Hamburgische Staatsoper
Donnerstag, 1. Mai 2003, 18.00 Uhr

DER ROSENKAVALIER
Komoedie fuer Musik in drei Aufzuegen
Text von Hugo von Hofmannsthal
Musik von Richard Strauss



MMusikalische Leitung, Ingo Metzmacher
Inszenierung, Peter Konwitschny
Buehnenbild und Kostueme, Gabriele Koerbl
Dramaturgie, Joerg-Michael Koerbl
Licht, Hans Michael

Feldmarschallin Fuerstin Werdenberg, Brigitte Hahn
Baron Ochs auf Lerchenau, Reinhard Dorn
Octavian, Kristine Jepson
Herr von Faninal, Juergen Freier
Sophie, Diana Damrau
Jungfer Marianne Leitmetzerin,Frederique Friess
Valzacchi, Juergen Sacher
Annina, Katja Pieweck
Polizeikommissar, Joern Schuemann
Haushofmeister bei der Feldmarschallin, Steven Dorn Gifford
Haushofmeister bei Faninal, Dirk Schmitz
Notar, Carl Schultz
Wirt, Peter Galliard
Ein Saenger, Piotr Beczala
Drei Adelige Waisen,
Heike Limmer
Eleonora Wen
Corinna Meyer-Esche

Philharmonisches Staatsorchester Hamburg
Chor der Hamburgischen Staatsoper






パリからハンブルクへはLHで飛びますが、当初の時刻表が変更された為、9:05発に乗らなければなりませんでした。これより遅い便では夜のオペラに間に合わせるのが難しいところです。かくしてリヨン駅から7:00発エア・フランス・バスでロワシー空港へ向いました。ハンブルクには10:40に到着したので、早めにクラウン・プラザにチェックインし、街に繰り出しました。しかし今日はメーデーということでレストランまでもが締まっているという不便さでした。ともかくゆっくりと出来たことは確かですが、人気の無い街は寂しく感じます。なおホテルはU2ウーラント駅から徒歩5分くらいのところにありますが、緑が美しい閑静な住宅街にあって、とても落ち着きました。


さて今日はコンヴィチュニー演出の「ばらの騎士」でした。ご覧になられた方の話では1列目は良く見えないとのことで心配していましたが、最前列でも指揮者から3つほど右の席だったので、それほど視界は悪くはありませんでした。なぜ見にくいかと言えば、第1幕は通常のステージではなく、オーケストラをコンチェルタンテ形式としてステージに乗せて、その中央に大きなベッドがセットされていた為です。さらに指揮者を始めとするオーケストラも18世紀の衣裳とカツラをつけての演奏で、演奏者を通常よりも高い椅子に座らせているため、最前列だと演奏者がじゃまして中央のベッドのステージが見え難いというものでした。この奇抜な発想には驚きましたが、ともかくもメッツマッハーの素晴らしい指揮と歌手達の見事さから1幕から時間を忘れてしまう出来栄えでした。クリスティーネ・イェプソンのオクタヴィアンにブリギッテ・ハーンのマルシャリン、それにラインハルト・ドルンのオックスと個性の強い歌手たちが繰り広げる場面は見ものでした。特にイェプソンは容姿もフォン・オッターにも似たアルトで、オクタヴィアンとしての役柄がぴったりです。

第2幕からはオーケストラもピット深くに沈み、通常のステージでオペラが展開されました。しかしコンヴィチュニーの作るステージは奇想天外の刺激的なものでした。未だ幕が開く前にファーニナルが登場し、指揮者に拍手するよう観客に促してから、幕を開けて自らステージのピアノに駆け寄って、第2幕の音楽が開始されるといった趣向が凝らされていました。なおセットは昨日のパルジファルのように円形床が回転するようになっており、中央のピアノに円周状に並んだ沢山の透明な椅子が奇抜なデザインを作っていました。これはまさしく3月のプレミエ「ドン・ジョバンニ」と共通する演出手法で、あらためてコンヴィチュニーの創作パターンの一つを伺い知ることができたように思います。ただしドン・ジョバンニの時は回転ステージで全ての幕を一貫させたのに対し、ばらの騎士では第2幕だけ回転ステージとしていたのが面白いです。なお第1幕では「銀のばら」が出てきましたが、第2幕でオクタヴィアンが届けたばらは赤の花びらに緑の茎といった普通のばらでした。なおゾフィー役はディアナ・ダムラウで以前DOBで魔笛の夜の女王で見たことがありました。彼女も美しいソプラノでした。

第3幕は、音楽の開始とともに一度客席に照明が当てられ、次第に暗くなって幕が開くという展開で始まりました。最初は殺風景な場面でも、色んな素材が運ばれてきて、さらに寝室用の仕切りカーテンやその他、ドラマに必要な小道具となるものが天井から降りてきて、ステージ上に設営されていく様は観客にある種の期待をもたせつつ、舞台に集中させる効果がありました。また床からはTVモニターが上昇してきて、オックスを驚かせるお化けの役目をしていたのが面白いです。さらにはフィナーレの元帥夫人、オクタヴィアン、ゾフィーの三重唱では、マネキン人形としてカラフルなショーウィンドウの中で繰り広げられる奇抜さでした。三人とも白のウィッグにコート姿で、周囲に振っている雪とともに、ショーウィンドウとも凍り付いていく演出効果には驚きました。最後にファーニナルが子犬をつれてショーウィンドウの前を散歩していく様の滑稽さと、元帥夫人がドライアイスから取り出したばらの花を落として割ってしまう演出も奇抜です。それを清掃業者がゴミ箱に捨てるといった演出も極めて細かなものでした。しかしこういったコンヴィチュニーの風刺とも思える細工に対しても、メッツマッハーの素晴らしくうねるようなR.シュトラウスの音楽と、三人の歌手の情感溢れる歌は心に染みるものでした。コンヴィチュニーの挑戦的アプローチはむしろR.シュトラウスの良さを浮き彫りにしているのではと感じた次第です。



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