Cluade Debussy
Pelleas et Melisande

Drama lyrique in fuenf Akten von Maurice Maeterlinck
staatsoperhannover
Samstag, 3. Mai 2003



Musikalische Leitung, Lutz de Veer
Regie und Dramaturgie, Jossi Wieler und Sergio Morabito
Buehne und Kostueme, Kazuko Watanabe
Licht, David Finn

Arkel, Xiaoliang Li
Genevieve, Danielle Grima
Golaud, Oliver Zwarg
Pelleas, Will Hartmann
Yniold, Sunhae Im
Melisande, Alla Kravchuk
Ein Arzt, Daniel Henriks
Eine Bettlerin, Jutta Schroeder
Staatsorchester Hannover

Beginn 19.30 Uhr Ende ca. 22.30 Uhr
Pause nach dem drittern Akt


昨日はエーテボリ到着16:30でトリスタン開演が18:30ということで、殆ど街を見ることが出来ませんでしたが、1晩の滞在だけでもエーテボリの素晴らしさを十二分に感じることができました。港町ながらも雰囲気は良く、歴史も探索してみたいところです。それにスウェーデンは欧州の中でも超美人揃いで、ドン・ジョバンニがスウェーデンに行っていたなら果たしてどのような展開になったでしょうか。ともかく朝7:40エーテボリ発の列車に乗ります。ちなみにホテルの朝食は土日に限り7:30からとのことで、空腹のまま列車に乗車しましたが、予約していたビジネス席は朝食付きだったのが有り難いです。X2000という超特急列車は座席も北欧のデザインで統一されていて走る個室サロンといった感じでゆったりと出来ました。ユーレイルパスとは別に2500円の指定券が必要ですが、とても価値ある列車でした。


さてコペンハーゲンには11:04に到着。8番プラットホームに移動し、11:47発のEC36に乗り換えました。しかしここでとんだトラブルに出会ってしまいました。座席についた瞬間、バッグから貴重品財布が盗まれていることに気づいたのです。乗車前には締まっていたはずのバッグの2箇所のチャックが開いていて、列車に乗る際の人ごみに乗じて盗まれたものと推察されます。しかし天才的な神業には驚くばかりですが、まさかの不覚でした。結局、盗難にあったのはユーレイルパス,現金、パスポート、航空券、5/4のジークフリートのチケットなど。幸いクレジットカードが別の財布にあり、無事だったのが何よりの救いです。隣りの米国人もいろいろと心配してくれ慰めてくれます。まずは列車の中から携帯で各所に連絡をとりました。


列車が向っているハンブルク領事館にTELするものの今日は休日で休み。緊急連絡先に留守電メッセージを入れました。ベルリンの大使館は自動音声案内の調子が悪く上手くコンタクトできません。念のためフランクフルト領事館にも留守電を入れておきました。列車がフェリーに乗り込み海に出たところでハンブルク領事館の方から連絡があり、まずは盗難届を最寄の警察で作成してもらい、領事館で帰国のための渡航書の申請をするようにとのこと。ただし日本の休日に合わせて5/5まで休みだそうで、このままでは日本へ帰る日程が遅れてしまいます。なおパスポート番号もメモしていなかった為、一昨日泊ったハンブルクのクラウンプラザにチェックインの時に記した番号を教えて貰いました。16:30頃にハンブルクに到着。さてここで警察に行くべきかどうか。行けば今日のペレアスとメリザンドは見られなくなってしまいます。足は自然とハノーファー行きホームへ向いていました。若干6分の乗り継ぎでICE673に乗車。運良くフランクフルト領事の方にも電話連絡が取れ、5/5の月曜は朝9時から開館しているとのこと。朝に申請すれば仮パスポートは昼までに発行できるそうです。これで予定のLH710便に乗れる可能性が出てきました。列車は17:36にハノーファーに到着しました。すぐに駅に隣接する警察へ行き、ことの次第を説明して盗難届を作ってもらいました。結構時間が掛り盗難届が完成したのが19時すぎ。ここから今日のホテル、シュヴァイツァーホフに駆けつけてチェックインし、大急ぎでハノーファー歌劇場へ向いました。


カルテン・ビューローに行くと、待ってましたとばかりに予約していたチケットを渡してくれました。開演10分前の慌しさですが、まずはカフェで喉を潤しました。さてハノーファーの歌劇場は外見も内部の石造りの格調高いものですが、大きな赤字の×印のロゴマークが掲げられ奇抜で斬新な公演を追求しているような雰囲気が感じられました。予約していたチケットはパルケット1列目の中央で、大いに楽しくなってきました。

さて今回のペレアスとメリザンドはヨッシ・ヴィーラーとセルジオ・モラビトが共同で演出を行うもので、ザルツブルク音楽祭での「ナクソス島」と同一傾倒のプロダクションに仕上がっていました。特にトリスタンとイゾルデを意識した作品であるだけに、エロスの扱いがナクソス島と同様に、むしろそれ以上の濃厚さとなっており、加えて日常生活のある一家の幸福と不幸といったテーマに焼きなおした趣向は、さらがら映画の世界とも共通するようなところがありました。舞台セットはシンプルな遠近法を取り入れた幾何学的構造を示し、全幕共通で統一するあたりがポイントとなっていました。適宜、照明の濃淡、カラフルさに登場人物のキャラクターを幾何学的に配置し、アートグラフィック調に仕上がっているのも見事でした。目を閉じて聴くとまさしくドビュッシーであり、目を開くと現実の世界を深く見つめる視点がそこにあるといった、とてもユニークで着想の素晴らしさに驚かされます。演奏はLuts de Veer指揮によるもので、素晴らしく構築美を感じさせるドビュッシーに仕上がっていました。曖昧さはなく、実にシンフォニックであり、音の流れと構造をドラマ展開にぴったりと照準を合わせて、凄まじいくらいの迫力でした。歌手も劇場専属を始め、実力ある方ばかりなのに驚きます。このオペラハウスは地方都市というマイナーさにも関わらず、実に意欲的で斬新な演出を目指した作品が多いようです。メジャーではあまり実験できないようなことでも、先進性に満ちた公演が多いようで、機会があればまた来て見たいものです。





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