2007.08.11 ルツェルン祝祭管弦レイト・ナイト&ブルーノ・ガンツ/ルツェルン・フェスティバル


LUCERNE FESTIVAL
Late Night 1
11.08.2007
21.00 Uhr Erster Teil im Luzerner Saal
23.00 Uhr Zweiter Teil im Konzertsaal

Erster Teil 21.00 Uhr Luzerner Saal
Ensemble des LUCERNE FESTIVAL ORCHESTRA
Beat Furrer Leitung
Eva Furrer Floete (Furrer)
Ernesto Molinari Klarinette (Furrer)
Ingrid Karlen Klavier (Furrer)

Andrej Tarkowskij
Filmausschnitt aus <<Andrej Rubljow>>

Wolfgang Rihm
bildlos/weglos
Orchesterkomposition fuer sieben Frauenstimmen
den ortlosen Wanderern Luigi Nono und Andrej Tarkowskij

Beat Furrer
Face de la chaleur
fuer Floete, Klarinette, Klavier und Orchester

Luigi Nono
No hay camino, hay que caminar...
Andrej Tarkowskij per 7 cori

Zweiter Teil 23.00 Uhr Konzertsaal

Bruno Ganz Rezitation
Francois Couturier Klavier
Anja Lechner Violoncello
Jean-Louis Matinier Akkordeon
Jean-Marc Larche Sopransaxophon

Andrej Tarkowskij
Texte gelesen von Bruno Ganz

Francois Couturier
Nostalghia-Song for Tarkovsky
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今日は、ルツェルン祝祭オーケストラに引き続き、21時からルツェルナー・ザールにてレイト・ナイトと名づけられたコンサートを聴いた。第1部はアンドレイ・タルコフスキー監督の映画「アンドレイ・ルブリョフ」が30分ほど放映された。巨大な鐘を鋳造する場面が壮絶なほどの労苦として克明に描かれ、モノクロの陰影と力強い映像美が素晴らしい。そして鐘が鳴る場面の描写。悲痛に泣く少年ボリースカの場面など悲哀と感動を巻き起こす展開に目が離せない。クラウディオ・アバドはこの映画を見てタルコフスキーにボリス・ゴドノフの演出を依頼したことで知られている。

そして先ほどアバドとの演奏を終えたオーケストラがステージに登場する。中央にはハープ、ピアノが置かれ、左手に弦楽、右手に管楽器群、後方にパーカッションなど様々な楽器で埋め尽くされている。ルツェルナー・ザールはコンツェルト・ザールに隣接する矩形の小ホールであるが、正面ステージ以外にも左右の列と後方の列にもアンサンブルと歌手が並び、正面ステージを含めてアンサンブルが客席を四角形で取り囲んだ状態となった。

指揮はコンテンポラリー作曲家のベアト・フラーで、1曲目は
ウォルフガング・リームのbildlos/weglos(ルイジ・ノーノとタルコフスキーに捧げられた7人の女声とオーケストラのための作品)。正面、左右、後方を取り囲んだ器楽アンサンブルと女声が呼応しあう様は音楽を大きくビートするかのようで、とても神秘的、宇宙的であった。加えてパーカッション群も客席を取り囲んでいるため、その衝撃的な強打と残響、静寂が実に鮮やかなコントラストとして響く。先ほどのアンドレイ・ルブリョフの映像、重圧感あるドラマの印象と重ね合わせて聴くことが出来た。続いて、2曲目は、ベアト・フラーのフルート、クラリネット、ピアノとオーケストラのための作品「熱面」。この作品は指揮者の自作自演となる。そして3曲目は、ルイジ・ノーノの「進むべき道はない、だが進まねばならない…アンドレイ・タルコフスキー/No hay caminos, hay que caminar... Andrej Tarkovskij」。ノーノの深遠な響きに聞き入った次第。

7月末にイタリア文化会館で開催されたルキノ・ヴィスコンティ映画フェスティバルでは4時間の「ルートヴィヒ2世」をじっくりと楽しんだばかりであったが、今日、このような形でタルコフスキーの映画断片を見て、映画の面白さを改めて実感。しかもタルコフスキー所縁の音楽をライブで楽しめたことは実に感慨深い。

第1部は21時から1時間50分を少し超える内容となった。第2部の開演23時までは10分と無いが、ともかく第2部の会場コンツェルトザールへと移動した。コンツェルとザールでは先ほどのシンフォニコンツェルトのレイアウトは片付けられていて、中央には1台のピアノ、左手には語りの椅子とマイク。ピアノの前方には3つのアンサンブル席が準備されていた。冒頭は、ブルーノ・ガンツによって、タルコフスキーへのオマージュが語られた。アレクサンダーとオト、二人の登場人物の対話を通して語られる様は実にユニークで、渋いガンツの語り口に魅了された。日本の生け花についても述べられタルコフスキーを偲ぶ内容となった。そして、休憩なしに、フランソワ・クチュリエ作曲による「タルコフスキーへのノスタルジア・ソング」が、作曲者自身のピアノ及び、ジャン・ルイ・マティニエのアコーディオン、アニヤ・レヒナーのチェロ、ジャン・マルク・ラルシェのスプラフォンによるカルテットとして演奏された。ピアソラ風を織り交ぜながら、感慨深いノスタルジックな演奏。ガンツの語りが30分で演奏が40分ほどの全く時間を忘れる素晴らしさに没頭した次第。コンサート終了は0時10分過ぎとなったが、外はルツェルン湖の噴水も気持ちよく、清清しいく会場を去ることが出来た。昨日までは雨の天気で気温も20度を下回る寒さであったが、今日は非常に良く晴れた。それでも気温は低めで夜は寒い。



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