Salzburg Festspiele 2003

RICCARDO MUTI, Wiener Philharmoniker

Groses Festspielhaus
Freitag, 15. August, 11.00 Uhr

Programm
Ludwig van Beethoven (1770-1827)
Ouverture C-Dur op.124
Die Weihe des Hauses

Luigi Cherubini (1760-1842)
Symphonie D-Dur (1815)
I. Largo-Allegro
II. Larghetto cantabile
III. Menuetto. Allegro non tanto
IV. Allegro assai

Johannes Brahms (1833-1897)
Symphonie Nr. 2 D-Dur op. 73
I. Allegro non troppo
II. Adagio non troppo
III. Allegretto grazioso-Presto ma non assai
IV. Allegro con spirito

Dirigent, Riccardo Muti
Wiener Philharmoniker







・昨日はアバド&ルツェルン祝祭の興奮が冷めないままチューリヒに戻り、今日は朝5時20分にチェックアウトという忙しさでした。5時半のシャトルバスで空港へ。さすがに早朝は閑散としています。スイス空港のカウンターにて電子チケットのメモとパスポートを見せて搭乗券を受け取れるのは便利でした。

ミュンヘンへ飛ぶLX1100便でしたが、何と乗客は昨日から合流している3名のみでした。さすがにスチュワーデスさんも暇なのか、付きっきりのサービスで、殆ど貸切の気分を満喫できました。ミュンヘンには予定通り7時40分には到着し、ここからはからはタクシーでミュンヘン東駅へ出て、列車でザルツ入りするのが当初の予定でした。ところが運転手から200ユーロでザルツまで1時間半ほどで行けるとの誘いがあり、これに乗ることにしました。最初は快適なスピードで飛ばしていましたが、ザルツに近づくにつれて停滞気味。それでも2時間も掛らない速さで、9時半にはザルツに到着し、余裕でウィーンフィルの開演11時に臨むことが出来ました。

今日のムーティ&ウィーンフィルはORFでTVとラジオの両方でライブ中継されるとのことで、ライトアップされていました。ちょうど席がパルケット最前列、ムーティのやや右側ということで、左前方のライトが眩しいものでした。プログラムはベートーヴェンの作品124序曲「献堂式」、ケルビーニ交響曲ニ長調にブラームスの交響曲といった内容でした。冒頭のベートーヴェンの素晴らしいアンサンブルとムーティの快適なテンポ運びに思わず息を呑んでしまいました。3本のトロンボーンを用いた重厚かつ快活なエネルギッシュな作品を極自然に盛り上げていく手腕はさすが。トランペットの緊張感一杯のファンファーレ、ティンパニの連打など実に力が入りました。とりわけ至近距離でオーケストラを聴くと、粗さが気になるものですが、ヒンク率いるアンサンブルは全く粗さの無い緻密で木目の細やかなものでした。

続いてケルビーニの交響曲が選ばれているのは、先日のフェルゼンライトシューレでのミサ・ソレムニス2番と合わせて、ムーティのケルビーニへの思い入れの深さを痛感するところです。そしてこの演奏も極めて優れたものでした。4つの楽章の変化も鮮やかで、全てが自然体。昨日はルツェルンに居たため、パトロン・リハーサルを聞けませんでしたが、何でもムーティはこのケルビーニに1時間以上を費やすという念の入りようだったそうです。これを聴くと徹底した練習の成果が頷けます。

そして後半はブラームスのシンフォニー。冒頭のホルンがずっこけてしまったのは残念ですが、次第にムーティの明晰力豊かなイマジネーションとともに、ウィーンフィルが圧倒的な名演奏を聴かせてくれました。ブラームス2番は色んな指揮者でウィーンフィルのライブを聴いてきましたが、今日のは最高の演奏ではと納得するばかり。特にフィナーレの盛り上がりは自然と興奮の坩堝へ導くものでした。特にムーティのクールでスマートな指揮から熱いブラームスが聴けたのは最高です。

8月16日付けのナハリヒテンには"Das Fernsehkonzert"のタイトルのもとカール・ハルプによる評では、TV放送された個々の作品に言及するとともに、特にブラームスはマイルドでナチュラルな演奏と大いに評価されていました。なお8月17日付けのクーリエ紙には8月15日の演奏に際してパトロン・ラウンジでムーティを囲む集いが紹介されているなど、ムーティ人気は絶大です。ともかくルツェルンから馳せ参じた甲斐が大いにありました。





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