2005/05/05
『リュリとモリエールによる音楽劇』/コメディ・フランセーズ

L'Amour medecin
suivi de Le Sicilien ou l'Amour peintre
de Moliere / Lully

Jean-Marie Villegier
Jonathan Duverger
Les Arts Florissants
William Christie
Beatrice Martin
Kenneth Weiss

Wilfride Piollet, choregraphe
Jean Guizerix, choregraphe
Patrice Cauchetier, costumes
Jean-Marie Abplanalp, decor
Franck Thevenon, lumieres

Salle Richelieu
Comedie Francaise
Jeudi 5 mai 2005 a 14h
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今日は14時からコメディ・フランセーズにてジャン・バティスト・リュリ作曲およびモリエールの台本によるコメディ・バレを見た。パレ・ロワイヤルに隣接するコメディ・フランセーズは宿泊先のルーブルからも非常に近く、開演前はセーヌ沿いの散歩とランチをゆっくりと楽しんでから、劇場に入った。

リュリのオペラ・バレは日本でも稀に見ることがでるが、最近こういった演目は滅法少なく、ことコメディ・バレとなれば見るチャンスは殆ど無い。また今回のプロダクションは、ウィリアム・クリスティ率いるレザール・フロリサンとコメディ・フランセーズによる共同製作とのことで、これは是非見ておく必要がある。演目は「恋は医者」1665年と「シチリア人、恋する画家」1667年の2つのコメディが上演された。

「恋は医者」はモリエールとリュリが組んで上演を始めたコメディの中でも初期の作品でリュリのオペラの前身とも言われている。恋の病にかかった娘と医者に扮した恋人が展開する喜劇で、冒頭のシャコンヌに続き、音楽、バレエ、コメディの3人がバロック・バレを繰り広げる。カラフルでモダンなダンサー達の動きが優雅な調べととても上手く合っていた。またダンサー達は踊りと歌を同時にこなし、レザール・フロリサンの典雅な演奏とともに非常に魅力的であった。ちなみに古楽アンサンブルはステージに組まれた櫓の上で演奏し、ステージ下方でバレが踊られる。なおコメディの時は、アンサンブルを隠す幕が降り、簡単な舞台セットが左右から素早く設置される。音楽、バレ、コメディが適宜入れ替わり、ドラマが展開していく趣向で、前半の「恋は医者」は約80分近くあり、とても充実した内容だった。

後半の「シチリア人」では愛人を巡ってのドタバタ劇で爆笑の連続。現代に焼きなおしたユニークなエンタテイメントに仕上がっている。舞台セットも中央に家の扉、左にソファー・ベッドを配した簡素なものながら、演技の上手さが想像力を掻き立てる。なおレザール・フロリサンの編成は、バロック・ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、クラヴサン、テオルボ、リュート、リコーダー等が櫓の上に寄り添う形のレイアウトが取られていた。劇場内部も大変美しく、コンパクトな空間に響く音楽は極上の調べとなる。340年前のここで上演された響きに思いを馳せることが出来た。終演は16時半と大変充実した内容で、夜20時のシャンゼリゼでのコンサートまで十分時間があるので、再びパリの街をゆっくりと楽しんだ。この心地の良さでは他の街へは行きたくなくなってしまう。



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