2008.02.22 リュリ『テセー』マルティノティ新演出アイム&ダストレー&オッター/パリ・シャンゼリゼ | ||
Thesee Emmanuelle Haim Direction
musicale Paul Agnew Thesee
(haute-contre) Orchestrre et Choeur Le Concert
d'Astree Danseurs NOUVELLE PRODUCTION Duree de la representation; ---- 今日は19時30分からシャンゼリゼ劇場にてジャン・バプティスト・リュリ作曲の歌劇「テセー」プロローグ付き全5幕を見た。演奏はエマニュエレ・アイム指揮のコンセール・ダストレー。演出はジャン・ルイーズ・マルティノティ、美術ハンス・シャヴェルノッホ。久しぶりにリュリの音楽劇が見られるとのことで、これは見逃せないプロダクション。加えて、タイトルロールのテゼーにはポール・アグニュー、メデー役としてアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが歌うのが嬉しい。 さてステージはリュリが使えたルイ14世時代のヴェルサイユ宮殿として、ロココ情緒漂うセットが実に美しい。ステージは、ガラスで仕切られた巨大な絵画の矩形板を多元的に配列したセットが壮観。これが上下を軸に回転すると、ステージ奥にはヴェルサイユ宮殿の庭園が望まれて立体感溢れる。登場人物達のカラフルな衣装も彩りを添える。第2幕、3幕では背面中央の円形に描かれたバロック絵画が登場して、これらがスクリーン画像として、ユニークが絵画が走り去るように描かれる。人物の心情変化も絵画として映し出され、ボッシュ絵画のように人物がグロテスクな骸骨に変わり行く様に描かれたりする。第4幕ではステージ一杯にボッシュ風をイメージした絵画の衝立が立体的に並べられる。斯くのようにドラマに応じて変幻自在なセット展開が見るものを飽きさせない。なおシャンゼリゼ劇場のサイトの右下の欄、VOIR(見る)をクリックすると演出家コメントと模様を見ることが出来る。 アイム率いるコンセール・ダストレーはバスティーユで見たモンテヴェルディでも実に素晴らしかったが、シャンゼリゼ劇場は古楽アンサンブルを引き立たせるには最高の音響空間となった。平土間中央ブロックの最前列から見たが、オーケストラ・ピットの壁は外され、すぐ目の前にアンサンブルが並んでいる。中央にチェンバロ2台を向かい合わせで配置し、その前に3人とリュートとテオルボ奏者が並ぶ。左手にヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバ群、木管群、右手にヴィオラとチェロと打楽器、金官群をレイアウト。典雅、壮麗、劇的なアンサンブルがリュリの音楽の魅力を存分に伝える。 またダンサー達がバロック・バレを演じるのが見もので、歌手達も当時の踊りを披露する。何よりも歌手達が粒ぞろいの素晴らしさで、合唱の美しさとあいまって極上の仕上がりに驚嘆した。会場からは第1幕から喝采の連続で、美人指揮者アイムの人気ぶりも凄い。終演は23時半頃で、途中20分の休憩を含めて凡そ4時間、多彩な展開に没頭した。 |
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