CONCERT DE GALA

ORCHESTRA-IN-RESIDENCE
WANDERER-ZYKLUS

Do. 14 Aug 19.30 Uhr, Konzertsaal

LUCERNE FESTIVAL ORCHESTRA
SCHWIZER KAMMERCHOR
(FRITZ NAEF, Einstudierung)
CLAUDIO ABBADO, Leitung
BRYN TERFEL, Bariton
RACHEL HARNISCH, Sopran
ETERI GVAZAVA, Sopran

RICHARD WAGNER(1813-1883)
Wotans Abschied und Feuerzauber
aus <<Die Walkuere>> WWV 86B

Pause

CLAUDE DEBUSSY(1862-1918)
Suite aus
<<Le Martyre de Saint Sebastien>>
Mystere in fuenf Teilen von Gabriele
D'Annunzio(1911)

I. La Cour des lys
Nr.1 Prelude. Lent
Nr.2 Mouvement du Prelude(Choeur)
Nr.3 Danse extatique de Sebastien sur les charbons
embrases(Choeur et Chorus seraphicus)
II. La Chambre magique
Nr.1 Prelude. Lent
Nr.2 Andantino.<<Je fauchais l'epi de froment>>
(la Vierge Erigone)
Nr.3 Modere.<<Qui plleure mon enfant si doux>>
(Vox Coelestis)

III. La Passion
Nr.1 Lent.<<Ah! Tu pleures>>(Les femmes de Byblos)
Nr.2 Tres modere.<<Cessez,o pleureuses!>>(Vox sola)
Nr.3 Assez anime.<<Io! Io! Adoniastes!>>(Chorus Syriacus)

IV. Le Laurier blesse
Nr.1 Prelude
Nr.2 Tres modere
Nr.3 Modere.<<Ah! Helas!>>(Chorus Syriacus)

V. Le Paradis
Nr.1 Interlude
Nr.2 Modere.<<Je viens, je monte.>>
Nr.3 Allegrement.<<Louez le Seigneur>>(Chorus sanctorum omnium)

CLAUDE DEBUSSY
La mer, trois esquisses
symphoniuqes(1903-05)
・De l'aube a midi sur la mer.
・Jeux de vagues. Allegro(dans un rythme tres souple)
・Dialogue du vent et de la mer.
Anime et trmultueux






・今日は朝8:39発のOEC164(カイザリン・エリザベス号)でチューリヒへ向いました。パノラマ車からは開放感ある車窓が素晴らしく、チロルの山が眼前に迫ってくるのは臨場感一杯でした。途中フェルトキルヒに停車。ブレゲンツへへはここで乗換えとなります。ビストロ車へ移動し昼食を取ったりしていると時間が経つのが早く、チューリヒ湖沿いを走っていました。壮大に広がる湖の景色でしたが、久しぶりに雨が降っていました。タルヴィルを通過し、予定とおり12:30頃にチューリヒ到着。ここでザルツから乗車してきた友達と合流しました。さて今日はルツェルンでアバドを聴き、明日の朝11時にはザルツでムーティ&ウィーンフィルを聞かなければならない為、今日はルツェルンではなく、移動に便利なチューリヒ空港近くのイビス・ホテルに泊まります。従って、チューリヒからは空港行きの列車に乗りました。

空港駅からホテルまではタクシーで30スイス・フラン。ちなみにホテルからは空港間を無料シャトル・バスが走っているため、以後これを利用することにしました。チェックイン後は空港駅15:33発の列車でルツェルンに向かい16:49に到着しました。午前中は雨模様だったものの、ルツェルンは強烈な日差しの天気で、今年のヨーロッパの異常までの天気の良さに驚きます。

ルツェルンではブラビッシモの高原さんとボーダーフォン携帯で連絡取り、到着ホームでお会いできました。ちなみに高原さんは今日10時のリハーサルに招待されたとのことで、アバド絶好調の情報を聞き、ますます期待が高まりました。ルツェルンは湖沿いに歩くととても涼しく、カフェやレストランがあって良い雰囲気でした。HugというCDショップを見てみようと行ったところ既に締まっていたのが残念。カフェ・レストランで風光明媚を楽しみながらゆっくりと寛ぎました。


