2005/05/01
『タンホイザー』クプファー演出エッティンガー指揮/リンデンオーパー

。staatsoper unter den linden
sonntag 01/05/2005 17.00 uhr
tannhaeuser
und der saengerkrieg auf wartburg
Grosse romantische Oper in drei Aufzuegen
von Richard Wagner

Musikalische leitung, Dan Ettinger
Inszenierung, Harry Kupfer
Buehnenbild, Hans Schavernoch
Kostueme, Buki Shiff
Licht, Franz Peter David
Choer, Eberhard Friedrich
Choreographie, Roland Giertz

Hermann, Kwangchul Youn
Tannhaeuser, Robert Gambill
Wolfram von Eschenbach, Roman Trekel
Walter von der Vogelweide, Burkhard Fritz
Biterolf, Derrick Vogel
Reinmar von Zweter, Gerd Wolf
Venus / Elisabeth, Angela Denoke
Ein Junger Hirte, Yvonne Zeuge

staatskapelle berlin
staatsopernchor
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今日は、ナポリからアドリア海上空へ出て、雪に輝くアルプスを越え、2時間強のフライトでベルリンへ到着した。ベルリンはナポリ以上に暑く感じられた。まるで夏の陽気となっていた。さて、今日は夕方5時から、ベルリン州立歌劇場にてクプファー演出の「タンホイザー」を見た。指揮はダン・エッティンガーで、キャストはデノケ、ギャンビル、トレケル、ユンと充実した内容だった。先ず、エッティンガーの指揮が大変素晴らしかった。それは冒頭の序曲から、音楽の自然な呼吸とテンションの盛り上げ方から痛感する。序曲で大きな拍手が湧き上がった後も、エッティンガーの指揮が冴える。特に、デノケのヴェーヌスとエリザベート、ギャンビルのタンホイザーが白熱したドラマを見せたのは、歌手達の素晴らしさは勿論のこと、エッティンガーの見事な音楽作りがあってのこと。オーケストラが歌手達を刺激し、歌手達がまたオーケストラを刺激するといったように、相乗効果でドラマが盛り上がって行く。

クプファーの演出も大変興味あるもので、第1幕に登場する白い化石のようなピアノのオブジェは印象的だった。タンホイザーとヴェーヌスが歌う場面は、ワーグナーと愛人といった設定にも感じさせる。さらに2幕でもピアノが置かれているが、それは黒く輝く現実のもの。すなわち、2幕を現実的とすれば、1幕は幽霊もしくは夢の世界であり、タンホイザーはデノケ一人が演じ分けるヴェーヌスとエリザベートの間を揺れ動く。

それを象徴するかのように、ヴェーヌスの赤い衣裳と、エリザベートの青い衣裳が鮮やかにコントラストしていた。そしてなによりも、デノケの容姿と歌の素晴らしさがヴェーヌスとエリザベートの2つの側面を魅力的に見せてくれている。面白いことに、1幕と2幕でデノケはロングヘアとなっていたが、3幕のエリザベートではデノケの素顔としてのショートヘアに変わっていたのがとての新鮮に感じられる。1幕と2幕の葛藤の結果、3幕におけるエリザベートにも変化、悟りが生じたことを痛感させられる。かくのようにクプファー演出のタンホイザーはデノケあってこそ成り立つようなところを感じた次第であるが、素晴らしい演奏と歌手達のドラマチックな展開に圧倒させられた。



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