2004/04/28
『タンホイザー』ホモキ新演出ミョンフン指揮/パリ・シャトレ


Tannhauser, Richard Wagner
Grand opera romantique en trois actes
Livret de Richard Wagner
Cree le 19 octobre 1845 au Hof'oper de Dresde
Version de Paris (1861)

28 avril 2004, a 19h30
Chatelet Theatre Musical de Paris

Nouvelle production
Avec le soutien de Pierre Berge

Direction musicale, Myung-Whun Chung
Mise en scene, Andreas Homoki
Decors et costumes, Wolfgang Gussmann
Lumieres, Franck Evin

Tannhauser, Peter Seiffert
Elisabeth, Petra-Maria Schnitzer
Venus, Ildiko Komlosi
Wolfram von Eschenbach, Ludovic Tezier
Hermann, Franz-Josef Selig
Un Jeune Patre, Katija Dragojevic
Walther von der Vogelweide, Finnur Bjarnason
Biterolf, Robert Bork
Heinrich der Schreiber, Nicolas Courjal
Quatre nobles pages, Yuri Maria Saenz/ Hiroe Yoshinaga/
Sayoko Ooka/ Isabelle Poinloup
Figurante ( Double de Venus), Vanina Vignal

Orchestre Philharmonique de Radio France
Choeur de Radio France
Chef de choeur, Philip White

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例年GWはワーグナーを聴くため、あちらこちら飛び回っておりますが、今年は4/24に出発する予定でチケットを確保してきました。が、どうしても避けられない仕事のため、出発が本日28日にずれこんだ次第。おかげで確保していたベストシートの数々が紙切れとなったのは残念。特にベルリンフィル、ウィーンフィル、パルジファル、フィデリオなどは効率的に聴けるプランだったのが惜しい限りです。

さて本日はドレスデンの黄昏を確保していましたが、今日出発して17時の開演に間に合うことは不可能。これも捨てざるを得ません。代わりにパリ・シャトレのタンホイザーを目指すべく、スケジュールを変更。それにしても出発間際の日程変更はフライトの確保も難しいもので、パリにはぎりぎりのタイミングでトライすることになりました。運良くFRAからCDGへは定刻17:45に到着。今回もパソコンが入ったバッグだけの身軽さゆえに、18時過ぎにはタクシーに乗っていました。通勤ラッシュで焦るものの18:55にはレ・アルのノヴォテルにチェックイン。ここから劇場まで徒歩5分と余裕で、開演20分前に電話予約したチケットを受け取りました。さて直前の予約でチケットが残っていたのはラッキーでしたが、11ユーロとホテル代の20分の1以下の安さ。ステージは見えないと聴いていましたが、4階のバルコン右側1列目だったので、ステージの一部は欠けても、程よく見渡せる視界でした。

ミョンフン・チョン指揮フランス放送フィルハーモニックの演奏はさすがに素晴らしく、重量感、躍動感ともに申し分のないワーグナーでした。フランス放送合唱とともに充実のアンサンブルです。久しぶりに聞くペーター・ザイフェルトは伸びと輝きののヘルデンテナーが一際冴えていました。ヴェーヌスはイルディコ・コムロージ、エリザベスはペトラ・マリア・シュニッツァー。彼女達の素晴らしさを久しぶりに聞けたのも収穫でした。

ホモキ新演出なるステージは、黒のステージに二つの象徴的オブジェを登場させて展開させるといった趣向。一つはヴェーヌスの赤い球体で、二つ目はエリザベスの白を基調とした吹き抜けの直方体。第1幕、序曲に引き続き幕が開くとピアノの前で作曲しているワーグナーならぬタンホイザーの場面。ピアノの奥に突然赤く光始めた球面は次第に球体となってステージ床から上昇してくるセットでした。ヴェーヌスは赤のドレスで、エリザベスは白といった対比が鮮やかで、第2幕では彼女たちが友人であるかのような振る舞いを見せるのも興味深いところ。1幕の最後で登場する牧童は赤色のホテルのボーイの衣裳を着ていて、牧童が歌う際には、ヴェーヌスがピアノ伴奏をするといったリサイタル風展開も。ともかくヴェーヌスとエリザベスの対比はワーグナーを取り巻く女性関係を意識させるコンセプトながらも、救済といったイメージは焦点から外されているのも面白いところでした。

第2幕に現れるエリザベスの直方体の巨大な筒は、ヴェーヌスの赤く染まった球体に比べると、直線的な潔白感が鮮やかで、そのストレートな形状が、殿堂の合唱への展開が鮮やかでした。次第にタンホイザーがヴェーヌスを思い出すときには、直方体の
床が赤く染まり、第3幕では巨大な球体と後方に巨大な直方体が同時に出現するのも見事でした。シンプルな演出と直線的、流線的な展開を使い分ける自在なアンサンブル。ザイフェルトを始めとする歌手達の圧倒的なワーグナーは実に見事でした。



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