2006/10/29 アーノンクール&ウィーンフィル/ムジークフェライン

 

WINER PHILHARMONIKAER

 

Grosser Musikvereinssaal

Sonntag, 29. Oktober 2006, 11.00 Uhr

 

Dirigent: Nikolaus Harnoncourt

Mitwirkend:

Arnold Schoenberg-Chor

Kuenstlerische Leitung: Erwin Ortner

 

PROGRAMM

 

ROBERT SCHUMANN

 

 Symphonie Nr. 3, Es-Dur, op.97,

 "Rheinische"

 Lebhaft

 Scherzo, Sehr maessig

 Nicht schnell

 Feierlich

 Lebhaft

 

Pause

 

FRANZ SCHUBERT

 

 Gesang der Geister ueber den Wassern

 (Johann Wolfgang von Goethe)

 fuer acht Maennerstimmen und Streicher, D714

 

 Symphonie Nr. 7, h-Moll, D759,

 "Unvollendete"

 Allegro moderato

 Andante con moto

 

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今日は早朝ウィーンに飛ぶためホテルを5時30分にチェックアウトした。しかし未だ4時30分だという。夏時間が10/29の深夜3時で終わった事を知らされた。ともかくタクシーで空港へ移動した。未だ5時前だというのにブリュッセル空港は昼間の混雑以上の賑わい。とても早朝とは思えない。OSのチェックインカウンターまで他のフライトの列が溢れていた。7:35発のOS358便は予定よりも若干早い9:15に到着した。このフライトは安い席が早々と完売のため407ユーロ。1Aの席からは扉が開くとすぐに移動できる。CAT乗場まで10分は掛からなかった。よって計画の10:05発よりも早めの9:35発に乗れた。ミッテからはUバーンでカールス・プラッツに移動。ひとまずカフェで休む。外は雨が降った後で強風に黄色い葉っぱが舞い上がっていた。

 

さて今日は11時からムジークフェラインでアーノンクール指揮のウィーンフィル定期を聞いた。開演間際、日差しが差してきたため、パイプオルガンを中心に黄金に輝き始める。日曜マチネーならではの光景であり、ウィーンフィルを聞くにはムジークフェラインという楽器がベストと実感させられる。今日のコンサートマスターはキッヒュルで隣がシュトイデ。

 

冒頭は日本公演でも予定されているシューマン交響曲3番ライン。遅めのテンポながらも十二分なエネルギーを放ちながら、ウィーンフィルの美しい音色が活かされる。特に低弦に厚みを持たせてパッセージを噛みしめて行く演奏。2楽章の情景を経て4楽章の厳かさ。そして終楽章の躍動。アーノンクールのドライブでアンサンブルもかなりヒートアップしてきた。特にフィナーレに向けて駆け抜けるようなスリル感が印象に残った。

 

後半は、アルノルト・シェーンベルク合唱の8声男性合唱と弦楽器による、シューベルトの「水の上の精霊の歌」。弦は左手からコントラバス2本、チェロ6本、ヴィオラ、4本、ヴァイオリン4本がほぼ1列にレイアウトされる。ともかく合唱と弦が織り成す透明で天国的なアンサンブルに驚嘆した。10分ほどの作品ながらも永遠の時間が持続しているかのような錯覚とともに聴くものの心を捉えて離さない。作品は、Adagio molto/Piu Andante/Un poco piu mosso/Piu mosso/Adagio moltoの5段階にテンポを変えてゆくが、アーノンクールの抑揚が加わることによって、一音一音の流れと変化が彩られてゆく。人の心を水、運命を風になぞらえたゲーテの詩が説得力を持って雄弁に語りかける。下記の冒頭部と終結部から明らかなように"Des Menschen Seele"が"Seele des Menschen"と入れ替わるトリプティークが鮮やかに歌われた。

 

冒頭部

Des Menschen Seele

Gleicht dem Wasser:

Vom Himmel kommt es,

Zum Himmel steigt es,

Unde wieder nieder

Zur Erde muss es,

Ewig wechselnd.

 

終結部

Seele des Menschen,

Wie gleichst du dem Wasser!

Schiksal dem Menschen

Wie gleichst du dem Wind!

 

中間部も合唱と演奏が極度の透明感を維持しつつダイナミズム溢れる展開。聞くものにとっては感動の連続となる。詩が持つ悟りの境地とシューベルトの天才が理屈なしに納得させられる名演奏で、今日一番の大喝采となった。そしてシューベルトの未完成交響曲。これもムジークフェラインならではの音響がウィーンフィルの音色とともに他では聞けない独特の美しさとなった。以上、充実のマチネーであった。



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