが弾突の集中力を発揮。もちろんゲルギエフも燃えていました。
カンブルランは一見地味ですが、実に味のある堅実な指揮者です。ムーティはウ
ィーンフィルとの信頼関係によって期待通りの出来栄え。

ウィーン国立歌劇合唱団はほぼ連日の出場でもパワーが衰えない健闘ぶりです。
シェーンベルク合唱団は初めて聞きましたが、ひと味もふた味も違う響きを持っ
ているのに驚きました。バッハ合唱団はとにかく若さと元気が売り物。

オーケストラではウィーンフィルを4回聴きましたが、その底力は凄いですね。
魔笛は極端に冴えなかったですが、これは指揮者との相性が悪いのでしょう。特
にゲルギエフ指揮の時はウィーンの雅と重戦車のような分厚い響きのブレンドが
素晴らしかった。フィルハーモニアはサロネンによって巨大パワーを発揮。また
ヤンソンス/オスロの驚異的な名演奏には何も言うことはありません。下記に今
回聴いたアーティスト達をリストアップしてみます。

《演出家》7名
-------------------------------------------------------------------
 ロバート・ウィルソン    :ペレアスとメリザンド
 ペーター・シュタイン       :ヴォツェック
 ヘルベルト・ヴェルニケ     :ボリス・ゴドノフ
 ピーター・セラーズ         :グラン・マカブル
 フランソワ・アブ・サレム   :後宮からの誘拐
 ペーター・ムスバッハ       :ルーチョ・シッラ
 アヒム・フライアー         :魔笛

《指揮者》9名
-------------------------------------------------------------------
 マリス・ヤンソンス         :オスロ・フィル演奏会
 シルヴァン・カンブルラン   :ペレアス/教会ミサ/ルーチョ・シッラ
 クラウディオ・アバド       :ヴォツェック
 ヴァレリー・ゲルギエフ     :ボリス・ゴドノフ
 エサペッカ・サロネン       :グラン・マカブル
 マルク・ミンコフスキ       :後宮からの誘拐
 リッカルド・ムーティ       :ウィーン・フィル演奏会
 ホーヴァルト・アルマン     :モーツァルト・マチネー
 クリストフ・フォン・ドホナニ:魔笛

《オーケストラ》5団体
-------------------------------------------------------------------
 オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 :演奏会
 フィルハーモニア管弦楽団          :ペレアス/グラン・マカブル
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団:ヴォツェック/ボリス/魔笛/演奏会
 ザルツブルク・カメラータアカデミカ:教会ミサ/ルーチョ・シッラ
 モーツァルテウム管弦楽団         :後宮からの誘拐/モーツァルトマチネ

《女性歌手》26名            キャスト
-------------------------------------------------------------------
 ドーン・アップショウ    :メリザンド
 ネディーネ・デニーツェ   :ジュヌヴィエーヴ
 アンジェラ・デノケ     :マリー        
 マルギット・ノイバウアー  :マルグレート     
 リリアナ・ニヒテアヌ    :フィヨードル     
 オルガ・ボロディナ     :マリーナ
 シビル・エーレルト     :ヴェーヌス/ゲポポ
 ラウラ・クレイコム     :アマンダ       
 シャルロット・エルカン   :アマンド       
 ヤルト・ヴァン・ネス    :メスカリーナ     
 クリスティーネ・シェファー :ソプラノ1
 ゾイル・イソコスキ        :ソプラノ2
 エリズビエタ・シュミトカ  :コンスタンツェ    
 デジレ・ランカトーレ    :ブロンデ       
 ルート・ツィザーク     :ソプラノ       
 モニカ・バチェリ      :アルト        
 サリー・ヴォルフ      :ジューニア      
 スーザン・グラハム     :チェチーリオ     
 ハイディ・グラント・マーフィ:チェーリア      
 レーナ・ローテンス     :ソプラノ       
 ペトラ・ラング          :メゾ・ソプラノ    
 ナタリー・デッセイ     :夜の女王       
 シルヴィア・マクネアー   :パミーナ       
 メラニー・ディーナー    :第1の待女      
 ノリーネ・バージェス    :第2の待女      
 ヘレネ・ペラギン      :第3の待女      

