2004/08/06
『ばらの騎士』カーセン演出ビシュコフ指揮/ザルツブルク音楽祭

SALZBURGER FESTSPIELE 2004
DER ROSENKAVALIER
Premiere Freitag 6. August 2004, 19.00 Uhr
Grosses Festspielhaus

Richard Strauss (1864-1949)
DER ROSENKAVALIER
Komoedie fuer Musik in drei Akten op.59
Text von Hugo von Hofmannsthal

Neuinszenierung

Dirigent, Semyon Bychkov
Inszenierung, Robert Carsen
Buehne und Kostueme, Peter Pabst
Licht, Robert Carsen
Peter Van Praet
Choreinstudierung, Rupert Huber
Dramaturgie, Ian Burton

Die Feldmarschallin Fuerstin Werdenberg, Adrianne Pieczonka
Der Baron Ochs auf Lerchenau, Franz Hawlata
Octavian, Angelika Kirchschlager
Herr von Faninal, Franz Grundheber
Sophie, Miah Persson
Jungfer Marianne Leitmelzerin, Ingrid Kaiserfeld
Valzacchi, Jeffrey Francis
Annina, Elena Batoukova
Ein Polizeikommissar, Florian Boesch
Der Haushofmeister bei der Feldmarschallin, John Dickie
Der Haushofmeister ber Faninal, Michael Roider
Ein Notar, Peter Loehle
Ein Wirt, Markus Petsch
Ein Saenger, Piotr Beczala
Eine Modistin, Aleksandra Zamojska
Ein Tierhaendler, Eberhard F. Lorenz

Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Wiener Philharmoniker
Buehnenmusik: Wiener Philharmoniker
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今日、8月6日は祝祭大劇場にて「ばらの騎士」初日でした。さすがにプレミエの会場は豪華絢爛。報道陣も多くORFにてTVライブ放送も行われました。ザルツブルクでの「ばらの騎士」は1995年のヴェルニッケ演出から数えて9年ぶりとあって、ロバート・カーセンの新演出に期待が高まるところ。彼の演出ではウィーンでの「トリスタンとイゾルデ」、ケルンでの「ワルキューレ」、特にアントワープでの「カーチャ・カバノヴァー」が素晴らしいものでした。

ビシュコフ指揮のウィーンフィルも「トリスタンとイゾルデ」が鮮烈な印象として残っているため、本日の演奏に大いに期待するところです。コンサートマスターは昨日のムーティ指揮の演奏会と同じくキッヒュル。冒頭、客席が一度ライトアップされて暗くなるとビシュコフが登場。そしてマイクを取ると、客席に向って「カルロス・クライバーへのメモリアルとして捧げたい」との挨拶が行われました。

神妙な雰囲気の中、振り下ろされた指揮からはR.シュトラウスのあのサウンドがほとばしり、すぐさまマルシャリンとオクタヴィアンの場面へ。横長のパノラマステージを横に5つの部屋に分割し、中央のマルシャリンの部屋以外に、左右の各部屋の人物達の動きも多元的に見せようとする仕組みでした。逆に第2幕はパノラマステージに晩餐会のテーブルをステージ一杯に使い切った大胆なもので、オクタヴィアンが白馬に乗って登場する場面は颯爽としたものでした。第3幕は第1幕の5つの仕切りを娼館に仕立てて退廃的エロティシズムを漂わせた展開。またステージの色彩としては、第1幕はビロード調のベージュを基本として、第2幕は巨大な戦争画のくすんだ色彩に青の照明を効果的に使い、第3幕は妖しげなルージュを基本とする使い分けがなされていました。斯くのようにシンプルなステージながらも、武器、兵士達の扱いなど、さりげなく隠し味を潜ませているあたりに、カーセンの意図を考えさせられる所もあって、興味深い演出でした。

以上のようにステージは比較的大人しいオーソドックスさを感じるところながらも、音楽面では実に素晴らしいものでした。まずビシュコフ&ウィーンフィルのじっくりと聞かせてくれるR.シュトラウスの響き。キルヒシュラガーのオクタヴィアンは4月のロイヤルオペラで記憶に新しいところですが、今回のカーセン演出でも素晴らしい限りでした。ピエチョンカの若く美しいマルシャリン、美貌のミア・パーソンのゾフィーも見事でした。フィナーレの三重唱ではビシュコフの高揚した指揮振りが印象的で、情感豊かに包み込むようなウィーンフィルのサウンドとともに恍惚の限り。今回はパルケット2列目の席でしたが、目前に展開する臨場感とともに感動しました。

カーテンコールはセットを全て撤去した広大な空間で行われましたが、それほど大人数を要したプロダクションでした。以外と短いカーテンコールでしたが、カーセンが登場したときは賛否両論といったところ。感動を抱いたままホテルに戻って来たところ、ORF2のTVで終演後の評論会がパトロンラウンジからライブされていました。



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