2007.08.09 『エグモントの音楽』RSOウィーン&アンネッタ・ダッシュ/ザルツブルク・フェスティバル | ||
Ludwig van Beethoven (1770-1827) Pause Johannes Brahms (1833-1897) Annette Dasch, Sopran --- 今日は20時からフェルゼンライトシューレにてザルツブルク・フェスティバル”ウィーン放送交響楽団公演”を聴いた。ベルトラン・デ・ビリーの指揮のもと「ゲーテにおける音楽」をテーマとして、ベートーヴェンの劇音楽「エグモント」作品84とブラームスのカンタータ「リナルド」作品50が演奏された。エグモントは16世紀ベルギーの貴族エフラント伯ラモラルの激烈な史実をゲーテが脚色した作品。リナルドはタッソーの叙事詩リナルドをゲーテが短編エピソードにした作品。いずれもゲーテを切り口にベートーヴェンとブラームスの余り演奏される機会の少ないプログラムである。 さてステージはアルミーダのセット背景と左側の傾斜面を残してオーケストラを配列。デ・ビリー率いるアンサンブルは冒頭のエグモント序曲から引き締まり、緊迫したブラスと荘重にして機敏な弦に目が覚める。フェルゼンライトシューレの背面岸壁からの反響が音楽の劇的展開を高めている。第1曲目、アンネッタ・ダッシュが歌うクレールヒェンに驚嘆した。透明なリリックさとドラマチックさを兼ね備えた素晴らしさ。「太鼓が鳴る」の歌声とともに、ステージ左手傾斜面に隠された太鼓が激烈に響き渡る。実にスペクタクルな展開であった。 語りはザルツブルクではイエーダーマンの悪魔役としてお馴染みのトビアス・モレッティ。端正かつ灰汁の強い口調によって重圧と開放に向けてのドラマが語られてる。クレールヒェンの自決から勝利のシンフォニアに至る全9曲に圧倒された。 後半のリナルドは魔女アルミーダとの物語を題材としたもので、今年のフェスティバルでもハイドン「リナルド」が上演されているのと合わせて興味深いプログラムである。ブラームスのリナルドは当時、ワーグナーのタンホイザーやトリスタンのエロティックさに対して禁欲の英雄と表現されたように、終始、内省的に作られている。演奏ではウィーン・シュターツオーパー男声合唱とヨハン・ボータが感動的に歌い上げた。特にボーターの朗々としたヘルデンさと男声合唱の渋さが素晴らしい。休憩を含めた2時間はとても充実した内容だった。 |
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