2004/07/31
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ミュンヘン・オペラ

Bayerische Staatsoper
Muenchner Opern-Festspiele 2004
Freitag, 31. Juli 2004, 16.00 Uhr

Neuinszenierung

Die Meistersinger von Nuernberg
von Richard Wagner

Musikalische Leitung: Zubin Mehta
Inszenierung: Thoma Langhoff
Buehne und Kostueme: Gottfried Pilz
Choreographie: Marco Santi
Licht: Manfred Voss
Produktionsdramaturgie: Eva Walch
Choere: Andres Maspero

Hans Sachs, Jan-Hendrik Rootering
Veit Pogner, Kurt Rydl
Kunz Vogelgesang, Manolito Mario Franz
Konrad Nachtigall, Christian Rieger
Sixtus Beckmesser, Eike Wilm Schulte
Fritz Kothner, Jan Buchwald
Balthasar Zorn, Ulrich Ress
Ulrich Eisslinger, Hermann Sapell
Augustin Moser, Francesco Petrozzi
Hermann Ortel, Ruediger Trebes
Hans Schwarz, Alfred Kuhn
Hans Foltz, Gerhard Auer
Walther von Stolzing, Robert Dean Smith
David, Kevin Conners
Eva, Michaela Kaune
Magdalena, Katharina Kammerloher
Nachwaechter, WRmaz Chikviladze

Das Bayerische Staatsorchester: Beckmesser-Harfe: Birigit Kleinwechter
Der Chor und Extra-Chor der Bayerischen Staatsoper
Das Opernballet des Bayerischen Staatsballetts udn di Statisterie der
Bayerichen Staatsoper

-------------------------------------------------------------------

7月31日はミュンヘン・オペラ・フェスティバル最終日を飾るトーマス・ランクホフ新演出、ズービン・メータ指揮によるマイスタージンガーでした。昨日はバルコン最前列でしたが、今日はパルケット6列目のやや右より。視界は良好でステージに近い分、ステージの迫力を体全体に感じられる席でした。

まず序曲からしてメータの渾身の指揮がオーケストラを沸き立たせ、特にティンパニの張りのある強打に金管群の炸裂。楽日に掛けての気合が漲っていました。幕が開くと四角いシンプルな空間に椅子が整然と並んだ教会の場面。時代を現代に設定しながらも全く違和感のない情景でした。一番後ろに座って居眠りしている場面もリアルで、ヴァルターが前方に居るエヴァに向って近づこうとする心情が良く伝わる描写でした。

徒弟たちは Neurnberger POESIE とロゴの入ったシャツを着ていて、教会の椅子を並び替えてマイスターたちの会場へ早変わり。背景には歌の規則が記載されたXIからXIXまで番号の付いた9枚のプレートが掲げられており、ベックメッサ−の判定席はちょうどプロンプター席を客席側に向けたところというのもユニークな設定。ちなみにベックメッサーは判定をパソコンに打ち込み、結果をプリントアウトしてマイスター達に配り、コートナーは右側の壁にプロジェクターを使って楽譜を映し出しながら、歌の規則を説明するというのも面白いところでした。

第2幕はヨハネス祭で活気づいた展開で中央で燃やされた炎がアクセントで、その熱は客席にまで押し寄せるもの。炎も静まりザックスらが登場する場面を経て、ベックメッサ−はリュートではなくポータブルのカセットオーディオを下げての登場。最後の騒ぎではステージ背景の壁に設けられた沢山の窓と扉から群集たちが押し寄せて迫力ある展開となりました。

第3幕は2幕の場面に湾曲した凹面壁でザックスの部屋を作り、壁の中央には赤いハイヒールが印象的。ザックスが読む新聞の裏側の広告に会場から大きな笑いを誘うといったことも。そして歌の場面ではザックスの部屋の仕切りは取り外され、2幕と同じく壁に囲まれた大きな広場へ早変わり。賑やかに群集たちが登場する場面ではチアガール達やいろんなグループが登場し、まさに現代の活気がそのままに。以上のようにステージと演出は必要最小限の手段によって、いわゆるニュルンベルクのマイスタージンガーを想像力豊かに描写していたといった良いでしょう。最後の場面ではステージ中央壁の窓からベックメッサーがすました顔を覗かせるシーンがあって、そのカットがまるでワーグナーの横顔を映したかのように見えたのも興味深いところ。

歌手たちではロバート・ディーン・スミスの輝かしさが気持ち良く冴え渡り、シュルテ演じるベックメッサーの巧みさ、ロータリングの包容力感じるザックスなどなどが印象的でした。ポーグナーは当初予定されていたクルト・モルに代わってクルト・リドルが朗々としたバスを聴かせてくれました。ダーヴィットのケヴィン・コナーズもとても素晴らしく、エヴァのミカエラ・カウネ、マグダレーナのカタリナ・カンマーローアなど粒立ちの良さ。加えて合唱の見事さ、メータの抑揚ある指揮などとてもバランスしていました。ともかく3幕フィナーレに掛けての怒涛の迫力は圧倒的で、久々に興奮の坩堝を体験したという感じでした。



[HOME]