2005/05/02
『ラインの黄金』アウディ演出ヘンヒェン指揮/ネーデルランドオペラ

Richard Wagner
Der Ring des Nibelungen
Ein Buehnenfestspiel fuer drei Tage und einen Vorabend
Vorabend Das Rheingold
Dender landse opera
Het Muziektheater Amsterdam
2 mei 2005

muzikale leiding, Hartmut Haenchen
regie, Pierre Audi
decor, Ceorge Tsypin
kostuums, Eiko Ishioka
belichting, Wolfgang Coebbel
dramaturgie, Klaus Bertisch

Wotan, Albert Dohmen
Donner, Geert Smits
Froh, Martin Homrich
Loge, Chris Merritt
Alberich, Werner Van Mechelen
Mime, Graham Clark
Fasolt, Frode Olsen
Fafner, Mario Luperi
Fricka, Doris Soffel
Freia, Michaela Kaune
Erda, Anne Gjevang
Woglinde, Alexandra Coku
Wellgunde, Natascha Petrinsky
Flosshilde, Elena zhidkova

Nederlands Philharmonisch Orkest
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今日はアムステルダムにてハルトムート・ヘンヒェン指揮ネーデルランド・フィルによるワーグナー「ラインの黄金」を見た。昨年5月に見たワルキューレと同様、アウディ演出によるもので、巨大なステージを駆使した演出は極めてインパクトがあった。ステージは、右側と左側に巨大な平面状の板を天井から吊るして、傾斜させた構造を全幕の基本形としている。さらに平土間の3列目までをステージの一部として、オーケストラピットをステージが取り囲むようになっていた。座った席は4列目であったが、最前列で、ラインの乙女達や、アルベリヒを目の当たりにすることとなった。

冒頭では、全くの暗闇となるが、ヘンヒェンの指揮棒の先端に微かなランプが取り付けられており、その点灯の動きとともにカオスから次第にラインの川の動きが見え始める。これはステージ右側の巨大なガラス板が緩やかにうねることで表現されており、幻想的な照明とともに、ガラス板自体が巨大なラインの水面として姿を現す。その下部にはラインの黄金が散らばり、ステージ正面には黄金の塊が光り輝く。ラインの乙女達やアルベリヒはガラス板の上で、泳いだり、滑ったりしながら、極めて動きのあるドラマを展開する。一方、神々の世界は、左側の巨大な板が傾斜の角度を変えて、ガラス板と交差させた構造で展開される。ニーベルハイムはこれら傾斜した板の底、
ステージ下部にて形作られる。

以上のように巨大なステージが自在に動きを見せるが、これがまたドラマの展開とともに、上手く工夫されており、加えてスペクタクルな音楽展開と見事な一体感を作り出す。ヘンヒェンの巧みな指揮、ワーグナーに長けたネーデルランド・フィルのアンサンブル、さらには熟練のワーグナー歌手達、これら全てがアウディの演出をコアとして、集中していく様は、大変素晴らしい出来栄えとなる。ドラマの読み替えとか解釈といった主観は抑えられ、リングの壮大なイメージとコンセプトを、シンプルかつ多彩なステージで、客観するといったアイデアは、とても分かりやすく、時間を忘れて熱中できるものであった。



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