2004/07/30
『ペレアスとメリザンド』ミュンヘン・オペラ・フェスティバル

Bayerische Staatsoper
Muenchner Opern-Festspiele 2004
Freitag, 30. Juli 2004, 19.00 Uhr

Neuinszenierung
Pelleas et Melisande
Dramae lyriquen in fenf Akten (12 Bildem) von Maurice Maeterlinck
Musik von Claude Debussy

Musikalische Leitung: Paul Daniel
Inszenierung: Richard Jones
Buehne: Antony McDonald
Kostueme: Nicky Gillbrand
Choreographische Mitarbeit: Beate Vollack
Licht: Matthew Richardson
Choere: Eduard Asimont

Arkel, Koenig von Allemonde, Clive Bayley
Genevieve, Mutter von Pelleas und Golaud, Catherine Wyn-Rogers
Pelleas, Garry Magee
Golaud, Robert Hayward
Melisande, Joan Rodgers
Le petit Yniold, Shohn von Golaud, Solist des Teelzer Knabenchores
Ein Arzt, Gerhard Auer
Ein Schaefer, Nikolay Borchev
Pelleas Vater, Wulf Schmid-Noerr

Das Bayerische Staatsorchester
Der Chor der Bayerischen Staatoper
Die Statisterie der Bayeriwchen Staatsoper

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今日、7月30日はフランクフルト経由のLH便でミュンヘンへ。台風が心配されたものの高気圧に阻まれ西に停滞した為、フライトの影響はありませんでした。今回はセネターのバウチャーを使ってファーストクラスへアップグレードし広々とした83Aを確保。空調機故障の交換で1時間近く遅れたもののFRAには定刻に到着。乗り継ぎ便も17時10分にMUCに到着し、ホテルのチェックインを含めても劇場到着は19時開演の20分前でした。

リチャード・ジョーンズ新演出の「ペレアスとメリザンド」は Opera North および English National Opera との共同プロダクションによるものでした。まずポール・ダニエル指揮による透明感漂うアンサンブルが低弦をくっきりと浮かび上がらせ、流れるようなドラマの展開と調和したものでした。

ステージのデザインは第1幕冒頭では3つの扉の壁の場面で、右手の扉から出てきたメリザンドの白い衣裳が長い尾びれのようになっていて、まるで白のカーテンで仕切りを作る展開が、メリザンドの長い髪を比喩しているかのよう。一方、次の場面ではアルケルの家がカンバスの上に一筆書きしたようなシンプルなデザイン。その縁取りの中に矩形の部屋を3つ描かき、それぞれに扉を描かれているのが面白いところ。なおメリザンドの死に掛けての場面でも、黒の背景に3つの白い部屋が設けられており、これらが左から右へ順番に並び、まるで時空の展開を3つのカットで描いたような手法に興味が惹かれます。全てに3つという数字に象徴を持たせた展開でした。

さらに興味深い点は、メリザンドが泉に指輪を落として、ペレアスと一緒に泉で探す場面。アルケルの家をステージ左側に傾斜して描くことにより、ペレアスとメリザンドがステージ右に描かれた大きく平なリングに乗っている場面はストーリーを分かり易く描写しており、同時に大きなリングは泉とメリザンドが落とした指輪の双方を象徴。

空に浮かぶ幻想的な三日月も情緒があり、分割空間を利用する点などブーレーズと組んだペーター・シュタイ演出と多分に共通する点を感じる次第。ステージに散漫さは一切なく、ライトモチーフの展開にあわせたかのようなドラマの求心力を感じるところです。以前に見たブレゲンツのボーエムは雨で劇場公演となりましたが、その時のジョーンズ演出に斬新さを感じた次第ですが、今回は比較的ある意味でオーソドックスながらもドラマに即した描写のバランスの上手さを感じるところです。

今回の主なキャストは2000年ENO公演と同じく、ジョアン・ロジャースのメリザンド、ギャリー・マギーのペレアス、ロバート・ヘイワードのゴローなど個性的なキャラクターが見事でした。R.シュトラウス協会で申込んだ席は2階のバルコン1列目のとても視界と音響が良好なポジションでした。



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