SAECHSISCHE STAATSOPER DRESDEN
Freitag,den 25. April 2003, 19.00 Uhr
Richard Wagner
Der Ring Des Nibelungen Vorabend
DAS RHEINGOLD




Musikalische Leitung Lothar Zagrosek *
Inszenierung Willy Decker
Buehnenbild Wolfgang Gussmann
Kostueme Wolfgang Gussmann, Frauke Schernau
Dramaturgie Hella Bartnig, Klaus Bertisch
Personne
Wotan Robert Hale
Donner Urban Malmberg
Froh Klaus Florian Vogt
Loge Wolfgang Mueller-Lorenz **
Alberich Hartmut Welker
Mime Robert Woerle
Fasolt Johann Tilli
Fafner Kurt Rydl ***
Fricka Iris Vermillion
Freia Camilla Nylund
Erda Birgit Remmert
Woglinde Britta Stallmeister
Wellgunde Ursula Hesse von den Steinen
Flosshilde Christa Mayer
Die Nibelungen Mitglieder der Komparserie der Saechsischen Staatsoper

* fuer den erkrankten Michael Boder
** fuer Roland Wagenfuehrer
*** fuer den erkrankten Julian Rodescu
Premiere an 30.September 2001



今年のGWはドレスデンのリングを見るべく早々にチクルス券をゲットしていましたが、昨年の水害の影響で、黄昏が上演出来なくなったのは残念なことです。とはいえゼンパーの素晴らしいオーケストラでワーグナーを聴けると思えば、行かざるを得ません。今回はエッセン「マイスタージンガー」、パリ「パルジファル」にエーテボリ「トリスタンとイゾルデ」を加えてワーグナー6本が見られます。他にラトル&ベルリンフィル「フィデリオ」、チューリヒ「死の都」、ハンブルク「ばらの騎士」にハノーファー「ペレアスとメリザンド」と多彩なプランとなりました。

出発前夜はブーレーズ&マーラー・ユーゲントの素晴らしい余韻のおかげで朝3時まで起きていましたが、1時間半の睡眠の後、出発しました。イラク戦争の余波を受けてかスカイライナーも空港もとても空いていました。それにしても戦争開始直後の3/21よりも人が少ないのには驚きました。さて今回はとんだトラブルがありました。LH711便のコクピット脱出用ハッチが開かず、これから交換工事を行うとのこと。おかげで出発が2時間も遅れて12時頃となってしまいました。これではドレスデン行きの乗り継ぎに間に合いません。もし間に合わなければフランクフルトに留まり、到着当夜のオーパー・フランクフルトで「イェルサレム」を見ることにします。こんな心配をしていると、ルートを最も北寄りに取ってフライトを10時間30分に短縮するとの機内アナウンスがありました。早速、シートのTVモニタをひろげて到着予定時刻を確認したところ、フランクフルトでの乗り継ぎに30分ほどの時間が出来そうです。何とか間に合いそうで一安心しました。

かくしてフランクフルト到着は15:40。乗り継ぎ便は皮肉なことに一番遠くのA40ゲートで、延々と歩いて30分は掛かりました。ちょうど搭乗が始まったところです。さてドレスデンにも定刻通りに到着し、そのままタクシーでホテルへ直行しました。今回も時間の余裕の無い移動ばかりなので手荷物だけの軽装です。ドレスデンは曇りでしたが、肌寒い風が心地よく、劇場へ向う足取りもとても軽いものでした。ヒルトンから数分で劇場というのがとても便利でした。



カルテンビューロでピックアップしたチクルス券はパルケット17列目17番と最後列のど真ん中でした。劇場がコンパクトなのでステージまでが近く感じられ、客席の勾配でとても見やすいです。音響も素晴らしく、これで1公演あたり40ユーロというのは激安です。

さて今回の指揮は予定されていたミヒャエル・ボーダーが病気のため、ツァグロセクが代わりに振りました。ちょうど3月末にDOBのイドメネオで聴いたばかりでしたが、素晴らしい指揮ぶりでした。シュトゥットガルトのリングでも定評ある指揮をしているとのことで、急な代役も可能なのでしょう。ちなみに彼は5月のDOBのイドメネオも振りますからドレスデンとベルリンの掛け持ちという多忙さです。

さてステージには劇場の椅子が並べられていて、劇中劇を思わせる四角いスクリーン枠をセットした場面で開始されました。冒頭、世の始まりを示すかの如くのカオスの響きでは、椅子が幾つかの丘のように並べられ、幻想的な照明とともにラインの波を表現していていました。ステージ前面かたすみにエルダと思われる女性が佇み見守る中、ドラマが展開。アンダーウェア姿のラインの乙女にアルベリヒの下りは実にコミカルで、ヴェルカーの素晴らしいアルベリヒは見ものでした。ステージ後方に浮かび上がる白い球体が回転し、黄金に輝く球体に変貌する様も視覚的に効果がありました。またステージに並べられた椅子にニーベルハイム達が座り、アルベリヒらのドラマを見て楽しむといった演出はまさに劇中劇で、客観的に冷静な目でリングをじっくりと見ようではないかといった気分にさせてくれました。

ワルハラの場面ではギリシャ様式の白いミニチュア建造物のモデルを手にしたヴォータンが椅子に座りながら、20世紀初頭のスーツ姿の巨人達を四角い枠の中に見物するといった場面もあり、劇中劇のコンセプトは終始貫かれていました。まさにそれはヴォータンの意思によってドラマが展開するものでした。ミューラー・ローレンツ演じるローゲの登場も奇抜なものでした。大きな赤い矢印が天井から降りてきて、そこから搭乗するといった面白さでした。ともかく全体をシンプルにまとめたステージと演出は早くもリングのコンセプトを印象付けたものでした。

ヘイルのヴォータンをはじめとするキャストたちも素晴らしく、何よりも集中力漲るツァグロセクの指揮と渋い音色のオーケストラが見事でした。特にワルハラ城への入場の場面は、音の洪水と化したアンサンブルに聞き惚れるばかりでした。かくしてラインの黄金を無事見ることができ、今回の旅への序幕に相応しいものでした。終演後はヒルトン近くのテラスで楽しく寛ぎました。未だ肌寒い風が吹いていましたが、ワーグナーを見た後の熱気を冷ますのにとても爽やかでした。



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