《男性歌手》37名            キャスト
-------------------------------------------------------------------
 ロバート・ロイド      :アルケル       
 ヴィクター・ブラウン    :ゴロー        
 ラッセル・ブラウン     :ペレアス       
 アルバート・ドーメン    :ヴォツェック     
 ジョン・ヴィラーズ     :鼓手長        
 アレクサンダー・フェディン :アンドレス      
 ユベール・デランボワ    :大尉         
 オーゲ・ハウグランド    :医師         
 クルト・アツェスベルガー  :白痴         
 アンドレアス・マッコー   :第1の徒弟職人    
 ヴォルフガング・コッホ   :第2の徒弟職人    
 ウラデミール・ヴァネエフ  :ボリス・ゴドゥノフ  
 フィリップ・ラングリッジ  :シュイスキー     
 ニコライ・プチーリン    :シチェルカロフ    
 アレクサンドル・モロゾフ  :ピーメン       
 セルゲイ・ラリン      :ディミトリー     
 モンテ・ペダーソン     :ランゴーニ      
 オーゲ・ハウグランド    :ワルラーム      
 ヴィルフリート・ガームリヒ :ミサイル       
 グラハム・クラーク     :ピエト・フォム・ファス
 ウィラード・ホワイト    :ネクロツァール    
 フロード・オルセン     :アストラダモス    
 デレク・レー・レギン    :ゴーゴー王子     
 ジョン・マルク・アインスレイ:テノール       
 オリヴァー・ウィドメル   :バス         
 ポール・グローブズ     :ベルモンテ/タミーノ 
 アンドレアス・コンラート  :ペドリロ       
 フランツ・ハウラータ    :オスミン       
 ライナー・トロスト     :テノール       
 ルネ・パーペ        :バス/ザラストロ   
 デイヴィド・キューブラー  :ルーチョ・シッラ   
 バリー・バンクス      :アウフィーディオ   
 コビィ・フォン・レンズブルク:テノール
 ヨッケン・クプファー    :バス         
 ヘルマン・プライ      :弁者         
 マティアス・ゲルネ     :パパゲーノ      
 ロベルト・ヴェールレ    :モノスタトス     

《合唱》5団体
 テルツ少年合唱団員
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団
 ザルツブルク・バッハ合唱団
 アーノルト・シェーンベルク合唱団

《ピアノ》
 レイフ・オヴェ・アンスネス

実に指揮者9名+歌手63名+5つの合唱団+5つのオーケストラ!
これだけ良く聴けたものだと驚いています。まだまだ底無しで聴けます。
以上簡単な「まとめ」でしたが、ザルツは本当に良い所ですね。また何時かは是
非行ってみたいと思います。さて次回はいよいよ最終回です。
                                tujimoto

■#2776 芸術劇場  97/10/25   4:24 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
ザルツブルク音楽祭(20)帰国(最終回)          tujimoto

●8月17日(日)ザルツブルク〜フランクフルト〜LH

さて今日は帰途の旅です。朝食をゆっくりとってから、タクシーを呼びます。当
然パッキングは昨日のうちに完了。プログラム類がやたらと沢山ありました。分
厚くて重い総合プログラムに個別プログラムが11冊。それとオペラのポートレ
ート類などなど・・・モバイルギア、カメラなどはショルダーバックへ入れて出
発OK。9時半頃チェックアウトを済ませタクシーに乗ります。

タクシーはザルツァッハの橋を渡り祝祭劇場の方へ回りました。目前に通い続け
た劇場が現れると、やはり胸にジーンと来るものがあります。感動の連続を与え
てくれた劇場を去るのは本当に忍びない心境です。また何時か必ず来ることを誓
いながら、ここを右折してメンヒスベルクのトンネルを通過。

