2007.01.21 『セメレ』カーセン新演出クリスティ指揮/チューリッヒ歌劇場


Opernhaus Zuerich
Sonntag, 21. Januar 2007

Zum ersten Mal am Opernhaus Zuerich
in englischer Sprache

SEMELE
Opera after the manner of an Oratorio
Musik von Georg Friedrich Handel (1685-1759)
Libretto von William Congreve
Urauffuehrung: 10. Februar 1744,
Covent Garden Theatre, London

Musikalische Leitung Willam Christe
Inszenierung Robert Carsen
Ausstattung Patrick Kinmonth
Lichtgestaltung Robert Carsen, Peter van Praet
Choreographie Philippe Giraudeau
Einstudierung Regie/
Choreographie Elaine Tyler-Hall
Choreinstudierung Juerg Haemmerli, Ernst Raffelsberger

Semele Cecillia Bartoli
Jupiter Charles Workman
Juno Birgit Remmert
Ino Liliana Nikiteanu
Cadmus / Somnus Anton Scharinger
Athamas Thomas Michael Allen
Iris Isabel Rey

Chor der Oper Zuerich
Statistenverein am Opernhaus Zuerich
Orchestra <<La Scintilla>> der Oper Zuerich
Continuo:
Violoncello Claudius Herrmann
Kontrabass Diter Lange
Cembalo Jory Vinikour
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今日3本目のプログラムはオペルン・チューリッヒにて20時開演のヘンデル作曲のオラトリオ「セメレ」HWV58。ロバート・カーセン新演出、ウィリアム・クリスティ指揮によるプロダクションで、キャストはチェチーリア・バルトリ(セメレ)、チャールズ・ワークマン(ジュピター)、ビルギット・レンマート(ジュノー)、リリアナ・ニキテアヌ(アイノ)、アントン・シャリンガー(カドムス/ソムナス)、トーマス・ミヒャエル・アレン(アサマス)、イザベル・レイ(アイリス)と豪華。

昨日からフリム演出を2本連続で見てきたが、カーセン新演出によるステージも一際洗練されていて、幾何学的様式美が素晴らしい。左手に大きな扉があり、赤の絨毯が右側へ傾斜して伸びるといったシンプルさにおいても、赤と濃紺をコントラストさせて、ドラマとしての場を浮かび上がらせる。それにオラトリオというよりもオペラ的な本作品の面白さ演出する数々のアイデア。特にジュノーとその使者アイリスのコミカルな展開は会場からも爆笑の連続。ジュピターの元に行ってしまったセレメが登場するシーンでは大きなベッドが象徴的。その引き締まったキャンパスでドラマを展開させる手法が実に見事。何時もながらヘンデル作品は長時間を要するものの、その面白さと劇的展開に目が離せない刺激に満ちていた。

オペルン・チューリッヒの古楽アンサンブル「ラ・シンチラ」はアーノンクールを初め、ミンコフスキ、本日のクリスティなど名指揮者達の指導のもとアンサンブルを極めている。特に本日のクリスティ指揮は、昨日のミンコフスキとは違った、貫禄とスケールの大きさが魅力的。それでいて柔軟で繊細な音楽作り。テンションの高い場面でのアグレッシブな迫力と魅力に事欠かない。ティンパニの激しい連打も刺激的だった。キャストではやはりバルトリに期待が高まる。彼女にとって初の英語上演となるセメレも、洒落た演技と素晴らしい歌唱によって聴衆を魅了した。加えて巧みな合唱もオラトリオとしての要素を十二分に楽しませてくれた。

本日の公演はかつて見たヘンデル作品の中でも最高に面白く最高に素晴らしい出来栄え。今シーズンの必見プログラムである。以上夢のような3時間15分に満足した次第。ともかく今月は、ヘンデル・フェスティバル・ジャパンの「ヘラクレス」をはじめ、チューリッヒ「時と悟りの勝利」「セメレ」と有名なオラトリオを3本も楽しめた。いずれもが高水準だったことが嬉しい。



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