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ウィーン>国立歌劇場/オテロ     2.24 tujimoto


#2435/2435 芸術劇場
★タイトル (DAT19113)  97/ 3/ 7  17:24  (100)

Montag,24 Februar 1997 STAATSOPER

OTELLO

Drigent          Daniel Oren
Inszenierung     Peter Wood
Buehnenbild      Stephen Lewis
Kostueme         Luciana Arrighi
Lichtregie       Robert Bryan
Chorleitung      Dietrich D. Gerpheide

Otello           Placido Domingo
Jago             Bernd Weikl
Cassio           Miro Dvorsky
Roderigo         Wilfried Gahmlich
Gesandter        Goran Simic
Statthalter      Evgenij Dmitriev
Ein Herold       Nikolaus Simkowsky
Desdemona        Barbara Frittoli
Emilia           Malgorzata Walewska

Beginn           19 Uhr
Ende             22 Uhr
Pause            nach dem zweiten Akt
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2月後半のウィーンでは「オテロ」「メフィストフェレ」「ローエングリン」
がそれぞれ3サイクル上演されます。本日のオテロはその第3サイクル目。
今回は昨年96年ザルツブルク・イースターで話題になったドミンゴ/
フリトーリのコンビにヴァイクルが加わるという組み合わせです。フリトーリ
は最近発売されたカレラス「トスティ/カンツォーネ」のCDにも共演して
おり、その美声が楽しみ。座席は平土間で舞台全体が良く見えます。
ベルリンでは余り日本の方を見かけませんでしたが、ここウィーンではかなり
の数の日本人観客が来ていました。

さて開演前にアナウンスの方が突然現れ、ドミンゴ不調ですが出演する旨の
アナウンスがあり、少し不安。

◆幕が開くと冒頭/嵐の場面。豪快なオーケストラにシンセザイザとフラッシュ
ライトによる雷が加わり大迫力。群衆に混じってヤーゴがうごめいています。
舞台は1610年当時、シェークスピアのオテロが上演されたグローブ劇場を
再現したもの。正面が城門、両サイド一面を高い城壁に囲まれています。城壁
の上段、中段にも廊下があり立体的な舞台です。城壁右側上部に船着き場から
の張り出しがあり、オテロはここに登場。最初の「高慢な回教徒は海に沈んで」
を楽々と歌うドミンゴを聞いて、これは大丈夫と思いました。難しい箇所ですが、
やっぱりドミンゴのオテロ安心して聞けます。

今回のヤーゴはヴァイクル。最近ドイツ物からイタリア物への進出が著しく、
必ずしも成功するとは限りませんが、だいぶ悪役が板に着いてきたようです。
ドスの効いた図太い歌声はヤーゴの嘲笑いにぴったり。もうザックス親方の
イメージは無く、悪の化身という感じ。

若手フリトーリはとても美人で可憐なデズデモナを演じていました。歌に品格
が漂い、その美声に酔ってしまいました。なるほどドミンゴとの共演とても絵
になります。第1幕の愛の二重唱、とても美しく感動的な名演だった。
昨年キーロフオペラでのゴルチャコーワのデズデモナも良かったですが、今回
のフレッシュなデズデモナにも感激です。

◆しかし第2幕、ハプニングが発生。ハンカチの場面が終わって、オテロが
ヤーゴの罠に落ち、逆上しているところでドミンゴが突然退場してしまった!
音楽もそこでぷっつりと停止。もう少しで第2幕が終わりなのに、ヤーゴとの
「死神への復讐の誓い」がパスされてしまったのは実に残念。そういえば、
第2幕のドミンゴ少しやつれ気味。ヤーゴとの壮絶な二重唱だけは無理と判断
したのでしょう。ヴァイクルは直立不動のまま、幕が素早く降ろされました。
またもアナウンサーが登場し、ここでとりあえず休憩するとのこと。

休憩中もしや中止?と心配しましたが、30分後再びアナウンスによりドミンゴ
続行するとのことで観客から大きな拍手。今回ドミンゴは真っ黒に塗らないで、
ほとんどノーメイク。その為、余計に疲れが顔に出ているようにも感じられます。
あるいは疲れているのでは無くオテロの悲痛さが顔に出ているのか、見ていて
とても微妙な感じでした。

第2幕の最後の途中から始めるのかな?と思っていたら第3幕から再開でした。
何か大変損をしたような気分。でもドミンゴが最後まで歌ってくれればそれで
文句は無い。

◆第3幕からはとても安定した素晴らしいオテロ観ることが出来ました。この幕
あたりから、オーケストラの響きがやけに素晴らしく感じました。ドラマの進展
に従い、歌と管弦楽が緊迫した集中力を見せました。指揮者はオーレン、4月に
来日してサントリーホールのトスカ他を指揮する予定です。特に印象に残る指揮
ではありませんが、ドラマの高まりに応じてオーケストラをうまくコントロール
しています。ドラマはヴェネチア特使の到着まで一気に展開し、瞬く間に第3幕
終了。ドミンゴの歌も回復し、快調です。

◆最終幕、それまでの砦から一転して紺色を基調としたデズデモナの寝室。
フリトーリが歌う「柳の歌」「アヴェ・マリヤ」は訴えるような悲哀で、とても
印象的でした。オテロに問い詰められる場面、美しすぎるデズデモナと嫉妬に
狂ったオテロとのコントラストがとても鮮烈です。オテロはデズデモナの首を
あっさりと締めてしまう演出。畳み込むように終幕となりました。

カーテンコールではさすが、不調ながらも最後まで歌いきったドミンゴに拍手
喝采。左右のロジェから花束がどんどん投げ込まれます。もちろんフリトーリ
にも大拍手。やはり美人で歌がうまいとなるとウィーンの人達も熱狂ぎみ。
ヴァイクルへの拍手も凄くて、結局三人の役者により成功したオテロでした。
(もちろん合唱もオケも素晴らしかったです)

翌日の午前中、早速アルカディアにフリトーリのポートレイト買いに行きました。
出来立ての写真1種類を手に入れました。デズデモナ姿でしたが横顔なのが残念。

                                  tujimoto..

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