空は珍しく曇っています。そういえば昨日あたりから暑さが少し和らいできたよ
うです。8月後半はBPOも乗り込み、VPOとのバトルも展開されることでし
ょう・・・

飛行場で待つこと約1時間、例によってあのラウダ航空。ここのカウンターでは
ルフトハンザのチェックインが出来ないのでフランクフルトで再びチェックイン
しなくてはなりません。外はまたもや快晴です。10:10発LH6202のカ
ナディアンジェットという小さな機体に乗り込みます・・・

まだ午前中ですが、水平飛行に入ると早速ランチ・タイムです。あのリボンで巻
かれたナプキン・セットが配られました。広げると左右にフォーク、ナイフなど
が登場。ウィーンのDO&COレストランによるザ・マジック・テーブル(空飛
ぶビストロ)です。メニューは

  frisch gepresster Orangensaft       フレッシュ・オレンジ・ジュース

Huehnerfilet gerillt nach Japanischer     チキン鉄板焼き
 Art mit Soja-Zucchinigemuese                  日本風
     und gedaempftem Reis

       Apfel-Moh Torte                      アップル・トルテ

ザルツブルクのレストランに比べるべくもありませんが、ルフトハンザもびっく
りの美味しさです。

フランクフルトに着くといつもの雑踏です。13:50のLH710便まで2時
間ほど唯ひたすら待ちます。ゲートへ向かって歩いていると、会社の知人にばっ
たりと出会ってしまいました。まさかこんな所で会うとは驚きです。知人はこれ
から仕事に向かうとのこと。夏休みも仕事とは・・・

やっと搭乗し時間の流れに身を任せます。周囲に日本の小学生がやたらと多かっ
たのは夏休みのせいでしょう。とかく子供は煩いものですが、静かだったので落
ち着いて居眠り出来そうです。途中気流の乱れが大きく、揺れが余りにも大きか
ったので機内は一瞬騒然。隣に座ったドイツ人の方と顔を見合わせました。これ
がきっかけで話をするようになりましたが、その方はリンダウ出身で日本のドイ
ツ人学校で数学を教えているとのこと。さすがドイツの方は音楽とかの話も詳し
いようで、会話も弾みました。

●モバイルギアで旅行記

さて落ち着いた所でモバを取り出し旅行記を書き始めます。現地ではモバをメモ
代わりに使ったので、ネタはランダムな個条書きです。それを繋げる訳ですが結
構大変です。飛行機の照明も暗いし、ここはバックライトのディスプレイが欲し
いところ。そういえば飛行機の中で携帯PCを使っている方が増えましたね。今
回は現地からの接続が出来なかった為、電池交換は必要ありませんでした。それ
にしてもフジのアルカリは驚異的に長持ちします。

●新聞記事

さてモバの後はザルツブルガー・ナッハリヒテン(Salzburger Nachrichten)を取
り出して読んでみます。これは毎朝ホテルに置いてあった新聞ですが、音楽祭関
連の記事が数ページに渡り満載。音楽雑誌以上にいろんな情報が得られます。ち
ょうど私が見た「ヴォツェック」プレミエに関しては紙面トップに写真が掲載さ
れ、音楽欄の1ページ全面に批評がびっしりと書かれていました。その中から肩
の凝らないお話を少し紹介いたします・・・

《アバドが選んだパーティ・メニュー》Abbado waehlte das Partymenue

指揮者クラルディオ・アバドはヴォツェック・チームをシュメーデルプラッツに
あるレストラン「ヒルシェンHirschen」に招いた。ヴォツェックのプレミエ終了
後のことで、何でもアバドはこのレストランへ30年前から通い続けているとの
こと。理由は彼の大好物である渦巻きアップルパイ(Apfelstrudel)を食する為。
アバドの両隣にはBianca Jagger とThaddaeus Ropac が座り、歌手のアンジェラ
・デノケ、マルギット・ノイバウアーとジョン・ヴィラーズらもプレミエについ
ておしゃべり中。セバスティアン・シュヒター夫妻もマリーの子役を演じた5歳
の息子さんと一緒に招かれた。アバドが選んだメニューとは

