2004/08/13
アバド&ルツェルン祝祭オーケストラ/ルツェルン・フェスティバル開幕

LUCERNE FESTIVAL
EROEFFNUNGSKONZERT
Fr 13. August 2004, 19.30 Uhr
Konzertsaal

LUCERNE FESTIVAL ORCHESTRA
CLAUDIO ABBADO, Leitung
RENEE FLEMING, Sopran (Strauss-Lieder)
VIORETA URMANA, Soperan (Isolde)
MIHOKO FUJIMURA, Sopran, Sopran (Brangeane)
JOHN TRELEAVEN, Tenor (Tristan)
RENE PAPE, Bass (Koenig Marke)
PETER BRECHBUEHLER, Bariton (Kurwenal)
RALF LUKAS, Tenor (Melot)

AGLAJA NICOLET, Szenische Mitarbeit
NYIKA JANCSO, Licht

RICHARD STRAUSS (1864-1949)
Vier letzte Lieder (1948)
fuer Sopran und Orchester
・Fruehling (H. Hesse)
・September (H. Hesse)
・Beim Schlafengehen (H. Hesse)
・Im Abendrot (J. von Eichendorff)

Pause

RICHARD WAGNER (1813-1883)
<< Tristan und Isolde>> WWW 90 (1856-59)
halbszenische Auffuehrung des 2. Aufzugs
in drei Szenne (ohne Kuerzungen)
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昨日はアムステルダムからICEでバーゼルに出てからルツェルンへ移動。車中、イギリスの方と話が弾んで時間があっという間に過ぎた。夕刻にルツェルン到着。駅周辺にはオーケストラの人が結構いたので、アバド指揮のプローベが行わていた模様。街に出たところ、思わぬ豪雨と雷に見舞われびしょ濡れになってしまう。当夜のニュースではエッセンが洪水の被害にあったそうだ。そういえば一昨日のアムステルダムでもかなりの雨だった。

本日は朝から天気は回復。午前中はトリプーシェンのワーグナー博物館まで散歩して爽やかな気分を。ワーグナーの展示を見ながら本日の公演に思いを馳せるのも格別な趣。緑豊かな小道はやや肌寒いくらいでとても爽やかだ。昼間、昨日のイギリスの方と偶然であわしたので、一緒にランチをとって、いろんな話題を楽しむことができた。さすがにコーンウォールなどの地域についても詳しい。

さて今夜のアバド&ルツェルン祝祭オーケストラによる開幕コンサートは、前半にルネ・フレミングとのR.シュトラウス「最後の4つの歌」。後半はワーグナー「トリスタンとイゾルデ」第2幕という魅力的なもの。昨年と同様に祝祭オーケストラは一流奏者が勢揃いといった感じで、コンサートマスターのブラッヒャーを始め、第2ヴァイオリンにはアルバン・ベルクSQのゲルハルト・シュルツ、ヴィオラのトップは何時ものクリスト。その後のプルトにハーゲンSQのヴェロニカが居て、さらにその後はベルリンフィルのヘンリック・シェーファーも居る。彼は5月の東響定期を振ったのが記憶に新しい。チェロのトップはウィーンフィルのバルトロメイ。クラリネットはザビーネ・マイヤーにオーボエはアルブレヒト・マイヤーなどなど豪華絢爛。アンサンブルは決してスタープレイヤーの集まりに留まるものではなく、一糸乱れぬ緊張感と集中力が一体となった見事なもの。ともかくそのサウンドの素晴らしさは刺激に満ち溢れている。

R.シュトラウスでは抒情ゆたかに展開するものの、やはりオーケストラの巧みな上手さがフレミングの歌を引き立たせて、思わず聞惚れてしまった。特に3曲目の弦の上昇が素晴らしかった。

さてやはり今夜の目玉はトリスタンとイゾルデの第2幕。オーケストラ後方をステージに仕立てて、背景に青色をベースにした照明の模様を映し出すといった若干の雰囲気作りの中、演奏会形式ながらもドラマの進行に応じて歌手達が登場するといった展開。アバドの自身と喜びに満ちた指揮で力感溢れる演奏が展開する。冒頭部ではかなりシンフォニックさすら感じるエネルギッシュさに溢れており、イゾルデの登場もオーケストラにやや負け気味にも聞こえた。トリスタンは当初ギャンビルが予定されていたが、トレレーフェンに変更。彼はナンシーオペラでのタンホイザーが素晴らしかったが、本日のトリスタンはやや不調。トリスタンとしての声量が今ひとつだった。これに対して、ミホコ・フジムラのブランゲーネは素晴らしく、良く通る美声に痺れてしまう。ルネ・パーペのマルケ王は圧巻。彼の出来栄えはさすが。とはいえ、アバド&ルツェルン祝祭のダイナミックな展開と透明感溢れるアンサンブルで紡ぎだす第2幕の陶酔感は格別。ブランゲーネが注意を促す場面の美しさはもう堪らない感じ。第2幕のフィナーレのテンションあるアンサンブルで幕は閉じた。席はパルケット6列目中央部でややステージに近い感じだったが、克明に展開するアンサンブルと笑みを浮かべたアバドの表情が殊のほか印象に残った。ガラに相応しい豪華さを湛えて興奮に満ちた演奏だった。終演後は昨年と同様にルツェルンのチョコレートが配られた。



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