Giuseppe Verdi
Aida
Oper in vier Akten
Text von Antonio Ghislanzoni


Theater an der Wien
12. Juni, 19.30 Uhr

Musikkalische Leitung, Wolfgang Bozic
Regie, Peter Konwitschny
Buehne, Joerg Kossdorff
Kostueme, Michaela Mayer-Michnay
Choreinstudierung, Erwin Ortner
Dramaturgie, Bernd Kripsin, Sabine Czeskleba-Schaller
Der Koenig, Konstantin Sfiris
Amneris, Ildiko Szoenyi
Aida, Sylvie Valayre
Radamaes, Jan Vacik
Ramfis, Danilo Rigosa
Amonasro, Jacek Strauch
Ein Bote, Thomas Ebenstein
Eine Priesterin, Ulrike Pichler-Steffen
Wiener Symphoniker
Arnold Schoenberg Chor



今日はLHでウィーンに入りました。気温は30度の真夏日でした。とにかく太陽が強烈です。そして到着してすぐに19:30からアン・デア・ウィーン劇場にてコンヴィチュニーの「アイーダ」を見ました。1994年にグラーツで上演したものをアレンジした新演出でした。アイーダといえばグランド・オペラしかも悲劇という見方が一般的ですが、コンヴィチュニーは思いもつかない可能性で読み替えてコメディ版心理劇として演出してくれました。例によって強烈なパロディの連発には驚きの連続で、凱旋行進曲の後のバレエの箇所は、バレエなどが登場するのではなく、アムネリス、国王、ランフィスの3人がパントマイムの爆笑コメディを繰り広げ、会場を沸かせました。目を閉じると、ヴォルフガング・ボチック指揮ウィーン響の実に勇壮な音楽が会場を包み込んでいます。ファンファーレのトランペットは劇場の桟敷席の各所に配置され、そのサラウンドは効果的でした。国王は中東の石油会社の社長といった感じで、ラダメスとビジネスを一緒にしているといった風に見えました。凱旋での彼らのやりとりは、ビジネスでどれだけ儲けたかを自慢しているようも解釈できます。アイーダはメイドとして働き、ラダメスとアムネリスとの三角関係。しかもアムネリスはランフィスとも関係しているという複雑さです。



ステージはハンブルクのヴォツェックのように真っ白いキュービック状の空間に赤いソファーが置かれて、群集も全く姿を見せない、室内オペラ的に展開しました。まさに登場人物のキャラクターの力量とコンヴィチュニーの奇抜な発想で勝負をかけるといった感じでした。通常のアイーダはどれもワン・パターンの演出が多い中、意表をつくアイデアはまさに天才的といっても言いでしょう。横長のキュービック空間が多彩な色彩に変化するのもデザインのセンスを感じました。途中、ステージ背面の壁が開いて、その奥にブラス・アンサンブルとシェーンベルク合唱がコンサート形式で登場したものも奇抜な発想でした。ちょうどステージの四角い枠が前後二つのオーケストラと後方の合唱に挟まれたような形となり、ハンブルクの「ばらの騎士」第1幕での変則コンチェタント形式にもあい通じるコンセプトでした。またアイーダとラダメスの墓場のシーンでは真っ暗な巨大空間に、色んなガラクタが宙から釣られていて、黄泉の国のイメージをパロディックに表現していました。それにしても、アバンギャルドな衣装に小道具も凝っていて、心地よい諧謔に彩られたアイーダでした。



アイーダのシルヴィ・ヴァレリーも素晴らしかったのに対して、イルディコ・スツェニィーのアムネリスは歌よりもコメディアンとしての演技が勝っていました。またウィーン響の素晴らしい演奏に加えてシェーンベルク合唱も実に生彩あるもので、コミックヴァージョンのアイーダながらも最高の合唱を聞かせてくれました。

ちなみにウィーンは何度も訪れるものの、アン・デア・ウィーンでオペラを見るのは初めてでした。とてもコンパクトな馬蹄形で、音響効果は抜群。歌手の歌はガンガン響いてきますし、オーケストラの渦に呑み込まれるような臨場感は迫力でした。今回はウィーン・フェストヴォッヘンのオンライン予約と同時にゲットしましたので、パルケット最前列のど真ん中で聞くことができました。劇場のロビー横にはベートーヴェンの当時の部屋も再現されていて興味深いものでした。ちなみに今年はカリストやマダム・バタフライも上演されているようで、劇場に掲げられたポスターを見るとどれも斬新な演出ばかりです。





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