2005/07/31 『ジューリオ・チェーザレ』新演出/グラインドボーン



GLYNDEBOURNE FESTIVAL OPERA
31 July 2006

Opera in Three Acts by
Georg Friederic Handel
Libreto by Nicola Francesco Haym
After Giacom Francesco Bussani's
Giulio Cesare in Egitto

GIULIO CESARE
The edition by Winton Dean and Sarab Fuller is performed by
arrangement with Oxford University Press

CONDUCTOR Laurence Cummings
DIRECTOR David McVicar
SET DESIGNER Robert Jones
COSTUME DESIGNER Brigitte Reiffenstuel
LICHT DESIGNER Paule Constable
MOVEMENT DIRECTOR Andrew George
FIGHT DIRECTOR Nicholas Hall

CIULIO CESARE Sarah Connolly
CORNELIA Patricia Bardon
SESTO Angelika Kirchschlager
CLEOPATRA Danielle de Niese
NIRENO Richid Ben Abedeslam
TOLOMEO Christophe Dumaux
ACHILLA Christopher Maltman

Orchestra of the Age of Enlightenment
LEADER Alison Bury
The Glyndebourne Chorus
CHORUS MASTER Bernard McDonald
HARPSICHORD CONTINUO Laurence Cummings/
Benoit Hartoin
CELLO CONTINUO Jonathan Cohren
VIOLA DA GAMBA CONTINUO Richard Tunnicliffe
BASS CONTINUO Chi-chi Nwanoku
THEORBO CONTINUO Elizabeth Kenny
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今日はザルツブルクからグラインドボーンへ向い、新演出のヘンデル「ジューリオ・チェーザレ」を見る。ルートは、SZG9:55発/STN10:45着のRyanairで飛び、スタンステッド・エクスプレスでリヴァプール・ストリートに出る。地下鉄サークルラインでヴィクトリア駅に出て、さらにサウザン・ラインでルイスへ向う。本当は途中、地下鉄ヴィクトリアラインに乗り換えてキングスクロス駅を経由して向うルートが早いのだが、テロの影響から、このルートは使えない。ところで、ロンドンからのフライトが遅延した為、出発が30分も遅れた。これではSTN11:30発のエクスプレスが厳しくなった。次のエクスプレスだと、開演15時に対して、到着が30分以上もオーバーする。今日は日曜のためSTNエキスプレスも30分間隔というのも裏目となっている。ちなみにSTNに向う飛行機には、昨日のマゼッパに出演したヴァーネフやマリンスキーのオケ奏者多数が搭乗していた。8/1にロイヤル・オペラハウスにてゲルギエフ指揮のもとボリス・ゴドノフが上演される為と察せられる。

さてフライトは11:10にSTN搭乗ゲートに着いた。後20分で列車に乗らなければアウトだ。途中のシャトルトレインで5分ほど待たされる。走り出しても途中のターミナルで停まったりと、結局、パスポートコントロールにたどり着いたのが、列車出発の7分前。幸いNon−EUのラインが空いており、並びながら入国カードを記入した。ここを通過した時は残り4分。テロ警戒の中、ダッシュすると不審者と間違われかねない為、スピードをコントロールしながら走る。地下に降りてからは、長い直線距離を飛ばして、無事に列車に飛び乗れた。チケットは社内で買えばよい。これで第1関門はパスできたが、第2関門として、ヴィクトリア12:47発の列車に間に合いたい。この列車はルイスまで直行し、グラインドボーン行きのバスに連絡している。次の13:02発ではブライトンで乗換えてルイス到着が14:29着で、バスの連絡は無い。リヴァプール・ストリートに予定とおり12:15に到着したが、サークルラインでは間に合わないことが分かっていたので、タクシーでヴィクトリアへ向うことにした。今日は日曜ということでシティ周辺は閑散としていて、裏道を快適に走り、テムズ河をスムーズに流れていく。ここまでは作戦が上手く行ったが、観光客の多いウェストミンスター周辺に出てからは混雑し、結局のところ、あと一歩、数分のところで間に合わなかった。ヴィクトリア駅が広すぎる事と、サウザンラインが自動改札となっているため、チケット売場に並ばないといけない為。結局、13:02発の列車で向う。途中、ブライトン駅ではカモメが駅舎の中まで飛んでいたが、さすがにイギリス南端の海まで来てしまったことを感じさせる。ここからローカル線に乗り換えて15分でルイスに着く。途中、広大な草原が美しく、グラインドボーンの雰囲気が出てきた。駅ではタクシーも居なく、不安になったが、待っているとやって来た。15分の乗車で開演10分前に到着できた。クロークに荷物を預けて、後は余裕で開演を待つだけ。

斯くのように苦労した甲斐あってか、素晴らしい公演は格別に素晴らしく感じられた。演出はルネ・ヤーコプスと組んだポッペアが素晴らしかったデイヴィッド・マクヴィカー。セット・デザイナーは何とリチャード・ジョーンズが担当している。二人の著名演出家が加わったステージは、オーソドックスとユニークさを上手くブレンドし、最高に素晴らしいエンターテイメントとしていた。

今回のプロダクションではウィリアム・クリスティがメインの指揮を行っているが、7月後半から8月中ごろまでは、ハープシコードも担当するローレンス・カミングスが担当する。サラ・コノリー演ずるジューリオ・チェーザレはメリハリがはっきりとした力強さが印象的。パトリシア・バードンのコルネ―リア、アンゲリカ・キルヒシュラガーのセストもそれぞれの個性を発揮した見事さ。加えて新鋭のダニエレ・デ・ニーセ演じるクレオパトラも大きな反響だった。第1幕ではムスバッハのルル役を歌ったクリスティーネ・シェーファーのようにショートヘアでエロティックさを満喫させる。第2幕では、リチャード・ジョーンズ演出のあの「ルル」でのエキゾチックな衣装を、さらに露出させた際どさで、周囲を悩殺していく。こういった展開が浴室、ベッド上のシーンに展開し、会場を盛り上げていく。時代設定は必ずしもローマとエジプトに拘らず、第1次大戦から現代に至る。特にイギリスのアラビア進出時代の兵士達も登場してくる。ステージ背景には、ローマの帆船から、現代の駆逐艦、空にはツェッペリンの飛行船まで飛んでくる。音楽にあわさせたコミックなダンスの振り付けは、インスブルックでのリナルドをも彷彿とさせるエンターテイメント仕立て。

オーケストラはエイジ・オヴ・エンライトメントで、腰のしっかりとしたコンティヌオをベースに、古楽アンサンブルの典雅さ、輝かしい響きを躍動感一杯に聞かせてくれる。乗りの良いテンポはさらにスピードアップし、ドラマと上手く掛け合い、歌手達のアリアが面白いほどに冴え渡る。長いストーリー展開も、全く飽きることが無く、多彩な演出効果とともに、大いに楽しませてくれた。第1幕の後に20分、第2幕の後に85分の休憩を入れ、終演が夜8:40。さすがにグラインドボーンの庭園は美しく、特に花園は絶品。広大な草原もピクニック情緒満載で、至福の環境は素晴らしい限り。

終演後、9時発のバスでルイス駅に出る。ヴィクトリア行きの列車はすぐに来た。今日はホテルに未だチェックインしていないが、途中、ガトヴィック空港駅で下車し、近くのホテルに泊る。それにしても今日は大変充実していた。




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