OPERA
NATIONAL DE PARIS
Direction
Gerald Mortier
KAIJA
SAARIAHO
Adriana
Mater
OPERA
EN SEPT TABLEAUX
LIVRET
DAMIN MAALOUF
CREATION
MONDIALE
COMMANDE
DE L'OPERA NATIONAL DE PARIS
COPRODUCTION
AVEC LE FINNISH NATIONAL OPERA
EN
COLLABORATION AVEC l'IRCAM - CENTER POMPIDOU
DIRECTION
MUSICALE Esa-Pekka Salonen
MISE
EN SCENE Peter Sellars
DECORS
George Tsypin
COSTUMES
Matin Pakledinaz
LUMIERES
James F. Ingalls
MUSIQUE
ET DISPOSITIF INFORMATIQUE REALISES DANS LES STUDIOS DE IRCAM
REALISATION
INFORMATIQUE MUSICALE IRCAM Glibert Nouno
INGENIEUR
DU SON Sebastien Naves
CHEF
DES CHEURS Peter Burian
Patricia
Bardon, Adriana
Solveig
Kringelborn, Refka
Gordon
Gietz, Yonas
Stephen
Milling, Tsargo
ORCHESTRE
ET CHEURS DE L'OPERA NATIONAL DE PARIS
OPERA
BASTILLE 18 AVRIL 2006 a 20h
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今日は午前中にロンドン・ヒースローからbmiでパリに飛び、20時からバスチーユ・オペラにてカイヤ・サリアーホ作曲の新作オペラ「アドリアナ・マーテル」を見た。台本はアミン・マラーノフ作で、演出はピーター・セラーズ。ザルツブルク音楽祭での「遥かな愛」に次ぐ話題作品で、指揮も前回と同様にエッサ・ペッカ・サロネンが担当し、コンテンポラリの一大研究所でもあるイルカムともコラボレートしている。プロダクションには勿論、モルティエも加わっており、彼が総裁だったころのザルツブルクを彷彿させる意欲を感じさせる。最近、ザルツブルク時代の再演物が比較的多いパリにあっては、今回のプロダクションは特に注目される。なおチケットはオンライン予約でも余裕だったことから、売れ行きは芳しくないのではと予想していたが、実際のところ、全7公演の最終日の今日はほぼ満席に近い盛況だった。
物語は戦争状態にあるバルカンにおいて、アドリアナと姉妹のレフカ、そしてアドリアナをレイプしたツァルゴ、その結果生まれたヨナスを巡る内容。18歳となったヨナスが出生の事情を知り、アドリアナの憎しみと共にツァルゴ殺害の復讐に燃える。結果として、地獄への解決には進まずに、悟りによって救済に至るといった感動の展開を見せる。
ステージは以前、ザルツブルクでのグラン・マカブルに似ていて、広大なスペースにイスラム家屋がオブジェとしてレイアウトされたもの。ドームを持つ家が象徴として、全7場に共通して用いられ、幻想的な照明を変幻させ、その場の状態と心理状態を比喩していく。特にドームが赤く輝く場面や、第4場以降の雪に閉ざされたような乳白色の色彩感はまさにグラン・マカブルを思い出させる。バスチーユにおけるセラーズ演出のトリスタンと同様、極めてシンプルな情景に人間のドラマに焦点を向けさせるには無駄なものを徹底的に省き、必要最小限のみに留めるアプローチは非常な説得力を感じさせる次第。
さて昨日まで三日間ワーグナーを見続けたスペクタクルさと比べると、サリアーホの新作は、シリアスで一見地味とも思えるが、サロネンが導く演奏は極めて充実しており、淡々としたモノローグの連続から音楽のうねりを導きだし、感動に至らしめる。特にヴォカリーズ響く合唱の壮大さ力強さが素晴らしい。キャストでは女性陣が印象的で、アドリアナ役のパトリシア・バードンが逞しい個性を発揮。レフカ役のソルヴェイグ・クリンゲルボルンで以前バスチーユでのアリアドネでも聞いたことがある。
前半は1〜3場の構成で55分、30分の休憩の後、後半は4〜7場として75分。実際には20時開演で終演は23時近かった。ともかく全ての聴衆はドラマに釘付けになり、フィナーレは極めて大きな感動を呼んだ。カーテンコールではサリアーホとマラーホフも登場し、大喝采となった。
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