2005/08/07 『椿姫』 初日 ネトレプコ&ヴィラゾン&ハンプソン/ザルツブルク音楽祭 |
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SALZBURGER FESTSPIELE
2005 Dirigent, Carlo Rizzi Violetta Valery, Anna Netrebko Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor |
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以上のように開演前から熱気に包まれているが、デッカー新演出はとても面白い内容だった。ちょうど彼がウィーンで演出した「ルル」に似ている。ステージを凹面の背景で仕切り、上部が凹面で開口している点など、ルルの焼き直しとも感じられる。あの時は、エフラティの美貌が冴え渡るような展開であったが、今回は明らかにネトレプコの美しさ、可憐さを浮き彫りにしようとする意図が感じられる。 セットでは、白の壁を基本として、1幕では赤のソファー、2幕では白のソファーに色とりどりの花柄のシーツが掛けれている。このような白をベースにしたキャンバスに、アンナ・ネトレプコの美貌がさらに映え渡る。ちなみに彼女は、ザルツブルクにドン・ジョバンニで登場した頃に比べて、さらに女性らしい美しさがアップ。赤の衣裳から白の下着姿まで、彼女のスタイリッシュなセクシーが満載している。ちなみに演奏していない時は、シュルツさんをはじめオーケストラの面々もステージ上のネトレブコを眺めている。 なおステージのセットでは右手に大きな丸い時計があり、音楽のピッチにあわせて時計の針が回転し、ヴィオレッタが時計の回転を止めようとする演出、さらに時計をステージ真中に移動させて、ひとつの象徴としても利用されている。また、謎の白髪の人物が、物語とは関係なく、登場し、ヴィオレッタとの関係で、象徴的存在となっているのが面白い。ヴィラゾン、ハンプソンといったキャストとともに、大いに楽しめた。ネトレプコ人気はさすがに凄く、カーテンコールも多いに盛り上がった。ちなみにデッカーにも大きな喝采が浴びせられた。通常、新演出にはブーイングがつきものであるが、珍しいことに、ブーイングは一切出なかった。それにしてもこの大喝采だけでも興奮してしまう。なお本日の会場にはTVカメラが多数入っており、TV放送された。ちなみにホテルに戻って深夜TVをつけると、先ほどの公演がそのままカットなしに放送されていたので、もう一度見てみた。もちろんライブが一番であるが、TVでもライブの興奮が蘇ってくる。その後、30分以上にわたり、リハーサルの模様、演出家、歌手達のインタヴューをまとめたドキュメンタリーも放送された。ともかく今日は、すばらしいモーツァルト・マチネーに、美しくも幻想的な陶酔のシュレーカー、そして今回の興奮の椿姫とトリプルヘッダーに酔いしれた。 |