 Lungauer Eiershwammerl mit Knoedel       クネーデル入りきのこ料理
  Backhenderl (Salzburgs Bestes)           フライドチキン

  natuerlich Apfelstrudel                  渦巻きアップルパイ

・・・アバドとビアンカ・ヤーガーが談笑している写真も掲載されていました。
   ヨーロッパのアップルパイはとても美味しいですね。私も数年前のモンブ
   ラン直下のグーテ小屋で食べた味は未だに忘れられません。

《モーツァルテウム通路を封鎖》Mozarteum will Sperre

ザルツブルク市はエイヒャー・パサージュに面したモーツァルテウムの通路を封
鎖する予定。これはモーツァルテウム敷地内部のミラベル公園に抜ける通路。便
利な通路なので多くの人が通行する。しかし数年前からゴミが捨てられたり、汚
されるという問題が起こっている。モーツァルテウムは国と市へ苦情を訴え、1
997年中にはミラベル公園に面するモーツァルテウムの中央入り口を移動させ
通路を封鎖する予定。

・・・上記通路は歩いたことが無いので分かりませんが、ザルツブルクの綺麗な
   街にゴミを捨てる人がいるとは信じられないのですが。

《高価なヴァイオリンが消える》Teure Geige weg

8月11日(月)の朝9時ノルウェーの演奏家が北ドイツへ向う為、ホテルを出
ようとしたところ、ヴァイオリンが無くなっているのに気付いた。そのヴァイオ
リンとは1820年製のMarke Jean Baptiste Villaumeで、およそ100万シリ
ング。演奏家とはオスロ・フィルのメンバーで8月10日のマチネーを演奏した
後、夜のコンサートにも出場。そのあと同僚と飲み歩いた。翌11日の午前3時
頃、滞在ホテル横のフランツ・ヨーゼフ通りのソーセージ・スタンドに同僚と立
ち寄る。ヴァイオリンをゴミ箱に立て掛け、和やかに談笑。ワゴン車の移動式ソ
ーセージスタンドが店閉まいして帰った後も同僚とほろ酔い気分。完全に酔っ払
った彼はヴァイオリンを忘れて、そのままホテルに入ってしまった。翌日ホテル
を出る時、忘れてきたヴァイオリンは既に消えていたとのこと。警察も見つけた
ら連絡するよう呼びかけているが、とうてい現れる見込みは無さそうである。

・・・なんとも情けないドジな話ですね。私も彼らと同じホテルに泊まっていた
   訳ですが、眠っている間にそんな事があったとは驚きです。

《インターネットのコンスタンツェ》Konstanze im Internet

レジデンツ・ホーフでは「後宮からの誘拐」が上演されているが、インターネッ
トのWWW上でもコンピュータによる「後宮」が同時進行した。これはフーベル
ト・レプカスによるプロダクションで音楽はシンセサイザーによるコンピュータ
・ミュージック。映像はデジタルとアナログを用い、断片的な画像の中をベルモ
ンテがコンスタンツェを探して助け出すという内容。迎える対戦相手はバーザ・
セリム。しかしコンスタンツェ、ベルモンテ、ペドリロなどはいつの間にか消え
て居なくなってしまい、現実とヴァーチャルの区別がつかなくなってしまうプロ
ダクションであった。

・・・オーストリアでもWWWは定着しているようで、オペラの題材を使うのは
   いかにも音楽の国。とは言ってもやはり本物のオペラに勝るものはありま
   せんね。ヴァーチャルはヴァーチャルに過ぎないと思うのです。

《プリンセス・ダイアナとドディの愛》
  Nun darf Prinzessin Di den Prinzen Dodi lieben

・・・これは8月13日付けの記事です。まさかこの記事から約2週間程度で事
   故が起こるとは言葉が出ない悲しみです。ちなみにボスニア・ヘルツェゴ
   ヴィナでの写真も一緒に載っていました。

新聞や本を読んでいると眠くなりました。時差ボケを防ぐには、唯ひたすら眠る
だけです・・・

●8月18日(月)成田着

かなり眠ったような気がします。周囲のざわめきで目が覚めました。もう後ちょ
っとだけの飛行です。無事着陸して降り立った第一印象は、日本の方が涼しいと
いうことです。やっぱり今年のヨーロッパは猛暑だったのでしょうか。

