2004/04/29
『魔笛』コンヴィチュニー新演出/シュトゥットガルト歌劇場


Staatsoper Stuttgart
Donnerstag, 29. April 2004, 19.30 Uhr
Wolfgang Amadeus Mozart
Die Zauberfloete
Ein Singspiel in zwei Akten
Text von Emanuel Schikaneder

Musikalische Leitung, Robin Engelen
Inszenierung, Peter Konwitschny
Buhne und Kostume, Bert Neumann
Licht, Lothar Baumgarte
Video, Philip Bussmann
Chor, Michael Alber
Dramaturgie, Juliane Votteler

Sarastro, Attila Jun
Tamino, Johan Weigel
Sprecher, Motti Kaston
Zweiter Priester, Heinz Goehrig
Konigin de Nacht, Barbara Baier
Pamina, Alexandra Reinprecht
Erste Dame, Karine Babajanian
Zweite Dame, Maria Teresa Ullrich
Dritte Dame, Helene Ranada
Papageno, Rudolf Rosen
Junge Papagena, Irena Bespolovaite
Alte Papagena, Ursula Siebert
Monostatos, Michael Austin
Erster Geharnischter, Frank van Aken
Zweiter Geharnischter, Thomas Schmidt
Drei Knaben 1. Auftritt, Aurelius Sangerknaben Calw
Drei Knaben 2. Auftritt, Gabriele Herrera/ Daniela Dott/ Naomi Ishizu
Drei Knaben 3. Auftritt, Helga Ros Indridadottir/ Carmen Mammoser/
Emma Curtis
Glockenspiel, Dorothea Schwarz
Staatsorchester Stuttgart
Staatsopernchor Stuttgart
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今日はパリ東駅を8:50のECで出発し、途中のマンハイムでICEに乗換えて、15:08にシュトゥットガルトに到着しました。今日はコンヴィチュニー新演出の魔笛が目的で、19:30の開演までのんびりと出来ました。

さて今回のプロダクションも魔笛のイメージを一新する鮮やかな演出ぶりに驚かされました。まず第1幕は序曲の展開からしてユニークでした。オーケストラ・ピットはかなり深い位置に下げられていましたが、序曲も終盤に近づいた頃、ピットが上昇を始め、演奏家達がステージ面近くまで登場してくる展開。ステージの横一列に並んだ群集が怪獣の役目を担っていて、攻め寄せる合唱にタミーノが気絶してピットに置かれたマットの上に跳び落ちる設定。スチュワーデス風の三人の待女達のボスは、ステージ奥でワインに酔っ払っている夜の女王。突然タミーノがピット内で起き上がったかと思うと今度はピット内で演説を始め、さらには指揮者やオーケストラのメンバーと演技を始める有様。同時にパパゲーノが登場し、実に面白いストーリーへと進んでいきました。

タミーノがアリアを歌う時には三人の待女達がプロジェクターを準備し、映し出されたのはダイアナ妃の婚礼のドキュメンタリー映像。途中、パミーナとタミーノがダイアナとチャールズの役を演じている映像が合成されていて爆笑が。このプロジェクターは夜の女王がアリアを歌う時に、彼女の顔がズームアップするのにも使われました。コロラトゥーラの場面では女王の口もとから喉のさらに奥の扁桃腺が開閉する場面までアップされたのには驚きが。細かな演出まで意表をつかれる連続で、時間があっという間に過去ってしまう感じです。

大きな視点では、やはり心理劇に尽きるところですが、全般にエンターテイメントに徹していました。特にパパゲーノの芸達者ぶりには驚嘆するものがありました。第2幕では彼の一人舞台かと思うほど、コメディショーの連続。ステージにセットされたショー会場もユニークで、電光掲示板に「笑え!」「拍手」などと盛りたてる展開。客席にも照明が当てられ、会場全体を集団心理的に引き込んでしまうのはやはりコンヴィチュニー風でした。

パパゲーノが率いる一派に対して、ザラストロの一派は白のガウンを纏って威厳さがあるものの、どこか可笑しな連中でした。特にザラストロが演説するときはハングル語なのかモンゴル語なのか良く分からない言葉で、女性ナレーションで同時通訳が流されているのもユニークでした。またザラストロ一派は調和の三和音がことの他お気に入りのようで、指揮者に三和音を演奏するよう催促しているのが面白いところ。

パパゲーナは若いのと年老いたのを極端なセクシーさの違いで象徴するなど、これもコンヴィチュニーらしい表現に満ちていていました。全体のコンセプトが何処にあるのか、1回見ただけでは良く分からないという感じでしたが、彼の演出するモーツァルトは生彩に満ちたもので、モーツァルトへの視点がリアルで新鮮であることに驚嘆するばかりでした。



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