2006.07.29 パルジファル/チロル・エール音楽祭

 

Tiroler Festspiele Erl 2006

Sa. 29. Juli 2006

Passionsspielhaus Erl

 

Richard Wagner (1813-1883)

Parsifal

 

Ein Buehnenweihspiel in drei Aufzuegen

Dichtung vom Komponisten. WWV 111

 

Saengerinnen und Saenger der Accademia di Montegral

 

Amfortas : Tomas Gazheli

Titurel : Raphael Sigling

Gurnemanz : Kurt Rydl

Parsifal : Francisco Araiza

Klingsor : Michael Kupfer

Kundry : Martina Tomcic

1. Gralstritter : Giorgio Valenta

2. Gralstritter : Alexander Trauth

1. Knappe : Jae Hee Kim

2. Knappe : Dinah Berowska

3. Knappe : Xavier Rouillon

4. Knappe : Marwan Shamiye

I. Gruppe Bluemenmaedchen

1. Susanne Geb

2. Anahita Ahsef

3. Hale Al Orfali

II. Gruppe Blumenmaedchen

1. Cho Hyun-Joo

2. Junko Saito

3. Taeka Hino

Altosolo : Emanuela Barazia

Taenzerin : Claudia Czyz

 

Chor der Tiroler Festspiele

Wiltener Saengerkanaben

Orchester der Tiroler Festspiele

Musikalische Leitung, Regie und Licht: Gustav Kuhn

Buehne : Ina Reuter

Kostueme : Lenka Radecky

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今日はモンペリエのホテルを朝5:30にタクシーで発って、空港到着は5:45。朝6:55発のエールフランス便にてパリCDGに向かう。ターミナル2Dに8:30に到着し、同じターミナルにて、10:20発のエールフランス便に乗り継いでミュンヘンに向かった。MUC着は12時頃となり、まずはDBのチケットを買う。暫し休憩して、13:02のSバーンでミュンヘン東駅まで行って、ここで約6分の待ち合わせで13:40発のウィーン西駅行きECに乗り換えた。ほぼ1時間で本日の宿泊地クーフシュタインに到着した。ホテルはクーフシュタイン城を窓から望めるアンドレアス・ホッファー。この街も中世の佇まいを残しており、特に川沿いから城を望む風景はホーエン・ザルツブルクのミニチュア版なのが面白い。夕方になるととても涼しくなり、絶好の避暑地になっている。ちなみにフェスティバル期間中でもあり、街中も賑わっている。

 

チェックイン後、しばらく休憩してから、再びクーフシュタイン駅に戻る。16:15発の<a href="http://www.tiroler-festspiele.at/">チロル・エール音楽祭</a>行きのシャトル・バスに乗るため。シャトルはモンペリエに居るときに電話予約しておいた。送迎で15ユーロと安い。クーフシュタインからは長閑な田園風景の中を20分ほど走って、エールに到着する。近くにはほんの少しばかりの集落しかない草原地帯で、山の眺めが美しい。そんな中、パッションシュピールハウスという白塗りの円形ドーム状の劇場がある。受難劇を演じる劇場らしいが、夏はグスタフ・クーンの指揮でコンサートやワーグナーの楽劇が上演されている。昨年はリングが上演されていたが、今年は「トリスタンとイゾルデ」と「パルジファル」が演じられる。グラインドボーンとまでは行かないが、開放感ある眺めとシャンパーニュ片手に開演を待つのが心地良かった。

 

さて事前予約のためチケットは10%ディスカウントされており、席もパルケット前方中央と視界、音響ともに素晴らしかった。円形ドーム状のステージにはオーケストラが弦、木管、金管、打楽器と層を成して積み上がるように配置されている。最上階にはハープやゴングが配置され、さらに上方に天井から響かせる少年合唱なども並ぶ。オーケストラ前面に柱が林立し、さらに前方がステージとなる。木で組んだステージ床はときおり合唱の登場時に床が軋む音がするが、ステージの背面全体を反響版としたサウンドは凄い増幅効果を生み出す。加えて客席が後方まで段差で広がっており、空間全体が大聖堂の伽藍のようにも響く。よってパルジファルの重厚な響きは圧倒的なものとなり、地響きを立てて全体を包み込む。

 

<a href="http://www.tiroler-festspiele.at/festspiele2005/eng/bilder_detail.php?id=19">クーン自身による演出及び照明</a>はオーソドックスな展開ながらも、アンフォルタスをレオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」に似た構図とする場面があったり、巨大な梯子を使ったクリングゾールの世界など、とてもシンプルなセットを上手く駆使して想像力を掻き立てる内容。歌手ではクルト・リドルのグルネマンツを筆頭に、トマス・ガーツヘリのアンフォルタスが痺れるほど凄い。ついでクンドリー役のマルティナ・トムシクは妖艶な美貌で迫りくる。フランシス・アライサのパルジファルも無難に輝かしいもので、総じて、クーンの求心力ある展開が神秘、荘厳な世界を作り出した。場面展開のゴングの迫力といい、パイプオルガンを用いた脚色も奏を効して、神聖な祝典劇に没頭させられた。

 

来年2007年は再びリング、トリスタンとイゾルデ、パルジファルが上演される。特にジークフリートは1幕&2幕と3幕&朗読マイスタージンガーと2回に分かれるのが興味深い。これにブルックナー交響曲3番とブルックナー交響曲が加わる。特にブラームスは1夜にして全曲が演奏される。とても精力的な内容であるが、本日のパルジファルも全く時間を感じさせない充実ぶりに驚かされた次第。帰りはシャトルで20分ほどの近さでとても楽だった。



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