2月27日ウィーンからミュンヘンに移動しましたが、数日前の気温は18度も あったそうです。もう完璧に春になっています。このところ、比較的重いオペラ を連日観ており、そろそろ中休みが欲しいところ。という訳で、今日はオーケス トラ・コンサートです。ガスタイクで聞くミュンヘン・フィルと言えば、巨匠チ ェリビダッケが懐かしい。最後に彼を聴いたのは、93年秋、ミュンヘンフィル 100週年記念のヴェルディ「レクイエム」でした。オーケストラと合唱を咆哮 させたチェリの指揮がとても印象的でした。もう彼を聴けないとは寂しい限りで す。 で、本日の指揮者はサルバドーア・マス・コンデ。初めて聞く名前です。演奏プ ログラムのよると、1951年バルセロナ生まれで、ウィーンでハンス・スワロフス キーとオットマール・スイットナーに師事したそうです。93年からデュッセル ドルフ交響楽団の首席指揮者で、日本にも来たことがあるそうです。ミュンヘン フィルも定期的に振っているとのこと。 参考までにMPO・96/97シーズンの指揮者はチェリビダッケを除くとチョ ン/ヤング/ジェルメッティ/メータ/ヴィオッティ/プレヴィン/若杉/レヴ ァイン/キタエンコ/ヴァント/バイコフ/コンデ/エッシェンバッハ/ペンデ レッキ/フィッシュ/シュタインの16名。 Donnerstag, 27.Februar 1997, 20.00Uhr, Gasteig grosser saal Muenchner Philharmoniker Leitung Salvador Mas Conde Joseph Haydn Symphonie Nr.100 G-dur (Militaer) Dimitri Schostakowitsch Symphonie Nr.5 d-moll --------------------------------------------------------------------- 久しぶりのミュンヘンですが、街の様子余り変わってないようです。演奏会のチ ケットには地下鉄の切符が付いていて便利です。マリエン・プラッツからローゼ ン・ハイマーまでUバーンで。駅に着くと、みんな同じ方向にぞろぞろ歩いてい ます。行き先はみなさん同じようです。今日の座席は、Jブロックで段々畑で仕 切られた2階席相当です。ステージまで多少距離感を感じます。 ◆最初の曲はハイドンの交響曲100番「軍隊」で、久しぶりに聞く交響曲です 。とても心地よい響きで、きびきびした演奏。ティンパニの張りのある響きとト ランペットの端正なアンサンブルで盛り上げます。特にこれという特徴はありま せんが、丁寧な演奏でした。連日のオペラで疲れが出たのか、コンサートという ことで気を許してしまい、睡魔が襲ってきました。 休憩の時、ロビーで見つけたフレッシュ・ジュース・コーナーでキウィを飲んで リフレッシュ。いろんな種類のジュースがあり、結構高価ですが盛況のようです 。 ◆二曲目のショスタコーヴィッチ5番はミュンヘンフィルがどんなアンサンブル を展開するか期待していました。1楽章、とても平凡な演奏。確かにアンサンブ ルは確実で非の打ち所はありません。が伝わるものが無いという感じ。問題は第 3楽章のラルゴでした。とても遅いテンポ、遅すぎます。チェリを意識している のかどうか解りませんが、異常に遅い。睡魔も襲ってきます。聞いていて息苦し い。その時、後部座席で大きな鼻をかむ音が何度も繰り返し聞こえてきます。ど うも意識的に音を立てているようです。指揮者に対する抗議でしょうか、その人 はとうとう大きな足音を踏み鳴らしながら出ていきました。一瞬、観客の非難の 視線が集中。ステージでは何事も無いかのように演奏しています。日本では考え られない光景です。 最終楽章に突入。凄い迫力です。今までの超スローテンポで抑圧されていたもの が一気に大爆発する突進は壮快です。指揮者は最終楽章の効果を狙ってラルゴを あのようにスローにしたのかどうか図り知れませんが、とにかくこの終楽章で一 気に目が覚めました。ミュンヘンフィルの金管群が吼えています。ティンパニの 猛烈な連打。やっぱりこのオーケストラは素晴らしいものを持っています。これ を如何に引き出すかは指揮者次第ですね。早く音楽監督を決めて欲しいものです 。 三月は若杉がマーラー9番を定期演奏と日本公演で振りますね。もう来週、日曜 のサントリーホールで聴けるとは、とても楽しみです。 ----------------------------------------------------------------------- ここで話題を変えて、ミュンヘンオペラフェスティバル情報をご紹介します。 もうすでにご存じかもしれませんが。 昨年のテーマは「新しい創造」でしたが、今年のテーマは「ヴァライティ」だそ うです。9人の作曲家から15本のオペラにバレエ、リート、コンサートなど4 0数公演と豊富。この期間中のプレミエは「フィガロ」と「ポッペア」の2本。 ワーグナーはレーンホーフの「ラインの黄金」「ワルキューレ」と定番の「マイ スタージンガー」、最近の新演出では「イドメネオ」「マクベス」「アリアドネ 」。アリアドネではシェーファーのツェルビネッタが話題。グルベローヴァは「 アンナ・ボレーナ」とベルカント・コンサートに出演。ドミンゴはデビュー25 周年記念としてシノーポリの指揮で「カルメン」を歌います。その他出演する歌 手は、ヴァラディ、カバリエ、ザイフェルト、カサローヴァ、グレアム、プライ 、マリー、ウィンベルク、イェルサレム、ヴァイクル、フレミング、ターフェル などなど。 ★★★ ナチオナル・テアターの公演日程★★★ 6/29 ヘルマン・プライ/リートの夕べ 6/30 フィガロ(プレミエ) 7/01 マクベス 7/15 アリアドネ 7/02 白鳥の湖 7/16 ジュリアス・シーザー 7/03 フィガロ 7/17 ブリン・ターフェル/リート 7/04 グルベローヴァ/コンサート 7/18 アイーダ 7/05 マクベス 7/19 真夏の夜の夢 7/06 フィガロ 7/20 イドメネオ 7/07 売られた花嫁 7/21 カルメン(ドミンゴ) 7/08 アンナ・ボレーナ 7/22 アイーダ 7/09 フィガロ 7/23 セルセ 7/10 売られた花嫁 7/24 椿姫 7/11 アンナ・ボレーナ 7/25 アイーダ 7/12 アリアドネ 7/26 カバリエ/リートの夕べ 7/13 ジュリアス・シーザー 7/27 ラインの黄金 7/14 白鳥の湖 7/28 椿姫 7/29 ワルキューレ 7/30 ロメオとジュリア 7/31 マイスタージンガー とても盛り沢山のプログラムですね。夏のこの時期は夏休み前なので、なかなか 行くことは出来ませんが、一度行ってみたいものです。 tujimoto