Salzburg Festspiele 2003

Debut , ANNA GOURARI


Schuttkasten
Samstag, 9. August, 16.00 Uhr

Programm
Hans Werner Henze;
Lucy Escott Variationen (1963)
Fuer Klavier eingerichtet von Klaus Billing

Aleksandr Skrjabin;
Preludes op.11
Nr.1 C-Dur
Nr.5 D-Dur
Nr.16 b-Moll
Nr.19 Es-Dur
Nr.22 g-Moll


Preludes op.22
Nr.2 cis-Moll
Nr.3 H-Dur

Preludes op.11
Nr.20 Es-Dur

Pause

Aleksandr Skrjabin;
Sonate fur Klavier Nr. 3 fis-Moll op. 23
1. Dramamatico
2. Allegretto
3. Andante
4. Presto con fuoco

Rodion Schtschedrin;
Chastushki - Konzert fuer Klavier solo
Allegro assai

Klavier
Anna Gourari







・昨日は出発日にしてムーティ&ウィーンフィルの充実したケルビーニが聴けたのは何よりでした。そして1日明けた土曜も超快晴の猛暑。モーツァルト・マチネは明日聞くとして午前中はのんびりとすることに。まずは行かなくなった13日のドン・カルロと友人に頼まれたホフマン、ティートなどのチケットをポルツァーへ売りに行きました。ちなみに今年はアメリカのスポンサーも不景気なようでキャンセルが大分出たとか。完売のはずの「サムソンとデリラ」が高値で売りに出されていました。

次にメンヒスベルクのオフィスへパトロン向けCDなどを受け取りに。今年のCDはボルトン指揮モーツァルテウムによる演奏でモーツァルトのハ短調ミサ(ヘルムート・エーダー補筆改訂版)でした。そういえばハ短調ミサを最近ザルツで聞いていないだけに2001年の演奏は楽しみです。昼間はザッハーのレストランでゆっくりとして16時開演のゴウラリのリサイタルへ向うことにしました。



今年からザルツブルク・デビューなる企画が始まり、カルテンビューロ地下のシュッツカステンを利用したリサイタルを20ユーロ自由席で聞くことができます。今日はロシア・カザン出身の
アンナ・ゴウラリで、ヘンツェ、スクリャービン、シチェドリンなど実にマニアックなプログラムが魅力的です。

シュッツカステンではブーレーズやポリーニの音楽祭イヴェントを聴いたことがありますが、ピアノを中央に置いて、周囲に椅子を配したレイアウトはまさにサロンといった感じで臨場感は抜群でした。

冒頭のヘンツェのルーシー・エスコットの変奏曲も実に鮮やかななロマンチシズムを湛え、ピアノ一音一音がクリアーに音響の波と押し寄せてくる迫力が凄い。反響板は少しだけ開口させているのは、ライブな空間を意識してのことか、どの席に座ってもピアノの中そのもので聴いているエネルギッシュさです。プログラム解説によればヘンツェのこの作品は、イタリア・オペラをイメージした作曲したようで、数日後にプレミエされる「ウプパ〜ヤツガラシと息子の愛」への梯となる作品だとか。この叙情的な変奏曲のイメージがウプパにも引き継がれるなら、素晴らしい感動が待っているに違いないと大いに期待するところです。

続いてスクリャービンのプレリュードは怒涛のピアニズムが炸裂し、ゴウラリのパワフルさと感性に圧倒の連続でした。美貌と豪腕を兼ね備えたゴウラリはまさに恐るべしといった感じです。後半のスクリャービンのソナタ3番はさらに圧巻。陰影に富んだ色彩画を見るかのように、ピアノの可能性が最大限に試されているかのようでもありました。プログラム解説によれば、ハープ弦をイメージしたヘンツェに始まり、フルオーケストラのスクリャービン、そしてモダン・ピアノの可能性を追及したシチェドリンのチャスツキ〜ピアノソロのためのコンチェルトで終わるとありました。その言葉の通り、シチェドリンのオーケストラのための協奏曲第1番をリメイクしたというチャスツキという作品は異次元のピアノを感じさせました。実に面白い作品でスクリャービンの色彩の後には音響の塊が次から次へと放射してくるような充実感でした。1時間半の迫力に圧倒されつつ午後5時半に終演となりました。あと1時間ほどでフェルゼンライトシューレでティートが始まります。





[HOME]