2007.01.21 室内楽マチネ/チューリッヒ・トーンハレ | ||
Maerchenerzaehlungen Felix-Andreas Genner Klarinette Gyorgy Kurtag (*1926) Robert Schumann (1810-1856) Dan Dediu (*1967) Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791) 今日はチューリッヒ・トーンハレの小ホールにて室内楽マチネを聴いた。トーンハレ管弦楽団のメンバーが年に7回行うシリーズの4回目にあたり、フェリックス・アンドレアス・ゲンナーのクラリネット、マリウス・ウンギュロウのヴィオラとヴェローナ・マイヤーのピアノによるトリオが演奏された。プログラムのタイトルは「おとぎ話」。すなわちシューマンの作品132をコアとして、ギョエルギー・クルタークとダン・デデューの現代作品、さらにはモーツァルトの有名なケーゲルシュタット・トリオといった多彩な内容だった。 冒頭のクルターク作品「ロベルト・シューマンへのオマージュ」はシューマンの「おとぎ話」に対して作曲されたもので、各楽章にユニークな表題を持っている。特に終楽章では中世ギョーム・ド・マショーまで引き合いに出しているという興味深いもの。各楽章はヴェーベルンのように大変短いものの、その実在感ある響きは刺激に満ちている。実際の演奏時間に対して内容は極めて密度が高く、最小限に与えられた時間に信じられないくらいの表現を行っている。特に終楽章のエンディングでは、消え行く響きの中、クラリネット奏者が大太鼓を響かせるといった奇抜さ。このエンディングから間髪を置かずして、シューマンの作品132に突入する。それはあたかもクルタークを含めた1作品であるかの如く、不思議なほどのスムーズな展開だった。シューマンのロマンチシズム溢れる音楽はやはり素晴らしい。ヴィオラもチェロの如く朗々と歌い上げ、クラリネット、ピアノと溶け合う。 続いてダン・デデューが1993年に作曲したミクロ音楽作品op.36。彼自身がミクロ・フーガに関して、哲学者ニーチェや作家ツェラーンをも引き合いに出して、詩を用いながら解説を行っている。実演ではいわゆる微分音が作り出す不思議な音楽で、クルタークと同様に強靭な音の迸りが特徴。4楽章では閃光の如く音の粒子が空間に発散されていく。そして拍手の後は、モーツァルトのケーゲルシュタット・トリオ。アンサンブルも一際充実しており、淀みなく繰り出される瑞々しい音楽に魅。それにホールの音響も驚くほど素晴らしい。アンコールを含めて休憩無しの70分間は、斬新で充実した内容だった。 |
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