2005/08/07 『椿姫』 初日 ネトレプコ&ヴィラゾン&ハンプソン/ザルツブルク音楽祭


SALZBURGER FESTSPIELE 2005

Giuseppe Verdi(1813-1901)
LA TRAVIATA
Premiere
Sonntag, 7. August 2005, 20.00 Uhr
Grosses Festspielhaus
Oper in drei Akten
Text von Francesco Maria Piave nach dem Drama La Dame aux Camelias(1852)
und dem gleichnamigen Roman(1848) von Alexandre Dumas fils
Neuinszenierung

Dirigent, Carlo Rizzi
Inszenierung, Willy Decker
Buehne, Wolfgang Gussmann
Kostueme, Wolfgang Gussmann/ Susana Mendoza
Licht, Hans Toelstede
Choreographie, Athol Farmer
Choreinstudierung, Rupert Huber
Dramaturgie, Klaus Bertisch

Violetta Valery, Anna Netrebko
Flora Bervoix, Helene Schniederman
Annina, Diane Pilcher
Alfredo Germont, Rolando Villazon
Giorgio Germont, Thomas Hampson
Gastone, Salvatore Cordella
Baron Douphol, Paul Gay
Marquis d'Obigny, Herman Wallen
Doktor Gernvil, Luigi Roni
Ein Kavalier, Wilhelm Schwinghammer
Giuseppe, Dritan Luca
Diener Floras, Wolfram Igor Derntl
Ein Dienstamann, Friedrich Springer
Ein Gast, Athol Farmer

Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Wiener Philharmoniker
Buehnenmusik: Mozarteum Orchester





シュレーカーの後は20時から祝祭大劇場にて、トラヴィアータ新演出の初日を見る。指揮は当初予定されていたヴィオッティからカルロ・リッツィに代わり、演奏はウィーンフィル。既にパトロン申込で全公演が早々と完売しており、一般申込では殆ど入手不可となっていた人気公演。チケット屋では最低でも1000ユーロで流通していることがORFニュースで報じられ、その後は、さらに高騰して、プレミエ直前では信じられない額になったとの噂も聞く。その異常な人気ぶりから、劇場周辺も7/30の魔笛プレミエ以上に華やいでいる。著名人も多く、劇場内部は大勢のTV取材やカメラで大混雑していた。確かに今日はザルツブルクのプレミエとしては異常すぎるほど盛り上がっている。ちなみにORFは、記念グッズとして、女性に赤のトラヴィアータ扇子を配っていた。ロビーで立ち話していると、ORFのミントが配られた。さて、本日の席はパルケット最前列のど真ん中、ちょうど指揮者の真後ろの席であった。パトロン席は大抵1〜2列に割り当てられているが、今日はベストポジションでネトレプコが見れる。席につくと、キッヒュルさんと視線が合い、続いて、大勢と視線が合う。実は、客席にも照明が当てられており、オケも客席を観察して、華やかさを伺っているのである。

以上のように開演前から熱気に包まれているが、デッカー新演出はとても面白い内容だった。ちょうど彼がウィーンで演出した「ルル」に似ている。ステージを凹面の背景で仕切り、上部が凹面で開口している点など、ルルの焼き直しとも感じられる。あの時は、エフラティの美貌が冴え渡るような展開であったが、今回は明らかにネトレプコの美しさ、可憐さを浮き彫りにしようとする意図が感じられる。

セットでは、白の壁を基本として、1幕では赤のソファー、2幕では白のソファーに色とりどりの花柄のシーツが掛けれている。このような白をベースにしたキャンバスに、アンナ・ネトレプコの美貌がさらに映え渡る。ちなみに彼女は、ザルツブルクにドン・ジョバンニで登場した頃に比べて、さらに女性らしい美しさがアップ。赤の衣裳から白の下着姿まで、彼女のスタイリッシュなセクシーが満載している。ちなみに演奏していない時は、シュルツさんをはじめオーケストラの面々もステージ上のネトレブコを眺めている。

なおステージのセットでは右手に大きな丸い時計があり、音楽のピッチにあわせて時計の針が回転し、ヴィオレッタが時計の回転を止めようとする演出、さらに時計をステージ真中に移動させて、ひとつの象徴としても利用されている。また、謎の白髪の人物が、物語とは関係なく、登場し、ヴィオレッタとの関係で、象徴的存在となっているのが面白い。ヴィラゾン、ハンプソンといったキャストとともに、大いに楽しめた。ネトレプコ人気はさすがに凄く、カーテンコールも多いに盛り上がった。ちなみにデッカーにも大きな喝采が浴びせられた。通常、新演出にはブーイングがつきものであるが、珍しいことに、ブーイングは一切出なかった。それにしてもこの大喝采だけでも興奮してしまう。なお本日の会場にはTVカメラが多数入っており、TV放送された。ちなみにホテルに戻って深夜TVをつけると、先ほどの公演がそのままカットなしに放送されていたので、もう一度見てみた。もちろんライブが一番であるが、TVでもライブの興奮が蘇ってくる。その後、30分以上にわたり、リハーサルの模様、演出家、歌手達のインタヴューをまとめたドキュメンタリーも放送された。ともかく今日は、すばらしいモーツァルト・マチネーに、美しくも幻想的な陶酔のシュレーカー、そして今回の興奮の椿姫とトリプルヘッダーに酔いしれた。




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