2006/03/19 ラ・ファボリータ/ミンコフスキ&オペルン・チューリヒ

 

 

Opernhaus Zurich

LA FAVORITE

Opera in vier Akten von Gaetano Donizetti (797-1848)

Libretto von Alphonse Royer, Gustave Vaez und Eugene Scribe

in franzoesischer Sprache

 

Musikalische Leitung, Marc Minkowski

Inszenierung, Philippe Sireuil

Buehnenbild, Vincent Lemaire

Kostueme, Jorge Jara

Lichtgestaltung, Hans-Rudolf Kunz

Chor, Jurg Haemmerli

Choreographie, Avi kaiser

Pers. Assistent des Regisseurs, Christophe Gayral

 

Leonor de Guzman, Vesselina Kasarova*

Fernand, Fabio Sartori*

Alphonse XI, Roberto Servile

Balthazar, Carlo Colombara*

Don Gaspar, Eric Huchet*

Ines, Jael Azzretti*

* Rollendebuet

 

Taenzerinnen und Taenzer, Sarah Braschler, Alessandra Corti,

 Valentina Moar, Sergio Antonino, Remo Jost, Avi Kaiser,

 Francesco Pacelli

 

Chor des Opernhauses Zuerich

Zusatzchor und Jegendchor Opernhaus Zuerich

Statistenverein am Opernhaus Zuerich

Orchester der Oper Zuerich

 

Sonntag, 19. Maerz 2006

Premiere

Beginn: 19.00 Uhr

Ende: ca. 22.15 Uhr

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今日はロンドン・スタンステッド空港から9:50発のライアン・エアーでフリードリヒシャーフェン(FDH)に飛んだ。運賃は1.6ポンドと格安で予定よりも早く12時過ぎには到着した。空港正面にDBのホームがあり、ここからREでリンダウに向かう。途中、ボーデン湖を望みながらブレゲンツも通過する。リンダウでは乗り継ぎに1時間の余裕があるので、駅からすぐのボーデン湖畔を散策した。昨日までのベルリン、ロンドンは非常に寒かったが、今日は快晴の青空で春の太陽が眩しい。残雪の山々を背景に初夏を思わせる風光明媚を楽しめた。リンダウからチューリヒへはECで1時間40分ほどで到着。

 

さて本日はマルク・ミンコフスキ指揮によるドニゼッティ「ラ・ファヴォリータ」新演出初日を見る。プレミエ日のためオンライン予約が無く入手も困難が予想された。早めにホテル・オペラにチケットを頼んだところ良い席が取れていた次第。ともかくミンコフスキの指揮は素晴らしい。古楽系をレパートリーとしながらも、フォーレやドビュッシー、さらにはオッフェンバックに至るレパートリーでも常に最高の仕上りとなる。ちなみにミンコフスキは3月初旬にもヘンデル「時と悟りの勝利」をチューリヒ歌劇場で振っており、これも是非聞きたかったが、都合が合わず、今回のファヴォリータに焦点を絞った次第。

 

さすがにミンコフスキはチューリヒのオーケストラからもルーブル宮音楽隊と変わらぬ柔軟で力強いアンサンブルを引き出す。ドニゼッティの音楽から骨格のしっかりとした強靭さ、バレエなどの優雅さ、明暗のコントラストなど全ての要素が際立ったものとなる。これはまた、ミンコフスキ自身が指摘するように、ファヴォリータという作品が様々な断片のコングロマートであり、これらの要素を活かそうとする彼のアプローチに納得させられた次第。

 

そして何よりもベッセリーナ・カサロヴァの素晴らしさが光る。ファビオ・サルトーリとともに、チューリヒでのローレンデビューを飾るが、特にカサロヴァは心理劇にも近い迫力を放ちながら、ステージを引き締めて行く。これは演出とも上手く呼応して、カサロヴァの存在感を大いに感じさせられた。

 

シルイユ演出のステージは非常にシンプルながらも、大きな魚の帆船が非常に象徴的だった。巨大な金の鯱といったところで、冒頭、巨大な船として登場。女性合唱の場面では、捲くれた白の幌に合唱が乗っており、これ全体が天井から降りてくる。これがステージ全体を覆っている間に、次の舞台転換が行われるという仕掛け。そして巨大なチェス盤と幾何学的な背景のモダンなステージ。ここでジャズダンスならぬ踊りが繰り広げられるが、この時の演奏も絶妙なリズム感で、ミンコフスキの腕の見せ所となった。

 

ステージはザルツブルクのフェルゼンライトシューレのような逆U字形の窓が大きく、左右に切欠いたものとなり、ここでも先ほどの金の鯱のミニバージョンが登場し、左右に動いて行く。ちなみに最終幕でも、この船が登場するが、何と、炎を上げて燃えている。途中、スピードが落ちて、炎が大きくなったりして、会場から若干の笑いが出た。ちなみに演出家によればフェルナンドの夢を表現しているらしい。以上のように所々意味不明の展開があるものの、極めてシンプルで美しいステージが歌手達を浮き彫りにしつつ、ドラマに引き寄せて行く。そして何といっても、ミンコフスキの指揮とカサロヴァに全てが集約される素晴らしさだった。

 

ちなみにSF1チャネルでは、カサロヴァの特集が1時間ほど放送されていた。インタヴューやリハーサルはもちろんのこと、珍しい過去の映像やコンサートやオペラでの記録が非常に興味深い。



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