・さて開演1時間くらいでコンツェルトザールへ向う道も雰囲気が良く、ドレスアップした人が増えてきました。ザルツブルクとはまた違った緊張感と期待感が膨らむ瞬間です。ここでまたザルツからハーン・エアで移動してきた仲間のご夫妻と合流し、会場に入りました。入り口ではプログラムと一緒にドイツ・グラモフォンから出た"LUCERNE FESTIVAL〜CLAUDIO ABBADO THE FESTIVAL EDITION"というCDを買いました。ジャケットは今年のルツェルンをイメージしたポスターと同じで、内容は全てアバドの指揮により下記の通りで2枚組みでした。特にマーラーではヘッツェルのソロが聴けるのが興味深いところ。

・メンデルスゾーン:交響曲4番(ロンドン響/1985年)
・モーツァルト:ピアノ協奏曲K.467(ピリス,ヨーロッパ室内/1995年)
・ヒンデミット:ウェーバー主題の交響的変容&トゥーランドット・スケルツォ
 (ベルリンフィル/1995年)
・ベルク:3つのオーケストラ小品Op.6(ロンドン響/1971年)
・マーラー:交響曲4番(シュターデ,ウィーンフィル/1978年)



さてアバド&ルツェルン祝祭オーケストラの初日プログラムはワーグナー「ワルキューレ」からヴォータンの告別、ドビュッシー「聖セバスチャンの殉教」組曲にドビュッシーの交響詩「海」という実にユニークな内容でした。ガラ・コンサートのタイトルの他に「さすらい人チクルス」との副題が付いているのは、今日のガラで歌われる「ヴォータンの告別」が8/23のマーラー1番、9/9のシューベルト「美しき水車小屋の娘」、9/12のシューベルト「冬の旅」、9/16「さまよえるオランダ人」をセットで一連のチクルスを構成するためのようです。それはともかくワーグナーとドビュッシーを対比させた点は、アバドの実際の指揮を聞いてみると、その説得力の素晴らしさに驚くばかりでした。

ワーグナーの壮大さにドビュッシー「聖セバスチャン」の神秘性と「海」のシンフォニックな構築美が続き、それはまさにワーグナーからドビュッシーの音楽が必然的に進化していく様を見ているかのようでした。特に前半のワーグナーは圧倒的な音の洪水でブリン・ターフェルの老朗としたヴォータンに酔いしれるという凄さでした。ここで既にひとつのクライマックスを迎えてしまったという印象でしたが、後半は神秘劇を経て「海」で最大限のクライマックスが待っているというシナリオ。これを可能にしたのは、やはりアバドの意思と同じくする精鋭オーケストラの底力に他なりません。アンサンブルの透明感は、ワルキューレと聖セバスチャン双方におけるライトモチーフをくっきりと浮かび上がらせ、またその透明感は波打つ水面から水底まで透き通って見えるかのよう。この純度は最大限の大音響でも保たれており、微妙なニュアンス、色合いも見事。アバドの感性に驚嘆するばかりです。1905年版による「海」に至っては、次第に高まるテンションが怒涛の爆発へと発展していく過程に唯ひたすら飲み込まれていくという恐るべき演奏でした。

テオ・ヒルスブルンナーによるプログラム解説によれば、アバド・ヴァージョンによる聖セバスチャンに関する記述があり、カプレが編集した管弦楽版ではなく、ソリスト、コーラスを加えたオリジナルからのアバド編集版となるとのこと。「ユリの園」「魔法の部屋」「受難」「月桂樹」「天国」のオリジナルの形を取りながら、受難7曲が3曲に縮小されているだけでしたので、組曲というよりもオリジナルのカンタータを聴くことが出来たといえるでしょう。さらにヒルスブルンナーの解説はパルジファルと聖セバスチャンとの対比についても言及されており、アバドは昨年のパルジファルの延長として聖セバスチャンに焦点を当てている点に興味を覚えます。今日の「聖セバスチャン」では青白い照明がステージをライトアップしていましたが、これも2001年ベルリンフィル定期「パルジファル」での照明演出に共通するものでした。「ヴォータンの告別」で聞かせた逞しい重厚さよりも、「聖セバスチャン」の繊細でナイーブな響きには淡い色合いの照明効果は音楽とともにマッチしていました。ちなみにアンドレア・ロストが聖セバスチャンに出る予定でしたが、健康上の理由によりラケル・ハーニッシュに変更。スイス室内合唱とともに素晴らしい歌でした。

かくしてトスカニーニが結成したルツェルン祝祭オーケストラが、アバドとミヒャエル・ヘフリガーにより再び復活した記念すべきガラ・コンサートが聴けて最高でした。単なるコンサート以上にオーケストラに華を感じるとともにアバドの精力的なパワフルさがひしひしと伝わってくるものでした。




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