入国審査に向かいますが結構空いています。やはり夏休みを一日ずらせたのが正
解。といっても日曜の便が取れなかっただけの事なのですが、ある意味でラッキ
ーでした。いつものようにスーツケースが出てくる迄かなり待たされました。

すぐさま荷物を宅配便コーナーへ。abcとクロネコに分かれますが、クロネコ
の方ががら空きなので、こちらに預けます。本日中に配達してくれるのは有り難
い。身軽になるとフラーとどこかに彷徨いたくなりますが、ここはスカイライナ
ーへ向かいます。ホームと車内でモバをパチパチ。ボケーとした頭では文章がデ
タラメになります。

日比谷線では眠りに徹することにしました。何せ東横線直通の乗り換え無しです
から。いつも感じることですが、平日の朝に空いている電車で居眠りをするのは
格別ですね。とても心地良い気怠さです。自由ケ丘で下車し自宅に戻りました。

やっぱり疲れているのか、眠いですね〜。シャワーを浴びてリフレッシュしてか
ら文章の続きを書きます。完成した最初の文は#2652のザルツブルク速報で
した。PCVANを覗くと既にBMWさんのバイロイトが始まってました。

●あとがき

今回ザルツで見た演目は11本!・・・
これはかなり大変な旅行記になりそうです。一体全体、書き切れるだろうかとい
う疑問が頭の中をよぎります。実際書き始めると、とてもとても大変。皆様から
ご好評だった「ヴォツェック」は以外と簡単に書けてしまいました。実際にはヴ
ォツェックを見た翌日にミラベル公園のベンチで個条書きした内容を切り貼りし
ただけなのです。やはり客観的に淡々と描写する方が説得力ある文章になるよう
です。というよりもアバドの音楽とシュタインの舞台がとてつも無く鮮烈だった
のが何よりのおかげでした。

実際の旅行は10日間充実したものでした。旅行記を書き始めると、頭の中はま
た旅行を始めました。今日やっとシリーズ20回目が完成することでヴァーチャ
ル旅行は終了します。なんかこれで2カ月に及ぶ旅から帰国した気分です。
でも2カ月間しぶとく旅行記を書かせて頂いたのは、やはり今回の旅が10日と
は言え、稀に見るほど密度の濃いものだったからです。

┌──────────────────────────────────┐
│それ程ザルツブルクへの旅は魅力に満ちたもので、かつ滞在するには出来る│
│だけ長く、しかもオペラを出来るだけ沢山見るべきだと実感したのです。  │
└──────────────────────────────────┘

という訳で、ここでペンを置きたいと思います。私の独断と偏見に満ちた文章を
お読み頂き、またいろいろRESして頂き、皆様には深くお礼申し上げます。

                                                         tujimoto

■#2783 芸術劇場  97/10/26  22:53 (ID:DAT19113@biglobe.ne.jp)
RES>旅行記>INVEさん,怪鳥さん,tsujiさん tujimoto

●#2777/INVEさん 

 また旅行記のホームページ登録 お世話になります。
 今度はとても長い文章ですが、よろしくお願いします。

●#2779/怪鳥さん     

 お祝いのおことば、ありがとうございます。
 後で自分の書いた文章を読み返すと、誤記とか文章が変なところ
 があり、恥ずかしいです。

●#2780/tsujiさん

>まさに同感です。私もこんな感じを持ちたいために旅行して音楽を聴くんだ
>とおもいます。ソノタメニ ハタライテイル??

 ズバリですね。普段は働いて長期休みにドッカと音楽を楽しむのが最高
 ですね・・・

>音楽祭はちっとしんどそうですが、1ヶ月くらい休めるようになったら
>行ってみたいです。

 1カ月くらいの休暇いいですね。いつも思うことですが休暇を流動制に
 して欲しいです。例えばGW休暇と夏休みをドッキングしても良いとか。
 オペラやコンサートスケジュールに合わせて休みが取れれば良いですね。

                             tujimoto

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