2004/08/05
ムーティ&ウィーンフィル・プローベ/ザルツブルク音楽祭

SALZBURGER FESTSPIELE 2004
RICCARD MUTI
WIENER PHILHARMONIKER
Donnestag, 5. August 2004, 10.00 Uhr (Proben), 21.00 Uhr
Grosses Festspielhaus

Franz Schubert (1797-1828)
Symphonie Nr.4 c-Moll D417
Tragische Symphonie
I . Adagio molto-Allegro vivace
II. Andante
III.Menuetto. Allegro vivace-Trio
IV. Allegro

Pause

Symphonie Nr.8 C-Dur D944
Grosse C-Dur Symphonie
I . Andante-Allegro ma non troppo
II. Andante con moto
III.Scherzo. Allegro vivace-Trio
IV. Allegro vivace

Dirigent, Riccardo Muti
Wiener Philharmoniker
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今日、8月5日はムーティ&ウィーンフィルです。プログラムはオール・シューベルトで、4番と9番の交響曲。ハ短調とハ長調をコントラストさせた選曲も面白いものですが、「悲劇的」と「ザ・グレート」の取り合わせはとても魅力的。

朝10時からのゲネプロでは、冒頭40分を4番、20分の休憩を入れて、後半の60分を9番といった内容でした。4番では最初の1楽章を通しで演奏した後、ムーティの細かな指示が飛び、幾つかの箇所を念入りに演奏しなおす場面が。2楽章からも演奏の途中に大きな声で指示を与えるといった展開。ムーティのプローベでは本演奏のクールな指揮ぶりとは違って、音楽の起伏に合わせて体を大きく上下させたり、各パートを注意深く聴きながら、具体的な指示を与えるもの。ちょっとした指示で見違える演奏をするのはさすがにウィーンフィル。9番のシンフォニーでは、クラリネットが主題を演奏する箇所で、指揮台から片足を後方に降ろして屈みこみながら指揮するといった場面も。ムーティが音楽のどの箇所で何を注意しているかが良く分かる展開でした。斯くのようにプローベを通して音楽がさらに磨かれて行く様は見事です。

さて夜9時からの本演奏では、ムーティの颯爽とした指揮がシューベルトの醍醐味を満喫させるのは当然として、4番のシンフォニーの陰影の克明な描写が見事でした。渋い音色に統一されたイントロから主題が展開するときの鮮やかさ、管楽器が加わってテンションを加える箇所では、渋さからウィーン風の明るさ、典雅さを感じさせる音色の変化。比較的編成の小さなシンフォニーながらも内に秘めたパッションがほとばしる様を感じた次第。

後半の9番グレートは大編成となって、ハ短調からハ長調への開放感を聞かせる効果は勿論のこと、スケールが大きく、プローベ以上に自立性、柔軟性に富んだ演奏でした。特に1楽章の終結部にかけての展開では、柔軟なテンポで音楽の起伏を描く展開はプローベでは見られなかった点であり、そういった意味でも演奏のスリリングさはライブならではといった感じです。楽章を追うごとに音楽への求心力を推進力が増して、フィナーレでの輝かしい高揚は圧倒的。予想したとはいえ、誇張のない自然体で壮大なシンフォニーを体験させてくれたのはさすがでした。



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