2005/04/30
『ロメオとジュリエット』ダーフィト指揮/ナポリ・サン・カルロ劇場

Teatro di San Carlo
sabato 30 aprile ore 17.00

ROMEO ET JULIETTE
"Symphonie dramatique" per soli, coro e orchestra, op.17
versi di Emile Deschamps
da William Shakespeare
musica di Hector Berlioz

direttore, Yoram David
maestro del coro, Caremlo Columbro

mezzosoprano, Susan Platts
tenore, Steve Davislim
baritono, Orlin Anastassov

Orchestre e Coro
Del Teatro di San Carlo
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今日はナポリ・サン・カルロ劇場にてベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」を聴いた。ガリー・ベルティーニの指揮が予定されていた為、これは見逃せない演目ということで、早々とチケットを購入していた。しかし今年3月にベルティーニが他界したことは誠に残念である。公演は、テル・アヴィヴ出身のヨラム・ダーフィトの指揮で、予定とおり公演される。本日の公演は夕方5時開演と早めであるが、ロンドンからのLH便が予定より遅れてナポリ到着が15時半というのが慌しく感じた。とはいえ、劇場近くのジョリー・ホテルにチェックインしてから、劇場に出向いても余裕で間に合った。

オンライン購入した席はパルケット中央部後方のとても視界の良いポジションであった。サンカルロは、上部天井に巨大な絵画が描かれ、くすんだ黄金色に縁取られた大変美しい劇場であるが、音響も大変素晴らしい。座席は真正面のステージからの響きと、側面と天井が形作るドームの響きがブレンドし、大変立体的な奥行きを感じる。

さて、第1部の前奏から、サンカルロのオーケストラはさほど上手くないことを知らされた。冒頭、低減が刻む激しいフガートはトリルとスタッカートが引き締まらなくてはならないところが、もやもやとした響きとなり、全体のアンサンブルも怪しげであった。しかし、ロマンティックに陶酔するフレーズ、ベルリオーズならではの躍動感溢れる展開などでは、ヒートアップしたかのように熱が入ってくる。特に第2部以降はアンサンブルを気にすることなく、パースペクティブな響きの渦に巻き込まれてしまった。

ステージはオーケストラを横一杯に並べ、上段には管楽器、特に右手に重量急の金管群が咆哮し、中央に設置された3台のティンパニ、左手のパーカッションが鮮やかな色彩感と立体感を形作る。合唱はさらに上部に位置し、正面ステージの3分の1の領域を合唱とオーケストラが占める。正面背面はカーテンと同じビロードが張られたバックステージとなっている。第1部で登場するメゾは左手オーケストラの横で歌う。これに対してテノールはオーケストラ後方やや右側の合唱の中に位置する。ちょうどメゾとテノールが空間的に対極となるが、メゾがハープとのデュオ的要素、テノールが合唱との呼応する展開を考慮すると、正しく妥当なレイアウトと感じさせる。なお第1部で合唱は引き上げて、第2部に移行するが、2部以降の合唱はバックステージ奥から歌い、そのバランスは素晴らしい響きを生み出していた。ちなみに第4部フィナーレでは再び合唱がステージに登場し、モンターギュとキャプレットの2つの合唱が溶け合う見事さで感動させてくれた。

歌手では、スーザン・プラッツのメゾの平坦さが非常に残念であったが、ダフィスリムのテノールが伸びがあり、アナスターソフのバリトンがドラマを引き締める素晴らしさを聞かせた。休憩なしの1時間半は結果的に大変集中させられる展開で、途中、第3部の愛の場面、第4部の女王マブに陶酔し、変化に富むドラマチックさにも圧倒させられた。

それにしてもナポリの陽光は眩しい限りで、時間があればポンペイまで足を運びたいものだ。フライトもジュネーブ上空を経て神々しいアルプスを越え、一度地中海に出てから、再びイタリア中央部に入るルートの為、途中の湖水や海岸線が眩しいほど望めた。



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