2006.07.31『フィガロの結婚』アーノンクール&ウィーンフィル/ザルツブルク

 

SALZBURGER FESTSPIELE 2006

Montag 31.Juli 18.00 Uhr

Haus fuer Mozart

 

Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

LE NOZZE DI FIGARO

Opera buffa in vier Akten KV 492

Text von Lorenzo Da Ponte

Neuinszenierung

 

Dirigent, Nikolaus Harnoncourt

Inszenierung, Klaus Guth

Buehne und Kostueme, Christian Schmidt

Licht, Olaf Winter

Dramaturgie, Ronny Dietrich

Choreographie, Ramses Sigl

Choreinstudierung, Andreas Schueller

 

Il Conte Armaviva, Bo Skovhus

La Contessa Armaviva, Dorothea Roeschmann

Susanna, Anna Netrebko

Figaro, Ildebrando D'Arcangelo

Cherubino, Chrisine Schaefer

Marcelina, Marie Mclaughlin

Bartolo, Franz-Josef Selig

Basilio, Patrick Henckens

Don Curzio, Oliver Ringelhahn

Antonio, Florian Boesch

Barbarina, Eva Liebau

Cherubim, Uli Kirsch

 

Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor

Wiener Philharmoniker

Continuo Cembalo, Stefan Gottfried

         Violoncello, Franz Bartholomey

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昨日の充実ぶりに続いて本日は今年最も期待される公演<a href="http://www.salzburgfestival.at/spielplan_werk.php?lang=1&id=3823&sommerflag=1

">「フィガロの結婚」</a>。パトロンですら申し込みランクが落とされる中にあって、希望のランク1(パルケット前方)が2公演分ゲットできていた。日程の都合により本日の1公演のみを聴く。祝祭小劇場から改装されたモーツァルト・ハウスはロビーを主体に明るく広々としており、シートも座りやすい。小劇場のときはフラットだったパルケットにスロープが付けられ、前の列で視界を遮られることが無くなったのが良い。響きも以前よりも響いてライブの臨場感に溢れている。加えて劇場2階のバルコニーに出られるようになり、とても気持ちが良い。ここでモエ・シャンドン・ロゼで喉を潤すのが美味。ちなみにバルコニーから外を眺めていると、開演20分前に1台のアウディからアーノンクールが出てきた。片手に黒の鞄を提げての劇場入り。

 

ガラ・マチネと同様に豪華絢爛な雰囲気に包まれて演奏が開始した。はじめはスローテンポを感じさせたが、次第に引き込まれて行く。コンサートマスターのキュッヒル率いるアンサンブルは小編成に絞られながらも、実に豊かな音楽を展開してゆく。管弦打の絶妙な呼応とステージ上の展開が見事にマッチング。クラウス・グース新演出によるステージは白色をベースにした室内空間。正面右に傾斜し、途中から正面に下りる階段が配されている。左手に大きな窓。右手が扉になっている。いたって簡素なステージの中、冒頭、登場人物たちが時間が止まったように静止。天使(ケルビム)が登場し、人物達に触れながら、彼らの動きを開始させてゆく。

 

冒頭からネトレプコのスザンナが素晴らしくてステージ姿に見とれるばかり。ダルカンジェロやスコーフスも登場人物のキャラクターを見せ付けてゆく。シェーファーといえば前回のモルティエ時代のフィガロと同様にケルビーノ役がぴったり。伯爵夫人のドロテア・レッシュマンはネトレプコにも勝るほどの素晴らしさで、会場が地響きを立てて沸き立った。ともかくキャストの全てが凄すぎる展開で、間違いなく世界の音楽祭に君臨する超ハイクラス。白を基調とする至ってシンプルなステージにソリスト達を浮き彫りとして行く演出が上手い効果を発揮して、歌手達の素晴らしい歌とともにドラマに没頭させられる。黒のカラスと赤い林檎のアクセント、パントマイムなどの演出も面白い。

 

そして何よりも凄かったのはアーノンクール&ウィーンフィルの極上の音楽。天国的な宙を舞うような軽やかさ、壮絶なほど豪快なダイナミズムまで、古楽奏法をスパイスとしながら、メリハリのある展開がステージと一体となる。未だかつてこんな凄いフィガロは聴いたことは無い。ザルツブルクでアバドがヴォツェックを振った時以来の衝撃だ。間違い無くかつて体験した名演奏の数々をも遥かに超越する。夕方6時に始まり途中30分の休憩を入れて終演は10時すぎ。余りの凄さに終始釘付け状態となった。聴衆の多くはこの興奮で今夜は眠れないのでは。ともかくアーノンクールの恐るべき天才ぶりに圧倒された次第。プレミエはライブ放送され、DVDが出るかも知れないが、この素晴らしさはライブでしか体験できない。以上、LH710から速報。



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