2007.01.18 『エジプトの十字軍』ピッツィ新演出ヴィヨーム指揮/フェニーチェ歌劇場 | ||
Opera inaugurale libretto di musica di Prima rappresentazione in empi
modrni personaggi e interpreti Aladion Marco Vinco maestro concertatore e direttore
Emmanuel Villaume Orchestra e Coro de Teatro La
Fenice con sopratitoli 今日はベルリン・テーゲル13時発のHLX便にてヴェネチア・マルコ・ポーロ空港に向かう。つい先日、Hapag−Lloyd ExpressはTUIfly.comに変わったが、大分前に予約した内容に変更は無く予定通り14:30VCEに到着した。ベルリンは雨だったがヴェネチアは曇り。空港からは15:30発のAlilaguna(水上バス)のゴールドラインでサン・マルコにへ直行する。レッドやブルーのラインは途中の島を立ち寄るのに対して、ゴールドは最短コースを飛ばすので30分くらいで到着する。霧が立ちこめていたものの、さすがに水の都、海に浮かぶ風光明媚が素晴らしい。まずはフェニーチェ歌劇場の真横に隣接するラ・フェニーチェにチェックインして、今日のチケットをピックアップした。開演までたっぷりと時間があったので魚介パスタなど美味を楽しんだ。 さて今日の演目は新演出となるマイヤーベーアの歌劇『エジプトの十字軍』。ドイツ出身のマイヤーベーアがイタリアで活躍した頃の作品で、1824年にヴェネチア・フェニーチェで初演されて以来殆ど上演されていない。よって、今回の新プロダクションはまずもって見逃すことが出来ない。昨年モンペリエで聞いたラロのフィエスコ世界初演にも匹敵する期待を感じる。加えてチョーフィが出演することが今回のヴェネチア行きを決めた次第。ちなみにチョーフィは7回の上演のうち、1/14,16,18,20の4回に出演する。 ロッシの台本は13世紀、1228年の第6回十字軍のエジプト遠征から題材を取ったものと思われる。当時、神聖ローマ皇帝フリードリヒとエジプトのスルタンとの間で和平交渉があったように、物語はスルタンのアラディーノとその娘、パルミーデ、十字軍の騎士アルマンドを巡って多彩にドラマが展開する。全2幕の構成で、第1幕はアラディーノの宮殿、第2幕は宮殿から十字軍の船が停泊する港、さらには牢獄でのストーリーに展開してゆく。ピエール・ルイジ・ピッチ新演出なるステージでは、冒頭からアラビア文字が象徴として描かれ、アラビアン・ダンサー、ギリシャのコロスを思わせる合唱の扱いなど、多彩な表現がシンプルかつ効果的に用いられている。特に十字軍の巨大な帆船がステージに登場する場面はその象徴とともに迫力満点。黒い船体に白の幌に黒十字。十字軍の騎士達も白に黒十字を胸に描いている。マルコ・ヴィンコ演じるアラディーノは黄金のターバンと衣装を纏い、深い歌声が威厳すら感じさせる貫禄。パトリツィア・チョーフィ演じるパルミーデは、線の細さの中にも芯が通った意思が感じられ、白い衣装が彼女のキャラクターを浮き彫りとしていて魅力的。ソプラニスタのミヒャエル・マニアッチも巧みなアルマンドを演じる。 音楽ではエマニュエル・ヴィヨーム指揮によるオーケストラが素晴らしい。マイヤーベーアの独特の躍動感をエネルギッシュに響かせて、オーケストレーションを見通し良く聞かせてくれる。スムーズな舞台展開とあいまってテンションが落ちることなく、ステージに集中させてくれる。歌手と合唱とが一体化したアンサンブルはとても素晴らしかった。フェニーチェの華麗な劇場は音響も良くて、19時の開演から23時終了までの4時間、全く時間を感じない充実度であった。また当時のエジプト遠征ではヴェネチアが輸送などで協力した点などを考え合わせると、このオペラがヴェネチアで上演されることの特異性を感じさせてくれる。ともかくフェニーチェでしか見られないマイヤーベーア作品を見ることが出来て感慨深い。 |
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