2008.05.06 『トリスタンとイゾルデ』初日キルヒナー新演出メッツマッハー/アムステルダムNDO | ||
Richard Wagner premiere muzikale leiding Ingo Metzmacher Rolverdeling --- 今日はバーデンバーデン8:44発のICE602でケルン11:05到着。12:48発のICE126に乗り換えて15:45にアムステルダムに到着した。18:00からネーデルランド・オペラにて「トリスタンとイゾルデ」を見た。アルフレッド・キルヒナー演出、インゴ・メッツマッハー指揮のプロダクションで、今日はプレミエ初日となる。2階バルコン正面ブロック最前列からは視界も音響も素晴らしい。 ステージは巨大な幾何学的オブジェを組み合わせ、第1幕では三角形に組まれたオブジェが船首をイメージ。ステージ背景には波打つ大海原が望め、ゆるなかな波が時間とドラマの進行を印象付ける。特に舳先には三角形の小ステージとなり、人物配置を効果的にしている。そして左手に階段と巨大な枠組み。また大きい三角形オブジェが上方へ上がるようになっており、その奥は船員達が控えている。薬を飲む場面の効果的な照明効果も鮮やかで、ともかくドラマを必然的展開へと導く演出。第2幕は巨大な壁に矩形の空間をくり抜き、その奥と上部にかけて開口面を設けて、長い梯子が天井へ伸びている。ステージ前面右側には四角く仕切った植え込みがあり、左手には大木が倒れており、松明代わりに多数の枝が燃えている。幻想的な空間のもと、トリスタンとイゾルデの愛の場面、ブランゲーネの警告とともに素晴らしい陶酔へと導く。第3幕は変形し傾いた四角い空間がオブジェで組まれている。その空間の左奥の壁には3個の矩形開口があり、外からの光が差し込んでいる。その光が闇に包まれるまでの間、3幕のドラマが進行していく。この幕も幾何構造の中、人物配置と動きによって、運命的な展開が必然性を持って語りかけてくる。イゾルデの愛の死の場面では、空間が次第に青色に輝き、全ては死へのイメージへと溶けてゆく。外からの光も輝きを失い、幻想の靄と消えてゆく。 メッツマッハー率いるアンサンブルは透明で深く渋い響きでもって多彩に描き分けてゆく。各パートのソロも絶妙で、深く厳粛であり、かつドラマチックに展開させる。スティーク・アナセン(トリスタン)も貫禄に満ちており、益々深みを増したという実感。リンダ・ワトソン(イゾルデ)はさすがにドラマチック。ハイディ・ブルンネル(ブランゲーネ)も声が良く通り、特にステファン・ミリンク(マルケ王)が威厳に満ちた貫禄。以上、巨大なステージとともにスケールの大きなワーグナーをたっぷりと楽しめた。喝采が終わったのは23:15過ぎ。スキポール空港に移動して0時頃にヒルトンにチェックインした。今日も充実した一日だった。 |
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