Salzburg Festspiele 2003

Camille Saint-Saens (1835-1921)
SAMSON ET DALILA


Oper in drei Akten und vier Bildern
Text von Ferdinand Lemaire nach dem Libretto von Voltaire zu der Tragedie-lyrique Samson von Jean-Philippe Rameau
In franzosischer Sprache
Konzertante Auffuhrung

Groses Festspielhaus
Montag, 11. August, 19.00 Uhr

Dirigent, Valery Gergiev
Choreinstudierung, Rupert Huber

Dalila, Olga Borodina
Samson, Placido Domingo
Oberpriester des Dagon, Sergej Leiferkus
Abimelech, Orlin Anastassov
Ein alter Hebraer, Chester Patton
Ein Kriegsbote der Philister, Roberto Iuliano
Erster Philister, John Nuzzo
Zweiter Philister, Evert Sooster

Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Mariinsky Kirov Orchester St. Petersburg






・今年のザルツブルクでは「エジプトのヘレナ」「サムソンとデリラ」「バッカスの巫女」のオペラ・コンチェルタンテ3本が魅力的ですが、小生の日程では「サムソンとデリラ」のみしか聴けないのが惜しいところです。また今回の「サムソンとデリラ」ではゲルギエフ&マリンスキーにドミンゴ、ボロディナ、レイフェルクスが出演する1回だけのもので、ガラ・コンサートの様相を呈するのは当然でした。パトロンとスポンサーで席が埋まってしまい、恐らく一般売りは無かったのではないでしょうか。ところが今年の世界的不況でアメリカのスポンサーが押さえていた席が大幅にキャンセルとなり、演奏当日にポルツァーが残券を売りさばいたとのこと。いずれにせよ、会場は高まる興奮とともに満席の状態でした。

小生の席はパルケット2列目右ブロックの通路側でした。やや右から見渡すドミンゴに近いポジションでした。オーケストラはピットに入り、ステージの上に横一列に並んだソリスト陣に後方の合唱と何の変哲もないコンチェルタンテ。しかしその演奏は実にヴィジュアルなもので、ゲルギエフ&マリンスキーが織り成す色彩感の鮮やかさに驚嘆しました。もちろん演奏のダイナミズム、スペクタクルさも圧倒的。加えて歌手たちの素晴らしさは圧巻でした。

ドミンゴは大分年を取ったという感じですが、衰えることのない貫禄には花を感じるばかり。最高に素晴らしかったのはボロディナの妖艶さでした。彼女のアリアに陶酔するばかりでした。このように歌手達が引き立つのは何よりもゲルギエフの巧みな指揮さばきに他なりませんでした。10cmほどの短い指揮棒を絶妙に振動させながら腕で弧を描く独特のタクトは恐ろしいほどの集中力でした。左にゲルギエフの形相を垣間見ながらステージを仰ぐといった聴き方をしていましたが、実際のオペラが見えてくるかのようなイマジネーションに満ちた演奏でした。

レイフェルクスの貫禄も見事なもので昨年のカンダウレス王などに出演していたヌッツォもペリシテ人として登場し、隅々まで行き届いた完成度の高さです。オペラも大詰めの神殿を崩壊を向かえる場面は怒涛の迫力でした。舞台セットや演出などが無いものの、ドミンゴやボロディナらの完璧な演技と歌に酔いしれることの出来た最高の出来栄えだったと思います。大分前レヴァイン&METで来日した時の「サムソンとデリラ」とは比較にならぬ見事さに今年の音楽祭一番の出来栄えではと思うばかりです。なお今日の公演は休憩が1幕の後に1回だけの予定でしたが、結局2幕の後にも休憩が入りました。休憩中はパトロンラウンジに集まってきた仲間たちと素晴らしさを語り合い、シャンパンがとても美味しかったのは何よりも演奏が素晴らしかったからでしょう。







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