2005/08/09 バッハ・コレギウム・ジャパン/レンツブルク・キリスト教会 /シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭 |
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schleswig-holstein musik
festival Yukari Nonoshita, Sopran Das Program Johann Sebastian Bach '1685-1750) Pause Magnifact D-Dur BWV 243 |
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さて、教会内部は正面入口から祭壇に向って席が配列されているが、これと直交した左右にも席を配列した構造になっている。すなわち教会内部が十字架のような空間を作り出し、2階のバルコニーとあわせて、大きな伽藍を作っている。そのためか、オペラシティとは比較にならぬほど残響の素晴らしさが印象的である。音がブレンドされていく効果として、合唱と管弦楽が分離することなく、見事までに一体化する。この効果は響きを柔らかく包み込むように教会全体に響いてく。そのためか、バッハの敬虔な音楽にさらに奥行感と深淵さをもたらすこととなる。ちなみに教会内部は比較的明るく照明されていた。 プログラムは、前半にJ.S.バッハのモテット「イエス、我が喜び」BWV227とブランデンブルク協奏曲4番BWV1049。後半はマニフィカトニ長調BWV243といった内容であった。モテットでは、合唱を正面、左右に配置し、独唱ソロやデュオ、トリプルを含めて多彩に展開する。先に述べた音の一体化はバッハを最大限に魅力的に聞かせてくれると同時に、非常に深い感銘さをも体験させてくれた。やはりこの素晴らしさを聴くとオペラシティでの演奏が非常に物足りなく感じてしまう。神戸の教会で演奏するBCJと比較してどうなのかも興味深い。ソプラノは野々下由香里と藤崎みなえ、アルトはロビン・ブレイズ、テノールは櫻田亮、バスはペーター・コーイで、皆素晴らしい出来栄え。特に櫻田は7月のカリッシミ生誕400年記念演奏2回の出演が記憶に新しい。 続くブランデンブルクでは、正面のチェンバロを鈴木雅明が演奏しながら、左から第1、第2ヴァイオリン、チェンバロの右手に2本の木管、さらに右手には通奏低音が取り囲む。器楽だけのアンサンブルも弦の繊細さを絹糸のように重ね合わせたように柔らかく、しかも艶やかに層を成して一体化していく。特に若松夏美のヴァイオリン・ソロは面白いほどに弦が流れて、華麗に響き渡った。キリスト教会は東京カテドラルなどに比べて、残響しすぎることはなく、ちょうど良いバランスを聞かせてくれるのがコンチェルトでも良く分かる。 後半のマニフィカトでは、合唱は全てオーケストラ後方に段差で配列し、ソリスト一人一人、指揮者の前に出てきて歌う。左側に弦、右側に木管、さらに左後方に金管を配して、バッハの輝かしい魅力が全開となる。特にバルコニー席では見を乗り出して、中には立って聴いている方もいた。皆、素晴らしいバッハの世界に魅了さ尽くしているの事を見て取れる。アンコールにバッハの輝かしいアンサンブルでフィナーレとなったが、このような教会で、ロ短調ミサも聞いてみたいと思うばかりである。前半終了は21時で30分の休憩を入れ、22時には終了した。ともかく余りにも素晴らしい感動のバッハが聞けた最高の一夜であった。 |