2008.03.21 エロール『ザンパ』デシャン新演出クリスティ&レ・ザール・フロリサン/オペラ・コミック | ||
ZAMPA Direction musicale William
Christie Assistant musical Jonathan
Cohen Zampa Richard
Troxell Les Arts Florissants Production Theatre national de
l'opera-comique --- 今日は20時からパリ・オペラ・コミックにてフェルディナン・エロール作曲の歌劇「ザンパ」全3幕を見た。この作品はメルスヴィーヌによる台本で1831年5月3日にパリのオペラ・コミックで初演されている。滅多に上演されていない珍しい作品だが、初演された劇場で見られるのが嬉しい。加えて、マッハ・マケイエフとジェローム・デシャンによる新演出とウィリアム・クリスティ指揮のレザール・フロリサンの演奏となれば見逃す訳には行かない必見プログラム。 シチリア地方、モンザ家の若い伯爵は財産を浪費しザンパと名乗って海賊になる。彼は、シチリア商人ルガーノを捕らえ、命を助ける身代金を請求。この時、ルガーノの娘カミールに惚れて彼女を身代金代わりとして要求。一方、カミールはモンザ家の弟、すなわちザンパの弟アルフォンスとの許婚であった。ザンパがカミールとの結婚を強行したため、アルフォンスはザンパを殺す覚悟をするが、兄弟なので結局は殺せない。そこにザンパが以前に誘惑した今は無きアリスの大理石彫像が登場して、ザンパを地獄に引きずり込む。いわゆるドン・ジョバンニのようなお話。 ステージは当時の佇まいと衣装を用いたシンプルなもの。背景は紺碧の海に浮かぶ火山が噴煙を上げている。エロールの愉快で颯爽としたスピード感ある演奏にあわせて乗りの良いドラマが展開してゆく。クリスティのエネルギッシュかつ若々しい指揮ぶりに驚くほど起伏が大きな演奏。特に幕切れでは床から煙が立ちこめて、アリス像がステージに上がってくる場面は凄い迫力。2階の観客席通路に合唱が現れてサラウンド効果満点にザンパの最後を描く。ちなみにカミールもステージの床下に沈んでいった。歌手達は皆、キャラクターにあったキャスティングで、ザンパは見るからに悪役。そして何といってもカミール役のパトリシア・プティボンが最高の出来栄えだった。そしてクリスティ&レザール・フロリサンの演奏によるオペラはやはり極上。各幕に短めの休憩を入れて23時10分に終了。大喝采となった。 |
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