SAECHSISCHE STAATSOPER DRESDEN
Sonntag,den 4. Mai 2003, 16.00 Uhr

Richard Wagner
Der Ring Des Nibelungen
Ein Buehnnefestspiel fuer drei Tage und einen Vorabend
Zweiter Tag


SIEGFRIED


Musikalische Leitung; Michael Boder
Inszenierung; Willy Decker
Buehnenbild; Wolfgang Gussmann
Kostueme; Wolfgang Gussmann, Frauke Schernau
Dramaturgie; Klaus Bertisch

Personne
Siegfried, Alfons Eberz
Mime, Robert Woerle
Wanderer, Jukka Rasilainen
Alberich, Hartmut Welker
Fafner, Kurt Rydl
Erda, Birgit Remmert
Bruennhilde, Deborah Polaski
Waldvogel, Christine Hossfeld, Julius Greve(szenisch)





今回の旅の最終日はドレスデン・ゼンパーでのジークフリートでした。朝8:40頃のICEでハノーファーからマグデデブルクに到着。予定よりも少し遅れて、乗り継ぎ時間は2分ほどありませんでした。インターネットで乗換え番線を調べていたので、素早くECに乗換えることができました。このECはとても古い列車で木製の内装は旧東ドイツ時代の生き残り列車という感じの格調高いものでした。途中ライプチヒンなどを経由して12:50にドレスデン中央駅に到着。タクシーで3度目となるヒルトンへ向いました。

ハンブルク、エーテボリでは未だコート姿が多い寒さでしたが、今日のドレスデンはもう夏かと思うほどの天気で暑かったです。ドレスデンは殆どワーグナーを見る時間しかありませんでしが、今日は開演まで若干の時間があったため、ツヴィンガー宮殿の庭などを散策しました。とても美しい建物が印象的で美術館なども見てみたいものです。



昨日の盗難により今日のチケットが無くなってしまった為、カルテンビューローに並んでいると、ご婦人からチケット余っていますが如何ですかと声を掛けられました。何とミッテル・ロージェのとても良い席でした。70ユーロで譲って頂き、感謝感激のお礼を述べました。さてそのジークフリートは今回のライン、ワルキューレと次第に調子が上がってきたように、最高の出来栄えでした。指揮はツァグロセクから当初予定のボーダーに変わり、オーケストラと相性の良さを聞かせました。ともかくドレスデンの渋く重厚なサウンドがワーグナーのスペクタクルな音響として響く様は凄いです。デッカーの演出もシンプルな構造にコンセプトを置いて、無駄なものを省いた点が求心力をさらに生み出していました。おかげで登場人物たちのキャラクターも良く持ち味を出すことができ、素晴らしい歌と演技が完全に演出と一体となった見事さは素晴らしいというより他ありません。

演出の細かな点でいえば、ヴェルレ扮するミーメが黒板にチョークを使ってジークフリートに教育する場面が滑稽で、LIEBEの二文字目のIの上からMIEMEと縦書きし、さらにEの左からFEUER・・・といった単語を書きつらねて、ミーメの愛と熱意をジークフリートに示すのが面白いところです。さらにaとbとcのそれぞれの自乗の和=鉄=重いといった内容を黒板に書いてあったり、今度はさすらい人がNeberungやGotterという言葉をミーメに示すなど見ていてコミカルでした。なお基本コンセプトは劇中劇的にさすらい人とアルベリヒが対立すものの、一緒に仲良く座って劇中劇のファフナーを見ていたりして、客観と主観をそれぞれの立場から描いてみせるあたりに冷静なデッカーの視点があるようで、単に面白半分の演出ではないといことが分かります。フィナーレのジークフリートとブリュンヒルデの場面にアルベリヒがラインの黄金の球に覆い被さって上から見ている場面は象徴的でもありました。

キャストでは、ラシライネンが日本での公演とは比べ物にならないほど素晴らしく、今年1月のN響に出演したエーベルツのジークフリートも圧倒的な伸びの良さと元気に満ちていました。もちろんポラスキのドラマチックさは鉄壁であり、エーベルツとのフィナーレは怒涛の迫力でした。東フィルのオペラコンチェルタンテでも何度か出演したハルトムート・ヴェルカーはラインの黄金以上に素晴らしい声量と迫力で見事なアルベリヒを演じたのも印象的です。こうなると来年の黄昏は是非見てみたいものです。


翌5/5は早朝5時前に起床し空港へと向いました。昨日の終演後はライトアップされていたゼンパーも暗闇の影となっていたのがとても印象的です。かくしてフルトハンザのカウンターへ行き、チケット盗難のことを相談しました。レシート番号が分かれば再発行できるとのことでしたが、控もなく分からないので、新たに帰国便を買いなおす必要があるとのこと。日本円にして54万円ほど掛りますが、止むを得ません。1枚目のクレジットカードは限度額オーバーだと言われ、2枚目のカードで事なきを得ました。もっとも帰国後の処理でペイバックできるとのことで一安心しました。ちなみに日本への帰国便は当初から予約入れていた1Aの席が確保されています。ともかく始発便にてフランクフルトに飛び、9時前に領事館に着きました。領事館は金融街が立ち並ぶ高層ビル・タワーの上層にあり、無事手続きを終えました。1時間ほどで仮パスポートをゲットし、予定とおりLH710で帰国することとなりました。成田到着後は仕事で約束していた打合せに向けて四谷へ直行。仕事も無事間に合い、結果的に全て予定スケジュール通りに運ぶことができました。今後はくれぐれも盗難には注意したいものです。


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