2007.01.20 『時と悟りの勝利』フリム演出ミンコフスキ指揮/チューリッヒ歌劇場


Opernhaus Zuerich
Samstag, 20. Januar 2007

in italienischer Sprache
IL TRIONFO DE TEMPO E DEL DISINGANNO
Oratorium in zwei Teilen
von Georg Friedrich Haendel (1685-1759)
Libretto von Benedetto Pamphilj
Urauffuehrung in Mai 1707,
Collegio Clementino, Rom

Musikalische Leitung Marc Minkowski
Inszenierung Juergen Flimm
Regiemitarbeit und
Spielleitung Gudrun Hartmann
Buehnenbild Erich Wonder
Kostueme Florence von Gerkan
Choreographie Catharina Luehr
Lichtgestaltung Martin Gebhardt

Bellezz Malin Hartelius
Piacere Anna Bonitatibus
Disinganno Marijane Mijanovic
Tempo Kresimir Spicer

Organist Jory Vinikour
Violinistin Ada Pesch

Orchestra <<La Scintilla>> der Oper Zurich

Continuo
Theorbe Yasonori Imamura
Cello Claudius Herrmann
Kontrabass Dieter Lange
Cembalo Michael Biehl
Orgel Jory Vinikour
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今日はスイス・エアーにてベルリンからチューリヒに移動した。ベルリンは雨であったが、フライトが南下するに従って晴となった。チューリッヒ湖畔はもう春の陽気になっていた。さて今日はユルゲン・フリム演出、マルク・ミンコフスキ指揮によるヘンデル『時と悟りの勝利』を見た。昨年3月にも上演されており、是非見たいと思っていた。

「美」「快楽」「悟り」「時」がドラマを演じるオラトリオは多分にオペラティックな展開を見せるためか、フリムの演出がとても上手くマッチしていた。全2幕ともにカウンターを配したバーの中がドラマの設定。舞台セットは幾何学的に洗練されており、登場人物達の華麗な衣装や色彩感とともに見飽きない楽しさだった。

「美」を演じたのはマリン・ハルテリウス。日本公演の「ばらの騎士」にも出演が予定されている。彼女はザルツブルクのモーツァルトマチネやミラノでのシャイー指揮「マタイ受難曲」で聴いたことがある。ミンコフスキ指揮とあいまって彼女は素晴らしいヘンデル歌いであることを実感した。「快楽」のアンナ・ボニタティバスも素晴らしい。ミュンヘンでの「ロメオとジュリエット」をはじめザルツブルクのモーツァルト・マチネでの印象も記憶に新しい。

「美」が何時までも美しく魅力的でありたいという願いに対して、マリヤナ・ミヤノヴィッチの「悟り」とクレジミール・スパイサーの「時」も巧みな歌と演技でストーリーを展開してゆく。バーでの語らいというユニークな設定は、多彩な群集のアクセントとともに、身近なドラマとしての面白さがある。

そして何よりもミンコフスキーがチューリヒのアンサンブルから導き出す新鮮でエネルギッシュな音楽。フリムのコンセプトと上手く一体化してヘンデルの天才的な魅力を放ってくれた。ちなみに開演前、何度も練習していた難しいパッセージも、実演では鮮やかなアンサンブルとして決まっていた。以上、休憩を入れた3時間、ミンコフスキならではの音楽展開とフリムのユニークな演出でヘンデルを存分に楽しめた。



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