2005/05/29
ブーレーズ&ウィーンフィルのマーラー2番/ムジークフェライン


Wiener Philharmoniker Saison 2004/2005
9. Abonnementkonzert

Dirigent: Pierre Boulez
Mitwirkend:
Christine Schaefer, Sopran
Michelle de Young, Mezzosopran
Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
Kuenstlerische Leitung; Johannes Prinz

Grosser Musikvereinssaal
Sontag, 29. Mai 2005, 11.00 Uhr

Programm
Gustav Mahler
Symphonie Nr.2, c-Moll
Allegro maestoso. Mit durchaus ernstem und feierlichem
Ausdruck
Andante con moto. Sehr gemaechlich
In sehr ruhig fliessender Bewegung, attacca:
Urlicht". Sehr feierlich, aber schlicht, attacca:
Im Tempo der Scherzos. Wild herausfahrend

Orgel: Rainer Keuschnig

In der am 27. Oktober 2004
stattgefundenen Hauptversammlung
der Wiener Philharmoniker
wurde Maestro Pierre Boulez
zum Ehrenmitglied ernannt.

Vor dem Beginn des heutigen Konzertes
wird ihm von Vorstand
Dr. Clemens Hellsberg
die Ehrenurkunde ueberreicht.

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ユーロ・ナイトは朝6時過ぎにウィーン西駅に到着した。今日も快晴の青空で、暑くなりそうだが、朝はとても爽やかだ。途中、公園の散策、カフェ等でのんびりと寛いでいると、あっという間に開演時間が近づいてきた。それにしてもブーレーズのマーラー2番が聴けるとなれば俄然興奮してくる。前回のマーラー3番の素晴らしさからも期待が膨らむばかり。ほぼ一週間前の5月20日にもデプリースト&都響の2番をサントリーホールで聴いたが、ムジークフェラインという楽器と共に聴くマーラーは他には無い独特の魅力を感じる。

そしていよいよ11時。席はパルケット中央部でオルガンを頂点として真正面に壮大な全景が広がる。冒頭、楽団長のヘルスベルグが現れ、ウィーンフィル名誉会員の称号をブーレーズに授与する祝辞と、ブーレーズのこれまでの功績を湛えるトークが15分ほど続いた。そして会場も拍手で応えて演奏が開始。

冒頭の低弦トレモロから尋常ならぬ緊張感が漲る。第1主題が恐ろしい程のスピードと大音量で駆け上がって行く。ちょうど指揮者の前方のチェロから後方のコントラバスまで、ムジークフェラインの右上方へロケットのように上昇していく様が見えるようだ。そしてキュッヒルを筆頭とする弦楽奏者達の激しく熱いボーイングの凄まじさ。冒頭から度肝を抜かれる気合はオーケストラの形相にも見て取れる。

早目のテンポで1楽章が進み行くが、単に早いという印象はなく、スピードによる推進力に加えて、多彩に変幻するディテイル、ダイナミズムとのバランスなど、全てが緻密な説得力を持って語りかけてくる。完璧に響くブラスの咆哮、柔らかく重なる木管、そして絶妙なキュッヒルのソロ、パーカッションの嵐。ムジークフェラインが最後の審判を見せているような凄い迫力となった。

緊張から転じて、2楽章では、天国的に響くハープ、麗しいながらも存在感一杯に響く木管、包み込むようなチェロの調べなどに安堵する。とはいえ音楽への求心力は決して緩むことなく、細部に至るまで理路整然と展開する様に耳が離せない。3楽章スケルツォは、ムジークフェラインの音響のもと、ウィーンフィルの音色を多彩に堪能できる楽章でもある。アルトマンのティンパニが渇を入れ、艶やかな木管がマーラーの魅力を十二分に聞かせてくれる。柔らかな弦に至福を感じつつ、来るべき復活を予感させるパッセージでムジークフェラインが再び壮大に響き渡たり、ミケーレ・デ・ヤングの神秘的なメゾの4楽章に至る。ちなみにヤングはブーレーズのすぐ右に位置し、左側にはクリスティーネ・シェーファーが控える。

そして終楽章。ムジークフェラインが地響きを立てる荘厳な「復活」はまさに「神」を前にするという感動に至らしめる。窓からの光に黄金に輝くホールの正面、青白く輝くオルガンのパイプが荘重に響く。ポーディアムをも埋め尽くした壮大な合唱、大音量の中、シェーファーの透明なソプラノもくっきりと浮き上がってくる。まさに時間を超越した演奏は圧巻。当時のマーラーにも本日の演奏を聴いて貰いたいと思うほど感極まるものとなった。それにしても80歳を迎えたブーレーズの偉大さに改めて驚嘆した。終演は12時45分で熱い拍手が続いた。今日の日曜日は、この演奏で十分過ぎる内容であるが、これから「パルジファル」を聴きにウェルズへ移動する。



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