My Favorite CD-Diary#1

2000.7.21

ITALIAN MUSIC
(PAVANE ADW7311)
( Guy Lukowski-Marc Grauwels : Warsovia String Quartett)

Gioacchino Rossini: Sonata in B Major
Muro Giuliani: Andante
Vincenzo Gelli: Divertimento 1,2
Luigi Mozzani: Feste Lariane
Niccolo Paganini: Cantabile
Antonio Vivaldi: Sonata in G Minor
Luigi Boccherini: Quartet in A Major Op.33

大好きなパガニーニのヴァイオリンとギターの曲が収録されていたので買ったCDであるが、何とも美しい小品の数々に彩られている。お目当てのパガニーニよりもジウリアーニとかゲッリなどの珍しい音楽に魅了されてしまった。演奏はヴァルソヴィア・カルテットがメインにフルート、ギターが加わり、まさにイタリアンを満喫できる。室内楽の小品を扱ったCDは沢山あるけれども、これは出会った中で極上の1枚だ。

JOHN JENKINS
Consort Music for Viols in Six Parts

HESPERION XX / Jordi Savall
(ASTREE E8724)

John Jenkins:
Consort Music for Viols in Six Parts
Fantasy No.1-10, The bell Pavan, In Nomine No.1-2

イギリスの作曲家ジェンキンズによる6声部のヴィオル曲集。いわゆるヴィオラ・ダ・ガンバの室内アンサンブルで、雅な響きの重なり合いが美しい。通奏低音としてのオルガンも加わり、ルネサンスからバロックへの様式を垣間見ることができる。それにしてもヴィオルの哀愁が不思議と安らぎの一時を与えてくれる。さすがにサヴァール率いるエスペリオンXXの演奏は素晴らしく、地味な響きながらも情熱を秘めた音楽にはつい聞き入ってしまう。


2000.7.23

MONTEVERDI
Vespro Della Beata Vergine

ON XX / Jordi Savall
(K617 K617100/2)

Ensemble Elyma:
Coro Antonio Il Verso
Coro Madrigalia
Les Sacqueboutiers de Toulouse
Gabriel Garrido

「聖母マリアの夕べの祈り」には数多の名盤があるが、アンサンブル・エリマの演奏は不思議なくらいに魅力的。合唱とアンサンブルの生彩さ、吹きあがりの良さは格別。グレゴリア聖歌が聴くものの心を癒してくれるし、祈りの音楽の素晴らしさを体験させてくれるようだ。仕事から帰ってきて、深夜このCDを聴き始めると、耳が離せない。たいていは2枚まとめて一気に聴けてしまう。それほどに魅力に満ちた愛聴盤の中の愛聴盤となっている。


2000.7.26
Jules Massenet " THAIS"
(DECCA 466 766-2)
Renee Fleming
Thomas Hampson
Giuseppe Sabbatini
Stefano Palatchi
Choeur de I'Opera de Bordeaux
Orchester National Bordeaux Aquitaine
Yves Abel
マスネのタイースはマゼール盤を愛聴していたが、最近買ったフレミングが歌うタイースはとても素晴らしくて、耳が離せない。もともとこの作品はフランス風の柔らかさとエキゾチックな音楽が魅力的。若手アーベルの指揮も壷を得たもので、ハンプソン、サッバティーニら豪華歌手達の歌声に痺れてしまう。それにしてもフレミングの変化に富む歌声にはすっかり虜となってしまった。

DEBUSSY " CHANSONS DE BILITIS"
(POCG-1056 Deutsche Grammophon)
Ensemble Wien-Berlin
Margit-Anna Suess, Adelheid Blovsky-Miller, Wolfgang Schulz, Hans Wolfgang Duenschede, Karl Leister, Gerhart Hetzel, Rainer Honeck, Wolfram Christ, Georg Faust, Rolf Koenen
Recitante: Catherine Deneuve
このCDもフランス情緒たっぷりの愛聴盤中の愛聴盤。演奏はアンサンブル・ウィーン〜ベルリンで、今は懐かしいヘッツェルが第1ヴァイオリンを弾いている。シュルツ、ライスター、ホーネック、クリストの豪華キャストに加えて、「ビリティスの歌」ではカトリーヌ・ドヌーヴの朗読が加わる。ラヴェル、ドビュッシーの名曲が素晴らしすぎる陰影と豊かな響きで心を和ませてくれる。深夜これを聞いていると、本当に疲れが取れて、リフレッシュできる。


2000.7.28
Richard Strauss
Die Frau Ohne Schatten
(TELDEC 0630-13156-2)
Staatskapelle Dresden
Giuseppe Sinopoli
Deborah Voigt, Ben Heppner, Hanna Schwarz, Franz Grundheber, Sabine Hass, Andreass Scheibner, Andre Eckert, Roland Wagenfuehrer
昨日はR.シュトラウスの映画音楽という珍しい作品を聴いたので、むしょうに彼のオペラを聞きたくなった。ちょうど手に取ったのが、シノーポリ指揮ドレスデンの「影の無い女」だ。いやはやこのCDは素晴らしすぎる。ゼンパー・オーパーの渋いサウンドで壮大に描かれる音楽にのめり込むばかり。加えて名歌手たちの怒涛の饗宴には圧倒されてしまった。ライブ収録ながらも録音は極めて優秀で、繊細な舞い上がりからスペクタクルな場面まで、オペラを見ているような臨場感に溢れている。

