2004/06/06
『ロメオとジュリエット』ホモキ新演出/バイエルン州立歌劇場

Bayerische Staatsoper
Sonntag, 6. Juni 2004, 18.00 Uhr
Neuinszenierung
Romeo et Juliette
Musik von Charles Gounod

Musikalische Leitung: Marcello Viotti
Inszenierung: Andreas Homoki
Buehne und Kostueme: Gideon Davey
Licht: Franck Evin
Choere: Andres Maspero

Juliette: Juanita Lascarro
Romeo: Marcelo Alvarez
Stephano: Anna Bonitatibus
Gertrude: Anne Pellekoorne
Tybalt: Manolito Mario Franz
Mercutio: Martin Gantner
Paris: Christian Rieger
Gregorio: Nikolay Borchev
Capulet: Ramaz Chikviladze
Frere Laurent: Maurizio Muraro
Le Duc: Steven Humes

Das Bayrische Staatsorchester
Der Chor der Bayerischen Staatsoper
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今日、6月6日はミュンヘンに移動し、ホモキ新演出のグノー「ロメオとジュリエット」を見ました。当初はベルリン州立でのヘンツェ「若き恋のエレジー」、またはウィーンでアーノンクール指揮の「テオドラ」を考えていましたが、結局ミュンヘンの新演出に惹かれての選択となりました。ホモキ演出は4月のシャトレで見たタンホイザーのようにシンプルなイメージを持っていましたが、今回のプロダクションは180度転換したかのような奇抜さに溢れていました。

ステージ前方中央には「ロメオとジュリエット」の大きな本が置かれ、左右には愛をテーマとした漫画絵。さらに巨大なペンと鉛筆が登場します。これはブレゲンツで見たリチャード・ジョーンズ演出「ボエーム」とも共通性を見せます。さらに面白い点は登場人物たちを学校の生徒であるかのように扱っている点。キャピュレット校とモンタギュー校は男子校で、それぞれ制服のジャケットは黄色と緑色。さらに女子校があって、ジュリエットはキャプレット家ながらも一応女子校の制服を着ていて、その色は白と赤の縦じま模様。時に黄色と青の縦じま模様となることも。1幕冒頭には毒薬が入っているのかと思わせる巨大な緑のガラス瓶が転がっていたり、原色を鮮やかに使い分けているのも興味深いところです。二つの男子校は巨大なペンと巨大な鉛筆を槍代わりとして戦い、メルキューシオがペンに突き刺されて死に、さらにロメオに押されたティバルトはペンに突き刺さって死ぬという展開。ステージ中央には見開き机があり、扉が開くと、そこにドラマ展開の情景やイメージが描かれ、登場人物が出入りする設定はユニークでした。ちなみに2幕、ロメオがキャピュレット家の庭に忍び込む場面では、巨大机に明けられた円形窓からジュリエットが登場するといった展開でした。以上のように登場する素材の全てがシェークスピアを意識したものであり、現代のドラマに焼きなおしている点もどこかコンヴィチュニー風だったりして見ていて飽きない面白さです。

以上のようにパロディ満載といった展開ながらも真面目でシリアスなシェークスピア劇に引き込まれていくのも不思議な感覚です。ひとつにヴィオッティ指揮するオーケストラがすこぶる雄弁かつ緻密な演奏で、的確なテンポで全てを集中させる展開となったこと。さらにはマルチェロ・アルバレスの圧倒的に素晴らしいロメオの魅力。ジュリエットはアンジェラ・マリア・ブラッシが歌うはずでしたが、病気のため急遽、ホアニタ・ラスカッロが歌いました。彼女は主役としての声の艶やかさなどは未だ持ち合わせていないものの、ほぼ完璧な歌唱と見事な性格描写でジュリエットを演じきりました。愛の美しい音楽が連続するのも魅力で、アルバレスの情感豊かな歌に痺れ、グノーの音楽に陶酔するばかりでした。



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