2000.8.1
STRAVINSKY
Petrouchka, Le Sacre du Printemps
(Pro Arte Musicae PAMC-403)


Begona Uriarte & Karl-Hermann Mrongovius (Piano)
ピアノ連弾による「ペトルーシカ」と2台のピアノによる「春の祭典」が1枚に収まっている。演奏は2年のほど前に来日したウリアルテとムロンゴヴィウスによるミュンヘン・デュオによるもの。2年ほど前に彼らのライブを聞いて、その圧倒するピアニズムに驚嘆した。このCDもエキサイティングの極致で、特にペトルーシカの色彩感、リズム感には驚くばかりの素晴らしさ。連弾とはいえ、ピアノからこれほどの音の洪水を聞けるとは。さらに2台のピアノが炸裂する「春の祭典」も舌を巻くほどの超絶さ。録音も超一級の出来映えでピアノのリアル感と音圧感は素晴らしい。

2000.8.2
BRAHMS
SYMPHONY No.2, ACADEMIC FESTIVAL OVERTRE
Original Version for Piano Duo
(Kontrapunkt 32120 )

Tove Leonskov & Rodolfo Uambias (Piano)
昨日のミュンヘン・デュオのCDに引き続きピアノ連弾をもう一枚聴く。ブラームス自身の編曲によるシンフォニー第2番。いわゆる田園とも呼ばれるこの長閑さは何時聴いても素晴らしい。こまかなディテールまで4手ピアノ連弾が描ききる。オーケストラに比べるとスケールにおいて劣るかも知れないが、ブラームスの地味な味わいはオケそのままに再現される。深夜のひとときを友にするには最適なCDだ。1,3、4番もCDが出ているのでいずれ聴いて見たい。

2000.8.3
MENDELSSOHN & GADE
OCTETS FOR STRINGS
Stradivarius Instruments
(SONY SRCR 8946 )

L'Archibudelli & Smithosonian Chamber Players
今度、ミュンヘン・デュオが2台のピアノで演奏するメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲。この曲はラルキブデッリ&スミソニアン・チェンバー・プレイヤーズのこの演奏が大好きだ。スミソニアン博物館所蔵のストラディヴァリ群が用いられた響きもさることながら、彼らの音楽性に思わず釘付けとなってしまう。室内楽の緊密なアンサンブルとロマン一杯にひろがる情景。巨大な第1楽章が特に素晴らしくて、愛聴に愛聴を繰り返している。ガーデの弦楽八重奏もカップリングされていて、室内楽の魅力が150%くらいは楽しめる。

2000.8.4
MANCHICOURT
Missa Veni Sancte Spiritus
Motets, Chansons
(SONY SK 62694 )

Huelgas Ensemble / Paul Van Nevel
1500年代のフランドルで活躍したピエール・ド・マンシクールのミサ、モテット、シャンソン曲集。演奏はネーヴェル指揮ウエルガス・アンサンブル。何気なしに買ったCDだが、その作品と演奏の素晴らしさの虜となってしまった。グレゴリオ聖歌とはまた違って、不思議な安らぎが心地良すぎる。無限に広がるのではなかろうかと思うほど、澄み切ったヴォーカル・アンサンブルが優しく、爽やかに流れて行く。これを聴いているとルネサンス・バロックという時代を超えて、当時の人々の祈りが現代の我々にも熱く伝わってくる。ウエルガス・アンサンブルは他にもスペインものも録音しているので、そちらも是非聞きたい。

2000.8.6
JEAN SIBELIUS
Kullervo-sinfonia
(FINLANDIA Records 3984-24455-2 )
Monica Groop, Jorma Hynninen, Polyteknikojen kuoro, Tapani Laensioe, Radio sinfoniaorkesteri, Jukka-Pekka Saraste
今日の土曜は幾つかコンサートがあったが結局どれにも行くことが出来なかった。というよりも余りの暑さにホールまで行くのを止めた。こんな日はCDでも聞いている方が良い。そこで昨日聴いたシベリウスの作品を何か聞いてみようと思う。いくつかのシベリウス作品のうちクレルヴォ交響曲は大のお気に入り。北欧情緒も楽しめ、何と言ってもシベリウス独特の楽想が素晴らしい。オーケストラに壮大な合唱が加わる。ちなみにこのCDで1000円ほどの廉価版でありながら、パースペクティブ感溢れる優秀録音。あのモニカ・グループのメゾ・ソプラノが美しい。この秋にクレルヴォ・シンフォニーを芸術劇場で聞けるのが楽しみである。

2000.8.8

Georg Friederich Haendel
Water Music Music for the Royal Fireworks
(ASTREE ES 99220 )
Le Concert des Nations / Jordi Savall

今日の東京は激しい雷雨が襲来したが、夏は花火のシーズンでもある。花火といえばヘンデルの組曲「王宮の花火」が良い。名曲に沢山の演奏があるが、とりわけサヴァール率いるコンソート・デ・ネイションが素晴らしい。古楽アンサンブルで当時のヘンデルが偲ばれ、煌びやかな音色、パンチ力のあるティンパニ、輝かしいトランペットなどなど魅力一杯だ。組曲「水上の音楽」も収録されていて、夏に相応しい1枚。